(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、ワクチン接種の進展や各種政策の効果などもあり、経済活動が段階的に再開されたことから徐々に持ち直しの動きがみられましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受けた資源価格の上昇やマーケットの混乱が見られるなど、先行き予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主力事業である鉄鋼業界におきましては、産業機械向けや建築向けの需要の回復により鉄鋼需要は増加しました。また、原料価格の高騰を背景に鋼材販売価格も大幅に上昇し、高水準で推移しました。
このような経営環境のもとで、当社グループは中期経営計画(2019年度~2021年度)の方針に沿って、電気炉合理化投資効果の発揮やグループ協働施策の実行など重点施策を推進するとともに、需要家のご理解を頂きながら販売価格の改善に取り組み、鋼材スプレッドの確保に努めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,667億1百万円(前期比557億47百万円増)、営業利益72億50百万円(前期比48億98百万円の増益)、経常利益66億54百万円(前期比39億92百万円の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益48億15百万円(前期比24億59百万円の増益)となりました。
当連結会計年度における各セグメントの業績は、次のとおりであります。
鉄鋼につきましては、前連結会計年度に比べて販売数量の増加や原料などの高騰に伴う販売価格の上昇により増収となりました。利益面では、スクラップ、鋼片や合金鉄などの主副原料価格の上昇やエネルギーコストの増加などがありましたが、販売数量の増加、販売価格の上昇、鉄源調達の多様化などによる収益効果がそれらを上回り、前連結会計年度に比べて増益となりました。これらの結果、売上高は 1,641億46百万円 (前期比 555億97百万円増 )、 経常利益は68億49百万円 (前期比 46億25百万円の増益 )となりました。
エンジニアリングにつきましては、前期に比べて海洋部門及び建設部門の受注が増加したことなどにより、売上高は 17億78百万円 (前期比 2億9百万円増 )、 経常利益は58百万円 (前期比 88百万円の増益 )となりました。
不動産につきましては、賃貸収入を中心に安定した収益を確保し、売上高は7億76百万円(前期比60百万円減)、経常利益は5億円(前期比59百万円の減益)となりました。
当連結会計年度末の総資産は1,436億18百万円となり、前連結会計年度末と比べ206億35百万円増加しました。これは主として、鋼材販売数量の増加並びに販売価格及び原材料価格の上昇に伴い、受取手形及び売掛金、電子記録債権、棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が増加したことによるものであります。
負債については546億86百万円となり、前連結会計年度末と比べ160億60百万円増加しました。これは主として、原材料価格の上昇などにより、支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が増加したことに加えて、短期借入金及び長期借入金が増加したことによるものであります。
純資産については889億31百万円となり、前連結会計年度末と比べ45億74百万円増加しました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと及び配当金の支払いによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、157億45百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億63百万円減少(△14.0%)しました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、87億56百万円(前期41億27百万円の収入)となりました。これは、主として、税金等調整前当期純利益67億67百万円、減価償却費23億8百万円、仕入債務の増加額49億89百万円がありましたが、売上債権の増加額54億24百万円、棚卸資産の増加額158億6百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、23億8百万円(前期26億52百万円の支出)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出25億34百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、83億88百万円(前期16億82百万円の支出)となりました。これは、主として短期借入金の純増額50億円、長期借入れによる収入86億50百万円、長期借入金の返済による支出43億66百万円、配当金の支払額3億79百万円によるものであります。
(注) 上記以外については、役務の提供や重要性のないものであるため記載を省略しております。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 鉄鋼セグメントについては、製造会社である当社、中山三星建材㈱、三泉シヤ―㈱の3社の受注高及び受注残高を記載しております。また、当該3社の中山通商㈱、三星商事㈱を介した外部顧客に対する受注高及び受注残高については実務上、算定が困難であるため、上記には含めておりません。
