業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染状況により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出、解除が繰り返され、経済活動は制限と緩和の中で推移しながらも景気は緩やかに回復に向かっていました。しかし、新たな変異株による感染の再拡大や、資源価格の上昇、グローバルなサプライチェーンの停滞など不安要素が残る中、想定外のロシアのウクライナ侵攻により、世界経済の混乱に拍車が掛かり、景気が大きく減速する懸念が生じております。

当社グループが属しておりますステンレス業界は、材料価格の上昇が長期にわたり続く中、更にニッケル市況が暴騰し、今後の需給の見通しの不透明感や、製品価格への更なる転嫁など困難な課題を抱えております。

このような状況下におきまして、当社グループの当連結会計年度における売上高は430億76百万円(前年同期比22.7%増)となりました。販売数量の増加及び販売単価の上昇等により、売上高は増収となっております。また収益面におきましては、生産高の増加や工場稼働率の上昇等により、営業利益は56億83百万円(前年同期比94.0%増)、経常利益は為替差益が増加しましたが、雇用調整助成金の減少もあり、61億48百万円(前年同期比79.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却益がありましたが、固定資産除却損や連結子会社における自転車関連商品の販売にかかる事業の事業譲渡損等の計上もあり、43億20百万円(前年同期比74.4%増)となりました。

営業利益は平成19年3月期を上回り、経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、平成30年3月期を上回り、それぞれ過去最高益となっております。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来、営業外費用に計上していた売上割引を売上高から減額したことにより、売上高が26百万円減少しております。これにより、営業利益が26百万円減少しておりますが、営業外費用も26百万円減少したため、経常利益に与える影響はありません。

 

各セグメントの状況は次のとおりです。

(日本)

日本事業の売上高は414億87百万円(前年同期比21.5%増)、セグメント営業利益は54億5百万円(前年同期比94.0%増)となりました。製品部門別の売上高は以下のとおりです。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高及び営業利益がそれぞれ26百万円減少しております。

ステンレス管部門は、配管用が数量の増加及び価格の上昇により、また自動車用も数量が回復したため、通期の売上高は224億57百万円(前年同期比21.2%増)となりました。

ステンレス条鋼部門は、数量は若干減少しましたが、価格が上昇したため、売上高は104億64百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

ステンレス加工品部門は、家庭用金物事業からの撤退を順次進めたため、売上高は11億78百万円 (前年同期比9.5%減)となりました。

鋼管部門は、建設仮設材用が急回復し、数量が増加したことと、材料価格の上昇に対応し製品価格の値上げを実施したため、売上高は67億22百万円(前年同期比69.5%増)となりました。

機械部門は、コロナ禍の影響が大きかった前年同期と比べると、取引先の設備投資意欲が戻りつつあり、売上高は6億63百万円(前年同期比41.2%増)となりました。

 

(インドネシア)

インドネシア事業は、現地の四輪、二輪メーカーの生産回復により、数量が増加し、売上高は14億26百万円(前年同期比91.6%増)となりました。セグメント営業損益は1億35百万円の黒字となり、 損益は大きく改善しました。

 

(その他)

その他事業の自転車の販売は、事業撤退を済々と進めた結果、売上高は1億62百万円(前年同期比27.5%減)となり、セグメント営業損益は26百万円の損失となりました。

② 財政状態の状況

当社グループの当連結会計年度末の総資産は625億27百万円となり、前連結会計年度末に比べて63億52百万円増加いたしました。これは、現金及び預金の増加25億27百万円、電子記録債権の増加11億23百万円、棚卸資産の増加25億73百万円などによるものであります。負債の部は29億35百万円増加いたしましたが、その増減の主なものは、支払手形及び買掛金の増加8億30百万円、電子記録債務の増加19億87百万円、未払法人税等の増加8億25百万円などであります。

