業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1) 業績

当期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束を見ないなか、鉄鋼業界では、各国の景気刺激策などにより、鋼材需要が世界的に回復し、供給が抑えられたことで、鋼材市況は、総じて歴史的な高値水準で推移した。国内でも、建設需要や設備投資の復調などから、粗鋼生産が前年の落ち込みから回復し、鋼材市況も上昇が続いた。

このような状況のもと、当社においては、製品出荷数量が前期比で27%増加したことに加え、製品出荷単価は、下半期には13年ぶりに10万円を超えるなど、前期比で3万3千円弱上昇した。一方、主原料である鉄スクラップ単価の上昇は、2万3千円強に止まったことから、利幅が拡大し、前期を大きく上回る利益を計上することができた。

売上高は、製品出荷数量の増加と製品出荷単価の上昇により270,883百万円(前年実績141,448百万円)となった。営業利益は31,773百万円(前年実績3,995百万円)、経常利益は33,426百万円(前年実績4,994百万円)、当期純利益は31,937百万円(前年実績5,889百万円)となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ10,311百万円増加し、当期末の資金残高は68,644百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、17,237百万円の収入である。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は26,913百万円(前期7,585百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が32,881百万円であったことと、減価償却費が4,558百万円であったこと等によるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は9,676百万円(前期8,952百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が9,790百万円であったこと等によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は7,483百万円(前期7,220百万円)となった。これは、自己株式の取得による支出が4,405百万円であったこと及び配当金の支払額が2,142百万円であったこと等によるものである。

 

資本の財源及び資金の流動性について、装置産業と市況産業に属する当社は、業績が景気変動に大きく左右されるなかで、最新の生産技術を保持し生産性と競争力を向上させるための設備投資を、自己資金を活用し、自己の判断で的確なタイミングで実施することを原則としている。

また、株主還元については、一定の株主還元を保つという考え方をとるのではなく、業績に応じて総還元性向を決定する方針である。

このような方針のもと、将来に向けたより強固な経営基盤の構築のため、当社では、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標としている。

当期においては、当社の資金は10,311百万円増加し、68,644百万円となった。

 

 

生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

品目

生産数量(トン)

前期比(%)

製品

鋼材

2,765,162

130.8

半製品

鋼片

3,033,223

135.2

 

 

(2) 受注実績

輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。

品目

受注高

受注残高

数量(トン)

前期比(%)

数量(トン)

前期比(%)

鋼材

468,576

79.8

75,109

44.5

鋼片その他

33,938

135.5

502,514

82.1

75,109

43.7

 

(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。

 

(3) 販売実績

品目

販売高(百万円)

前期比(%)

鋼材

263,811

190.4

鋼片その他

7,072

246.1

270,883

191.5

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

阪和興業㈱

23,006

16.3

42,169

15.6

エムエム建材㈱

15,019

10.6

25,241

9.3

 

 

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針 及び 重要な会計上の見積り」に記載している。

市況産業に属する当社の業績は、景気変動に大きく左右されることがある。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社を取り巻く経済環境に重大な影響を及ぼすことも想定される。当社としては、会計上の見積りにあたり、期末時点で入手可能な情報を基に、以下の検証を行っている。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。

 

(2) 業績比較

当事業年度の売上高は、270,883百万円(前期 141,448百万円)となった。一方、売上原価は、220,694百万円(前期 121,639百万円)となった。

販売費及び一般管理費は、18,415百万円(前期 15,813百万円)であり、営業利益は31,773百万円(前期 3,995百万円)となった。

営業外収益は、受取配当金386百万円等により1,826百万円(前期 1,188百万円)となった。また、営業外費用は、173百万円(前期 189百万円)となった。以上から、経常利益は33,426百万円(前期 4,994百万円)となった。

特別利益は、1百万円(前期 17百万円)となった。特別損失は、545百万円(前期 718百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税3,770百万円及び法人税等調整額△2,825百万円を計上した結果、当期純利益は31,937百万円(前期 5,889百万円)となった。

 

(3) 資金の流動性

営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で19,328百万円増加し、26,913百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が32,881百万円であったことと、減価償却費が4,558百万円であったこと等によるものである。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で724百万円減少し、9,676百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が9,790百万円であったこと等によるものである。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で262百万円減少し、7,483百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が4,405百万円であったこと及び配当金の支払額が2,142百万円であったこと等によるものである。

これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度比で10,311百万円増加し、68,644百万円となった。

 

(4) 財政状態

当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で43,111百万円増加し、148,502百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で11,326百万円増加し、91,822百万円となった。これは主として投資有価証券が前事業年度比で2,524百万円増加したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で54,437百万円増加し、240,325百万円となった。

流動負債合計の残高は、前事業年度比で26,829百万円増加し、68,843百万円となった。これは主として、買掛金が前事業年度比で17,692百万円増加したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で230百万円増加し、13,200百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で27,059百万円増加し、82,044百万円となった。

純資産合計の残高は、前事業年度比で27,377百万円増加し、158,280百万円となった。これは、主として繰越利益剰余金が、29,882百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、65.9%となった。

 

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