当社グループは当連結会計年度より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心として新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動の制限の緩和が進んだことで、景気の持ち直しの動きがみられました。一方で、変異株感染拡大の影響もあり、経済活動は完全には正常化に至らず、国際物流・供給網が混乱し、工業製品の部品調達難や半導体供給不足の継続による製造業の生産活動の停滞が発生いたしました。また、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、原油・天然ガス等資源価格の急騰や供給不安など、グローバル経済への長期的な影響も懸念されます。
このような環境のもと、当連結会計年度の売上収益は、主力製品である鋼材・鍛造品の需要が増加し、前連結会計年度(202,247百万円)に比べ28.6%増の260,117百万円となりました。
利益につきましては、販売数量の増加や販売価格の値上がり、連結子会社の増益など増益要因がありましたが、鉄スクラップ等購入品価格の高騰に対し、販売価格への反映が追いついておらず、大きな減益要因となり、営業利益は前連結会計年度(5,317百万円)に比べ59.8%減の2,139百万円となりました。また、税引前利益は前連結会計年度(5,552百万円)に比べ47.8%減の2,895百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度(3,136百万円)に比べ65.3%減の1,089百万円となりました。
なお、セグメント区分ごとの売上収益は、次のようになっております。
鋼(ハガネ)カンパニー
主力製品である特殊鋼の販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は99,556百万円と、前連結会計年度(67,888百万円)に比べ46.6%増加しました。
ステンレスカンパニー
主力製品であるステンレス鋼の販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、当連結会計年度の売上収益は36,322百万円と、前連結会計年度(30,749百万円)に比べ18.1%増加しました。
鍛(キタエル)カンパニー
主力製品である自動車用型打鍛造品の販売数量の増加や販売価格の値上がり及び海外子会社の売上収益の増加により、当連結会計年度の売上収益は103,037百万円と、前連結会計年度(85,993百万円)に比べ19.8%増加しました。
スマートカンパニー
電子部品及び金属繊維の売上収益の増加により、当連結会計年度の売上収益は18,970百万円と、前連結会計年度(15,171百万円)に比べ25.0%増加しました。
その他事業
当連結会計年度の売上収益は2,230百万円と、前連結会計年度(2,444百万円)に比べ8.8%減少しました。
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び現金同等物の減少があったものの、棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ11,357百万円増の364,400百万円となりました。
負債合計は、営業債務及びその他の債務の増加などにより、1,766百万円増の151,925百万円となりました。
資本合計は、確定給付制度の再測定等によるその他の資本の構成要素の増加などにより、9,592百万円増の212,475百万円となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(54,163百万円)に比べ21,296百万円減少し、32,866百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は5,210百万円と前連結会計年度(15,896百万円)に比べ10,686百万円減少しました。これは、営業債務及びその他の債務の増加による資金の増加が7,590百万円と5,281百万円増加(前連結会計年度は、2,309百万円)、法人所得税の支払額が1,210百万円と2,126百万円減少(前連結会計年度は、3,336百万円)したものの、税引前利益が2,895百万円と2,657百万円減少(前連結会計年度は、5,552百万円)、棚卸資産の増加による資金の減少14,471百万円(前連結会計年度は、棚卸資産の減少による資金の増加1,150百万円)、営業債権及びその他の債権の増加による資金の減少7,837百万円と2,604百万円増加(前連結会計年度は、5,233百万円)があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は15,542百万円と前連結会計年度(14,247百万円)に比べ1,295百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べ、有形固定資産の取得による支出が1,256百万円増加したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は11,987百万円(前連結会計年度は、財務活動による資金の増加13,479百万円)となりました。これは、前連結会計年度に比べ、長期借入金の返済による支出が25,445百万円減少したものの、社債の償還による支出20,000百万円(前連結会計年度は、該当なし)、前連結会計年度は短期借入れによる収入が5,100百万円があったこと、長期借入れによる収入が21,050百万円減少、短期借入金の返済による支出が4,922百万円増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の金額によっております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 鋼(ハガネ)カンパニーの生産高に著しい変動がありました。これは販売数量の増加や鉄スクラップ等購入品価格の高騰によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、スマートカンパニー及びその他事業は見込生産を行っているため、記載しておりません。
(注) 1 セグメント間の内部受注金額は、消去しております。
2 鋼(ハガネ)カンパニー及びステンレスカンパニーの受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは主要顧客の需要の増加や販売価格の値上がりによるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 鋼(ハガネ)カンパニーの販売高に著しい変動がありました。販売数量の増加や販売価格の値上がりによるものであります。
3 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績
当社グループの当連結会計年度の売上収益は、販売数量の増加や販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して28.6%増加し、260,117百万円と過去最高となりました。
セグメント別の売上収益については、鋼(ハガネ)カンパニーは特殊鋼の販売数量の増加と販売価格の値上がりにより、前連結会計年度と比較して46.6%増加、ステンレスカンパニーはステンレス鋼の販売価格の値上がりと販売数量の増加により、前連結会計年度と比較して18.1%増加、鍛(キタエル)カンパニーは鍛造品の販売数量の増加や販売価格の値上がり及び海外子会社の売上収益の増加により、前連結会計年度と比較して19.8%増加、スマートカンパニーは電子部品及び金属繊維の売上収益の増加により、前連結会計年度と比較して25.0%増加しました。
