課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

経営の基本方針としては、当社は、鉄鋼資源のリサイクルを通じ、省エネルギーと省資源に努め、環境の保全に貢献していく。

中期的な会社の経営戦略としては、当社は、鉄スクラップの高度利用を推進するとともに、需要家のニーズに応えるべく、製品の多様化と生産性・品質の向上を進めてきた。引き続き、鉄鋼資源のリサイクルが重要使命の一つであるとの認識に立ち、生産面においては、生産性と品質の向上をさらに進めるとともに一層のコストダウンをはかり、営業面では、機動的な販売・物流体制をとることで顧客満足度のさらなる向上に努めていく。また、将来に向けての経営基盤の一層の安定をはかるため、キャッシュ・フローを重視した経営を推進するなかで、不要資産の整理を徹底的に進めるなど、財務内容をより強固なものとするよう取り組んでいる。

目標とする経営指標としては、経済のグローバル化が進み、さらに競争の激しい時代を迎えて、投資を的確かつ機動的に行っていくことがますます重要となっている状況のなかで、当社は、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標と捉えることで、内部留保の一層の充実をはかり、将来の必要な投資を的確に実行できる、より強固な経営基盤の構築に努めていく。

今後の見通しについては、国内では大都市の再開発や民間設備投資など鋼材需要の回復が進む一方、ウクライナ情勢の今後の展開や、円安の継続により、資源価格が記録的な水準で推移することが懸念される。これを受けて、鉄鋼メーカー各社は、製品価格の引き上げ姿勢を強め、鋼材市況は引き続き高値水準で推移すると見込まれる。

このような状況のもと、当社としては、環境負荷が小さい電炉鋼材に対する需要の拡大を確実に取り込みつつ、営業部門と生産部門の連携を一段と強化して、国内外の製品・原料事情の変化に、より迅速・柔軟に対応できる体制の構築に取り組んでいく。

また、主原料である鉄スクラップや諸資材価格の高騰に対しては、全社一丸となって、歩留まりの向上や各原材料使用原単位の低減を一段と進めるなど、徹底したコストダウンをはかることで、一層の競争力の強化に努めていく。
 営業面では、引き続き国内外で新規需要先の開拓に努め、電炉鋼材の特性を活かしたレーザ切断性の高い鋼板や特寸H形鋼の拡販など、需要ニーズに見合う製品の供給を拡大していく。生産面では、全ての工場で、安全管理体制をさらに強化し、法令遵守を徹底するとともに、品質面では、技術開発部が営業部門・生産部門と密接な連携を取りつつ、より幅広い製造品種を生産できるよう、鋭意取り組んでいく。
  今般、SDGsが社会の共通認識となるなかで、気候変動への対応が「企業経営上の最重要課題の一つ」として認知され、製造業や建設業などの各分野においても、サプライチェーン全体の「脱炭素」を目指す動きが進みつつある。そのようななか、当社は、昨年6月に長期環境ビジョン「Tokyo Steel EcoVision 2050」を改定し、2050年におけるカーボンニュートラル達成を新たな目標とした。今後も、わが国の貴重な資源である鉄スクラップを、より付加価値の高い鉄鋼製品へと「アップサイクル」させていくチャレンジを進め、環境に優しい電炉鋼材の普及拡大による「カーボンマイナス」を通じ、「循環型社会」と「脱炭素社会」の実現に大きく貢献していく。当社が気候変動問題に取り組む姿勢は、国際的にも高く評価されており、環境NGOであるCDPからは、世界の鉄鋼セクターでは唯一、3年連続で最高評価の「気候変動Aリスト」に選定されている。

当社は日々、弛まぬコストダウンと品質向上への取り組みを強力に推進し、条鋼類・鋼板類ともに、多様化する需要家のニーズにお応えしながら、貴重な国内資源である鉄スクラップの高度利用を一段と加速することで、さらなる業績の向上を実現するため、全社一丸となって、ますます尽力していく所存である。

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