業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首より適用しており、「(1)経営成績等の状況の概要」、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっている。

 そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明している。

 また、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減している。

 なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」を参照のこと。
 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 なお、本報告書提出日現在においては、当社グループの関連業界では、新型コロナウイルス感染症の抑制に伴い粗鋼生産量の水準が改善する一方で、主原料である鉄スクラップの供給量が低迷していることに加え、ロシアによるウクライナ侵攻に起因した資源価格の高騰等により、著しい原料高が波及している。今後も新型コロナウイルス感染症の再拡大や紛争の長期化、各国の動向などによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 ①財政状態及び経営成績等の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が長期化するなか、ワクチン接種の進展により一部で持ち直しの動きがみられるものの、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響により、これまでにも増して先行きが不透明な状況が続いている。

 当社グループの関連業界においては、国内建設需要が低調に推移するなか、主原料である鉄スクラップ価格が高騰し続けたことに加え、合金鉄等の副資材やエネルギー価格が大幅に上昇するなど採算性は悪化し、厳しい経営環境で推移した。

 当社グループはこのような急変する不連続・不透明な未来に向けて、持続的な成長を図るため、長期ビジョン「Metal Vision 2030<絆>」および中期経営計画「絆2024」(2020年度から2024年度までの5ヶ年)に基づき、災害に強い国土強靭化、労働人口減少による供給制約に対するソリューション提供による社会貢献を実現すべく、事業構造改革を鋭意進めている。2020年に実施した、株式会社コーテックスの完全子会社化に加え、2021年7月には共和コンクリート工業株式会社との業務提携および合弁会社である株式会社イノヴァスを設立するなど、さらなる加工品事業の強化を図った。

 販売面では、再生産可能な適正マージンを確保するため、製品販売価格の引き上げに注力するとともに、主力製品である異形棒鋼は、建設需要の低迷により国内向け販売数量が減少するなか、海外向け輸出により販売数量の確保に努めた。土木・加工製品については、既存製品の拡販、新規顧客の開拓に加え、株式会社イノヴァスでの新たな展開に取り組んできた。

 コスト面では、各種コストが大幅に上昇するなか、各種原単位の改善や廉価な諸資材の活用などによりコストの低減を図ったほか、改善活動「TCC2021」により継続的な原価低減に取り組んできた。

 しかしながら、急激な製造コスト上昇に販売価格の引き上げが追い付かず、当連結グループにおける売上高は27,356百万円、経常損失は697百万円(前年同期599百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は967百万円(前年同期729百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,709百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,480百万円(△56.2%)減少した。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動による資金は、2,466百万円の減少(前連結会計年度は1,734百万円の増加)となった。収入の主な内訳は減価償却費986百万円、仕入債務の増加854百万円、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加1,425百万円、その他の固定資産の増加1,416百万円、税金等調整前当期純損失755百万円である。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動による資金は、2,018百万円の減少(前連結会計年度比523百万円の減少)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,046百万円によるものである。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動による資金は、1,003百万円の増加(前連結会計年度比1,279百万円の減少)となった。これは主に、長期借入金の返済による支出450百万円、短期借入金の増加1,500百万円によるものである。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

24,795,130

137.2

(注)金額は、製造原価による。

 

 b.受注実績

  当社グループの生産は主に見込み生産を行っているため、記載を省略している。

 

 c.販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

鉄鋼

27,356,197

125.4

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱

7,862,511

36.0

9,262,977

33.9

阪和興業㈱

2,486,089

11.4

3,180,481

11.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 ①財政状態の分析

a.資産

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末とほぼ同等の、26,537百万円となった。

 これは主に、主原料および諸資材等のコスト上昇により棚卸資産(前連結会計年度末比1,095百万円の増加)が増加したことや、受変電設備保守サービス費用を前払いしたことにより長期前払費用(前連結会計年度末比1,406百万円の増加)が増加し、現金及び預金残高(前連結会計年度末比3,480百万円の減少)が減少したことによるものである。

b.負債

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ727百万円増加して、11,171百万円となった。

 これは主に、短期借入金(前連結会計年度末比1,500百万円増加)の増加などにより、流動負債が前連結会計年度末に比べ1,164百万円増加して8,299百万円となったことによるものである。

c.純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ806百万円減少して、15,365百万円となった。

 これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失967百万円の計上などにより利益剰余金が前連結会計年度末に比べ990百万円減少して、11,760百万円になったことによるものである。

 また、自己資本比率については、前連結会計年度末の60.8%から2.9ポイント減少して、当連結会計年度末には57.9%となった。

 

 ②経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は、27,356百万円であった。

 これは主に、製造コストの増加に対して価格転嫁を図ったことにより、製品販売価格が上昇したことによるものである。

b.経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ1,297百万円減益の△697百万円となった。

 これは主に、鉄スクラップ価格の高止まりに加え、副資材やエネルギー価格が大幅に上昇したことで採算性が悪化したことによるものである。

c.特別損益

 当連結会計年度における特別損益は、前連結会計年度の332百万円(純額)の利益から390百万円利益(純額)が減少し、57百万円(純額)の損失となった。

 これは主に、当社構内の設備更新に伴い発覚した汚染残土の処分費用や、当社工場に堆積した金属混入残土の処分費用及び処分に係る費用見込額を特別損失に計上したことによるものである。

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,687百万円減益の△755百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,697百万円減益の△967百万円となった。

 その結果、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度に比べ442.23円減少して、△252.05円となった。

 

 

 ③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。

 当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入又は社債の発行を実施することを基本方針としている。

 この方針に従い、当連結会計年度における運転資金、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入により充当した。

 今後の資金需要についても、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定であるが、必要に応じて金融機関からの借入を実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達する。

 

 ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。

 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりである。

 連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っているが、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

 

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