業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国を含む世界の経済状況は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による半導体不足などから生産活動が停滞するなどの問題がありましたが、感染症拡大防止のための行動規制緩和などにより個人消費が伸長し、おおむね回復基調となりました。

このような状況の中、当社グループの主要関連産業であります国内の鉄鋼産業は、感染症拡大前の2019年度に近い水準まで国内粗鋼生産が回復しました。また、半導体関連産業は、データセンターや5Gの普及に加え、経済活動の再開により幅広く需要が拡大し、高い成長となりました。

こうした事業環境の中、当社グループは、2019年に策定した中期経営方針「INNOVATION PLAN 2021」に基づき、生産効率の向上と原価及び環境負荷の低減、販売力強化のための販売網整備を推進してまいりました。また、企業市民として、コンプライアンス体制の一層の強化・拡充と最良の製品を通して広く社会に貢献すべく品質管理の徹底を推進してまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比17.8%増の315億7千8百万円(単体は前期比20.6%増の197億7千万円)となりました。損益面につきましては、経常利益は、前連結会計年度比23.6%増の44億3千4百万円(単体は前期比53.4%増の30億9千4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比50.7%増の27億2千9百万円(単体は前期比54.4%増の21億3百万円の当期純利益)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

[炭素製品関連]

人造黒鉛電極は、売価は下落したものの、鉄鋼産業の生産水準が回復したことにより販売量は増加し、売上及び利益は前連結会計年度に比べて増加となりました。

ファインカーボン部門については、半導体関連市場の需要が旺盛で、炭素繊維製品及び特殊炭素材料の売上及び利益は前連結会計年度に比べて増加しました。

リチウムイオン電池負極材については、車載向けを中心に堅調な販売を維持し、売上及び利益は前連結会計年度に比べて増加しました。

この結果、売上高は292億4百万円(前連結会計年度比23.6%増)、営業利益は33億9千万円(前連結会計年度比58.6%増)と増収増益になりました。

 

[炭化けい素製品関連]

炭化けい素繊維の販売については、感染症拡大により航空産業向け需要が低迷し、売上及び利益は前連結会計年度に比べて大幅減となりました。

この結果、売上高は15億6千5百万円(前連結会計年度比29.2%減)、営業利益は1億8千5百万円(前連結会計年度比65.0%減)と減収減益となりました。

 

[その他]

産業用機械の製造・販売については、受注の減少により、売上高は8億8百万円(前連結会計年度比16.1%減)、営業利益は1億8百万円(前連結会計年度比67.2%減)と減収減益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ32億6千4百万円増加し、177億2千万円となりました。なお、各活動におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加額23億2百万円、法人税等の支払額8億4千2百万円がありましたが、税金等調整前当期純利益44億3千1百万円、減価償却費23億8千5百万円、たな卸資産の減少額20億5千万円、法人税等の還付額13億4千万円等により、75億5千1百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入5億4千4百万円、定期預金の減少5億円がありましたが、有形固定資産の取得による支出15億2千8百万円等により6億8百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額22億6百万円、長期借入金の返済による支出12億7千万円等により、37億6千2百万円の支出となりました。

 

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

炭素製品関連

28,240

130.8

炭化けい素製品関連

1,890

70.2

その他

808

83.9

合計

30,939

122.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は消費税等抜きの販売価格によるものであります。

 

(2)受注実績

当社グループの製品中化成品の一部を除いて大部分が見込生産であり、毎月の受注高はおおよそ同月の販売高に相当しております。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

炭素製品関連

29,204

123.6

炭化けい素製品関連

1,565

70.8

その他

808

83.9

合計

31,578

117.8

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。その作成にあたっての重要な会計方針・見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う当社グループの事業活動への影響は限定的なものであると仮定して、会計上の見積を行っております。新型コロナウイルス感染拡大の状況や影響について不確定要素が多いため、その状況によっては今後の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)経営成績の分析

当連結会計年度の連結経営成績については、電極売価は下落したものの鉄鋼産業の生産水準が回復したこと、半導体関連市場の需要が旺盛で炭素繊維製品及び特殊炭素材料の売上が増加したこと等により前連結会計年度に比べ47億7千5百万円増加し、315億7千8百万円(17.8%増)となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ38億6千6百万円増加し、235億3千9百万円となり、原価率は、74.5%と前連結会計年度に比べ1.1ポイントの増加となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2億1千9百万円増加し、43億3千2百万円となりました。この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ6億9千万円増加し、37億6百万円となりました。

営業外損益は、休止固定資産減価償却費等はありましたが、受取補償金、受取保険金、為替差益等により、前連結会計年度に比べ1億5千6百万円増加し、7億2千8百万円の利益(純額)となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ8億4千6百万円増加し44億3千4百万円となりました。

特別損益については、投資有価証券売却益1億7千9百万円、火災損失9千7百万円、工場移転関連費用8千4百万円を計上いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は44億3千1百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ9億1千8百万円増加し27億2千9百万円となりました。

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度末における資産合計は、726億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億6千1百万円の増加となりました。流動資産は、たな卸資産の減少19億8千1百万円、未収還付法人税等の減少13億5千万円がありましたが、現金及び預金の増加32億6千4百万円、受取手形及び売掛金の増加23億6千4百万円等により、前連結会計年度末に比べ23億7千万円増加し、453億9千9百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の減少6億2千万円等により、前連結会計年度末に比べ6億9百万円減少し、272億9千2百万円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は204億3千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億2百万円の増加となりました。流動負債は、短期借入金の減少2億4千5百万円がありましたが、支払手形及び買掛金の増加5億7千9百万円、未払法人税等の増加5億7千2百万円等により、前連結会計年度末に比べ14億4千6百万円増加し、170億2千7百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債の増加2億1千万円がありましたが、長期借入金の減少11億7千5百万円等により、前連結会計年度末に比べ9億4千4百万円減少し、34億7百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、剰余金の配当22億1千1百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が27億2千9百万円、非支配株主持分の増加4億1千7百万円、その他有価証券評価差額金の増加3億2千5百万円等により、前連結会計年度末と比べ12億5千9百万円増加し、522億5千7百万円となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについては、「3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりになります。

②資金需要

当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要になります。

運転資金需要につきましては、生産活動に必要な原材料、外注費及び人件費等の製造費用、販売における製品の運送費・包装費、手数料等の販売費のための運転資金が主な内容となります。設備資金需要につきましては、生産性の向上を目的とした設備改善及び既存設備の修繕・更新への投資が主な内容となります。

 

③財務政策

当社グループは運転資金、設備資金について、営業キャッシュ・フローで獲得した資金の投入と金融機関からの借入金の調達を行っております。

また、余剰資金の活用について、将来の事業戦略や経営基盤強化のための資金需要に配慮し内部留保を確保しつつ、長期的かつ安定的な利益配分を実施することを基本方針としております。

中期経営方針として掲げている炭素繊維製品の事業拡大、電極事業の生産体制改善・強化等に必要な投資を行ってまいります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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