利益につきましては、販売数量の増加や販売価格の値上がり、連結子会社の増益など増益要因がありましたが、鉄スクラップ等購入品価格の高騰に対し、販売価格への反映が追いついておらず、大きな減益要因となり、当連結会計年度の営業利益は2,139百万円となり、前連結会計年度(5,317百万円)に比べ3,178百万円減少しました。税引前利益は2,895百万円となり、前連結会計年度(5,552百万円)に比べ2,657百万円減少しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は1,089百万円となり、前連結会計年度(3,136百万円)に比べ2,047百万円減少しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末(54,163百万円)に比べ21,296百万円減少し、32,866百万円となりました。
これは、営業活動によるキャッシュ・フローが5,210百万円の資金の増加、投資活動によるキャッシュ・フローが15,542百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローが11,987百万円の資金の減少であったことによるものであります。
当社グループは、中期的には製造設備の合理化や生産能力増強、安定供給のための設備保全に対応するための設備投資を計画的に行っていく予定でありますので、今後も、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの状況を睨みながら、必要に応じて外部資金の調達を行い資金の流動性を維持するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローの増加に努め有利子負債の削減を図っていく所存であります。
なお、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は 55.3% (前連結会計年度末は 54.7% )となっており、安定した財務基盤を維持しております。今後も、グローバルで金融機関との良好な関係を維持し、資金流動性と調達力を確保してまいります。
(4) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが目標とする経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当連結会計年度の経営成績は2023年度を最終年とした中期経営計画の目標とする経営指標(連結売上収益2,508億、連結営業利益150億円)に対して、当連結会計年度の売上収益は260,117百万円、営業利益は2,139百万円となっております。鉄スクラップ・エネルギー等、あらゆる購入品の価格高騰が続く見通しであるなど、経営環境は先行き不透明な状況が継続しておりますが、さらなるモノづくり力の向上に励むとともに、自助努力を超える部分の販売価格への反映の必要性をご理解いただく活動に取組み、「愛知製鋼グループ 2021-23年度 中期経営計画」の達成を目指してまいります。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(連結の範囲の変更)
追加出資により浙江愛智機電有限公司を連結の範囲に含め、会社清算によりアイチ・マイクロ・インテリジェント㈱を連結の範囲から除外しております。
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(会計方針の変更)
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することといたしました。
収益認識会計基準等の適用による主な変更点は以下の通りです。
(1) 顧客に支払われる対価
顧客に支払う販売手数料の一部について、従来は販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、売上高から控除する方法に変更しております。
(2) 一時点で充足される履行義務
国内向けの販売において、従来は出荷時点で収益を認識しておりましたが、検収時点で収益を認識する方法に変更しております。
(3) 有償支給取引
有償支給取引において、従来は有償支給した支給品について消滅を認識しておりましたが、支給品を買い戻す義務を負っている場合、当該支給品の消滅を認識しない方法に変更しております。
(4) 有償受給取引
有償受給取引において、従来は有償支給元への売戻し時に売上高と売上原価を計上しておりましたが、加工代相当額のみを純額で収益として認識する方法に変更しております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。
この結果、当連結会計年度の連結損益計算書は、売上高が2,759百万円、売上原価が2,295百万円、販売費及び一般管理費が557百万円それぞれ減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ94百万円増加しております。また、当連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の当期首残高は256百万円減少しております。
(時価の算定に関する会計基準等の適用)
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することといたしました。なお、連結財務諸表への影響はありません。
(会計上の見積りの変更)
(退職給付に係る会計処理の数理計算上の差異の費用処理年数の変更)
従来、退職給付に係る資産及び負債の数理計算上の差異の費用処理年数を主として15~16年としておりましたが、従業員の平均残存勤務期間が短縮したため、当連結会計年度より数理計算上の差異の費用処理年数を主として15年に変更しております。
当該変更により、従来の方法に比べて、当連結会計年度の営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ317百万円減少しております。
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「35.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(有形固定資産の評価に係る調整)
①日本基準では有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について、主として定率法を採用しておりましたが、IFRSでは定額法を採用しております。
②日本基準では費用処理している不動産取得税について、IFRSでは有形固定資産の取得原価に含めて計上しております。
③日本基準では棚卸資産の原材料及び貯蔵品として計上していた設備予備品のうち1年を超えて使用されると予測されるものについて、IFRSでは有形固定資産として計上しております。
この結果、当連結会計年度の連結財政状態計算書は、棚卸資産が1,400百万円減少、有形固定資産が18,891百万円増加、連結損益計算書の売上原価が729百万円、販売費及び一般管理費が121百万円それぞれ減少し、その他の費用が297百万円増加しております。
(金融商品の測定)
日本基準では取得原価で計上していた非上場株式等について、IFRSではその他の包括利益を通じて公正価値で測定しております。また、資本性金融資産について、日本基準では売却損益及び減損を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは公正価値の変動額をその他の包括利益として認識しております。
この結果、当連結会計年度の連結財政状態計算書のその他の金融資産(非流動資産)の株式及び出資金、その他の資本の構成要素のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に係る純変動がそれぞれ21,574百万円増加しております。
(表示組替)
日本基準では営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失に表示していたものを、IFRSでは財務関連項目を金融収益、金融費用に、それ以外の項目をその他の収益、その他の費用として表示しております。
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