当社グループは、鉄鋼素材から土木・建築向け加工製品までの一貫体制のなかで、より高付加価値製品の開発・拡充を指向し、他社との差別化、優位性を図り経営基盤の安定・強化を目指している。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
今後の見通しについては、新型コロナワクチン接種のさらなる進展や政府の経済支援策などにより、景気は緩やかな回復基調に向かうことが期待されるものの、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に端を発する海外経済の不確実性が懸念され、先行き不透明な状況が続くと予想される。
当社グループの関連業界においても、このような経済環境の影響を受け、鋼材需要の増加に期待するものの、鉄スクラップに加え、合金鉄、耐火物などの諸資材やエネルギー価格の上昇が懸念される。
当社グループとしては、5ヵ年計画である中期経営計画「絆2024」の3年目を迎えるにあたり、重点課題を確実に実行し、収益体質の改善を図っていく。
重点課題
① グループ経営構造改革を完成形へ
・素材製品から加工製品までの一貫事業体制と管理間接コスト最適化の実現
② 持続的な成長を可能とする抜本的な設備投資計画の策案と実行を推進
・土台である素材製品事業の基盤強化と加工製品・新製品・新事業のバランスのとれた投資を実行
③ 新たな社会的な要請に応えていくため、全社を挙げたSDGs経営の取り組み
・長期ビジョン「Metal Vision 2030 <絆>」を追求し、計画的に具現化を図る
また、2022年4月から開始した新たな改善活動「TCC2022」に取り組み、収益力の強化に向けて取り組んでいく。
(加工製品部門)
加工製品部門については、顧客ニーズを的確に捉え、新規顧客の開拓と新製品開発に注力する。
また、当社の営業力と株式会社コーテックスの営業力の融合に加え、株式会社イノヴァスでの取り組みによる効果を発現させるとともに、生産面においても、一昨年から進めている圧延製造ライン合理化工事により加工製品の母材生産能力の増強や、加工工場間におけるプロダクトミックスの最適化を進め、競争力の強化を図っていく。
さらに、2022年4月より営業本部加工品営業部内に技術営業推進グループを新設し、技術的な提案営業や新製品開発につながる顧客情報収集などを行い、既存製品の拡販と新製品の開拓に向けた取り組みを推進していく。
(素材製品部門)
異形棒鋼を中心とした素材製品部門については、市況変動の影響を大きく受けるため、鉄スクラップ、諸資材、エネルギー等の価格動向に注視し、取引慣習の改善と適正な製品販売価格の確保に努めていく。
また、2022年4月から「生産管理部」を新設し、製鋼工程から加工製品に至るまでの生産管理体制の再構築とシステム化に向けた検討を行い、全社の業務改善・効率化を推進していく。
(株主の皆さまとの絆)
当社の株主価値・企業価値の向上を目指し、引き続きガバナンス体制の強化を図るとともに、株主・投資家の皆さまとの対話の機会を重視し、関係性を強化していく。
株式市場に対しては、今後もIRや広報活動を積極的に行い、また、2022年4月にリニューアルした当社ホームページを活用するなど、経営活動や経営戦略の方向性、検討中の新たな資本政策の方針などについてご理解いただき、末長く応援していただけるよう努力していく。
(地域社会やビジネスパートナーの皆さまとの絆)
地域社会の皆さまとは、長岡花火への協賛を引き続き実施するほか、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)に所属する「株式会社アルビレックス新潟レディース」とオフィシャルスポンサー契約を継続することで、女子サッカーの普及拡大と発展を応援し、未来ある子どもたちに夢を与えられる人づくりへの貢献、地域の人々と共に活気あふれるまちづくりに貢献していく。
また、産学連携によるSDGs活動として「鉄の生まれ変わり・学びプロジェクト」を発足した。当プロジェクトでは、鉄のリサイクルプロセスがわかりやすく理解できる実験装置を開発し、科学技術イベントや小中学校の訪問授業などの活動での利用を予定している。こうした活動を通じて、地域社会の皆さまと共に循環型社会の推進に貢献していく。
(社員との絆)
人材は当社グループの事業を支える貴重な経営資源であると認識している。
当社グループの持続的成長・発展に向けて失敗を恐れず挑戦し続ける社風の醸成につながる人材マネジメントの実現に向けて、2022年4月より人事処遇制度改革を実施した。
また、当社の株価や業績と経済的な効果を株主の皆さまと共有することにより、株価及び業績向上への社員の意欲や士気を高めるため、社員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」を2021年度から導入した。今後も社員との絆を深めるための施策を継続して検討していく。
以上、「Metal Vision 2030 <絆>」に掲げた4つの<絆>(地域との絆、社員との絆、ビジネスパートナーとの絆、株主との絆)を強化することで、盤石な経営基盤を再構築するとともに、グループ各社の経営体質の改善・強化に積極的に取り組み、グループ全体の経営安定と持続的成長を図っていく所存である。
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