3 当連結会計年度において、鉄鋼の受注高及び受注残高は著しく増加しました。これは、産業機械及び建築向けの需要回復や販売価格の上昇によるものであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ557億47百万円増加し、1,667億1百万円(前年度比50.2%増)となりました。これは、主に鋼材販売価格の大幅な上昇及び鋼材販売数量の増加によるものであります。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、鉄鋼が98.5%、エンジニアリングが1.1%、不動産が0.5%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ48億98百万円増加し、72億50百万円(前年度比208.3%増)となりました。これは、スクラップ、鋼片や合金鉄などの主副原料価格の高騰やエネルギーコストの増加がありましたが、鋼材販売価格が大幅に上昇し鋼材スプレッドが改善したことや、鋼材販売数量が増加したことなどによるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、発電協力金や負ののれん償却額の減少などにより、前連結会計年度に比べ3億87百万円減少し、4億39百万円(前年度比46.9%減)となりました。
営業外費用は、シンジケートローン手数料、補修費用、債権流動化費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ5億18百万円増加し、10億34百万円(前年度比100.3%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ39億92百万円増加し、66億54百万円(前年度比150.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、前連結会計年度では、固定資産売却益2億5百万円、災害損失引当金戻入額95百万円、スクラップ売却益85百万円、補助金収入70百万円などを計上し、当連結会計年度では、抱合せ株式消滅差益2億20百万円、関係会社事業損失引当金戻入額39百万円、固定資産売却益29百万円などを計上したため、前連結会計年度に比べ2億77百万円減少し、3億16百万円(前年度比46.7%減)となりました。
特別損失は、前連結会計年度では、固定資産除却損1億83百万円、解約違約金1億38百万円や固定資産圧縮損70百万円などを計上し、当連結会計年度では、固定資産除却損1億81百万円、減損損失10百万円などを計上したため、前連結会計年度に比べ2億23百万円減少し、2億3百万円(前年度比52.3%減)となりました。
税金費用は、課税所得の増加などにより法人税、住民税及び事業税は前連結会計年度に比べ12億20百万円増加し、繰越欠損金の解消などにより法人税等調整額は前連結会計年度に比べ2億58百万円増加し、法人税等合計では前連結会計年度に比べ14億78百万円増加し、19億52百万円(前年度比312.3%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24億59百万円増加し、48億15百万円(前年度比104.4%増)となりました。
財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、926億88百万円(前連結会計年度末751億60百万円)となり、175億27百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金が減少(183億28百万円から157億65百万円へ25億63百万円減少)しましたが、原材料価格の高騰などにより棚卸資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品)が増加(206億32百万円から364億38百万円へ158億6百万円増加)し、鋼材販売数量の増加や鋼材販売価格の上昇などに伴い受取手形及び売掛金が増加(287億46百万円から315億38百万円へ27億91百万円増加)したこと、並びに電子記録債権が増加(47億54百万円から73億86百万円へ26億32百万円増加)したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、509億29百万円(前連結会計年度末478億22百万円)となり、31億7百万円増加しました。その主な要因は、非連結子会社の合併(19億26百万円)および設備投資(29億52百万円)による増加、減価償却(23億8百万円)による減少、市場価格の上昇などにより投資有価証券が増加(25億92百万円から27億85百万円へ1億93百万円増加)したこと、並びに営業保証に係る差入保証金が増加(18億73百万円から23億52百万円へ4億78百万円増加)したことによるものであります。
(流動負債及び固定負債)
当連結会計年度末における負債合計(流動負債及び固定負債)の残高は、546億86百万円(前連結会計年度末386億26百万円)となり、160億60百万円増加しました。その主な要因は、有利子負債(短期借入金、社債(1年内償還予定を含む)、長期借入金)が増加(67億51百万円から159億93百万円へ92億41百万円増加)し、原材料の購入数量の増加や購入価格の高騰などに伴い支払手形及び買掛金が増加(173億91百万円から217億50百万円へ43億58百万円増加)したこと、未払法人税等が増加(3億25百万円から15億65百万円へ12億39百万円増加)したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、889億31百万円(前連結会計年度末843億56百万円)となり、45億74百万円増加し、自己資本比率は61.9%となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと(48億15百万円増加)、および剰余金の配当(3億78百万円減少)によるものであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の概況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入などによる調達を基本としており、設備投資につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は159億93百万円、現金及び現金同等物の残高は157億45百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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