純資産は親会社株主に帰属する当期純利益を計上し利益剰余金は36億14百万円増加したことなどにより34億18百万円増加の463億11百万円となりました。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて2.3ポイント低下し、74.0%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動により49億97百万円の収入となり、投資活動により14億84百万円、財務活動により10億円それぞれ支出となりました。これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、期首に比べて25億27百万円増加し135億80百万円(前年同期比22.9%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の61億22百万円に加え、仕入債務が28億3百万円増加しましたが、売上債権の増加14億91百万円、棚卸資産の増加26億30百万円、法人税等の支払額10億54百万円などにより、営業活動全体では49億97百万円の収入(前年同期比28.1%増)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出15億27百万円に加え、投資有価証券の取得による支出2億49百万円などがありましたが、投資有価証券の売却による収入2億22百万円などにより、投資活動全体で14億84百万円の支出(前年同期は12億58百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い7億4百万円、自己株式の取得による支出2億3百万円などにより財務活動全体では10億円の支出(前年同期は5億53百万円の支出)となりました。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

 

 

ステンレス管

22,489

28.6

ステンレス条鋼

6,211

19.8

ステンレス加工品

1,091

△13.5

鋼管

6,873

74.2

機械

650

32.9

インドネシア

1,511

111.1

その他

合計

38,827

33.5

 

(注) 上記金額は販売価額で示しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

 

 

ステンレス管

778

29.9

ステンレス条鋼

4,164

28.8

ステンレス加工品

鋼管

22

54.8

機械

インドネシア

その他

104

△34.8

合計

5,070

26.5

 

 

 

c 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

 

 

 

 

ステンレス管

23,508

26.1

3,647

40.5

ステンレス条鋼

10,511

6.4

118

65.1

ステンレス加工品

1,224

△1.5

115

64.6

鋼管

7,033

71.0

893

53.4

機械

818

91.2

219

239.5

インドネシア

1,442

76.5

129

14.7

その他

162

△27.5

合計

44,701

26.5

5,124

46.4

 

(注) 受注残高には、継続的な取引先からの受注内示は含めておりません。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

 

 

ステンレス管

22,457

21.2

ステンレス条鋼

10,464

5.9

ステンレス加工品

1,178

△9.5

鋼管

6,722

69.5

機械

663

41.2

インドネシア

1,426

91.6

その他

162

△27.5

合計

43,076

22.7

 

(注) 1 上記金額はセグメント間の取引については相殺消去しております。

2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高は430億76百万円(前年同期比22.7%増)、営業利益は56億83百万円(前年同期比94.0%増)、経常利益は61億48百万円(前年同期比79.4%増)となりました。

当社グループは、中期計画等は作成しておりません。当社の主要製品であるステンレス鋼の主原料であるニッケルの市況価格は、需給関係のみならず、金融市場の状況によっても大きく変動します。また、アロイリンク方式によって、その原材料の変動を製品価格にある程度転嫁できる仕組みもあります。このため売上高がニッケル市況のみで上下する場合があり、中期計画の意味をなさなくなることがあります。そのため当社は年次計画のみを経営計画としております。また、経営成績等に関わる経営指標の目標として売上高経常利益率6.5%以上をクリアすることに努めております。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「日本」セグメントにおける主な事業である「ステンレス関連」事業において、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、販売数量の増加及び販売単価の上昇等により売上高は増収となりました。生産高の増加や工場稼働率の上昇等により経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、増益となりました。

なお、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの主力製品のパイプや条鋼の販売価格と主要な原材料であるコイル材等の仕入価格には当社グループではコントロールできない市場価格があります。

「インドネシア」セグメントは、現地の二輪、四輪メーカーの生産回復により生産が大きく増加し、増収増益となりました。

当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性については、ステンレス管造管設備の新設及び改修などの設備投資資金を当期純利益及び減価償却費による内部留保でまかなったことにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は25億27百万円増加し135億80百万円(前年同期比22.9%増)となりました。金融機関からの資金調達につきましては、安定的な資金を調達できるように総額30億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

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