課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

当社は、国際的な視野にたち、企業集団の総合力を結集して、「研究と創造」の精神で高い技術による魅力ある商品を提供することにより、株主、顧客、社会に貢献することを経営の基本方針としております。この経営の方針は、「経営理念」として掲げており、その内容は次のとおりです。

 

-経営理念-

国際的な視野にたち、活力に溢れ、信頼される企業体質をもとに、

魅力ある商品を提供することによって社会に貢献する。

1.研究と創意につとめ、常に時流に先んずる。

2.相互の信頼と理解のもとに、一致協力する。

3.責任ある判断と行動のもとに、常に最善を尽くす。

 

この経営理念を実践することにより、年々変化する経営環境においても持続的な成長を続けると共に、広く社会から信頼され、必要とされるべく、「世界中で選ばれる会社」を目指しています。

その実現に向けて、「愛知製鋼グループが将来目指す姿」を示した「愛知製鋼グループ 2030年ビジョン」(2020年8月4日公表。以下、「2030年ビジョン」という。)及びその実行計画である「愛知製鋼グループ 2021-23年度 中期経営計画」(2021年5月10日公表。以下、「中期経営計画」という。)を策定、公表しております。

 

1.中期経営計画の基本方針

2030年ビジョンの実現に向け、そのスタートとなる3年間での重点課題を定め、「事業とモノづくり力の変革で収益力を向上させESG経営を実践」してまいります。

 

2.中期経営計画の重点施策

当社グループ社員全員が持つべき普遍的な価値観・行動規範を定めた「Aichi Way」に基づき、安全、品質、安定供給の順番をきちんと守ったうえで、健全な財務体質の維持を前提に、2030年ビジョンで定めた3つの経営指針である「持続可能な地球環境への貢献」「事業の変革で豊かな社会を創造」「従業員の幸せと会社の発展」に取り組んでまいります。

 

(1)持続可能な地球環境への貢献:

カーボンニュートラルに向けて、4つのRを視点に、技術開発を通じて果敢に挑戦

①Reduce:鋼の製造プロセス改革による消費エネルギー削減(直行・直結工程・工程省略の実現)

②Reuse/③Recycle:エネルギーの再利用(電気炉排熱活用、開発蓄熱材の活用)

④Renewable:LCA(ライフサイクルアセスメント)視点での再生可能エネルギー活用促進(太陽光発電の導入)

(2)事業の変革で豊かな社会を創造:

①既存事業の変革

・鍛鋼一貫の強みを活かし良品廉価な電動車部品の開発・拡販

・高性能磁石粉末と高強度材料との融合でCASE部品の受注拡大

・パワーカード用部品の技術開発・供給体制構築を加速

・商品の付加価値向上を見据えた機械加工へ領域拡大

・インド・アセアンでの事業拡大と国内供給量の上方弾力性確保

・来るべき水素社会とインフラクライシスに対応する商品投入で新市場創出

②新分野へ事業展開 

・高感度磁気センサを用いたGMPS(磁気マーカシステム)の実証実験の知見を基に早期事業化

・新鉄供給材の開発推進とカンキツグリーニング病対策材のグローバル販売網構築

③DX(デジタルトランスフォーメーション) 

・5大テーマ「働き方改革」「モノづくり改革」「スマートファクトリー」「デジタルソリューション」「グループITガバナンス」に取りくみ、デジタル技術を活用した事業変革でビジョン実現を目指す

(3)従業員の幸せと会社の発展:

厳しい経営環境を従業員と会社が一体となって乗り越えるためのエンゲージメントを高める取り組み 

①多様な人材の活躍促進 

・65歳現役実現に向けた制度の企画 

・女性スタッフキャリア開発 

・シニア・女性に優しいモデルラインづくり 

 

②従業員の満足度向上 

・職場風土改革プロジェクトの推進 

・カフェテリアプランの導入 

・新独身寮の建設

 

3.経営指標

目標とする経営指標につきましては、2030年時点での連結営業利益200億円以上を達成するため、中期経営計画の最終年度にあたる2023年度に連結売上収益2,508億円、連結営業利益150億円の達成を目指してまいります。

 

4.対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、足元においては、新型コロナウイルス対応の行動制限が段階的に緩和・撤廃される動きが広がっており、世界的な経済活動の正常化の流れは徐々に加速していくことが期待されます。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化により、世界経済の見通しは一気に不透明感を増してきました。

また、中長期的にはCASE(未来の車の特性をConnected・Autonomous・Shared・Electricの頭文字で表したもの)に代表される自動車業界の大変革が当社グループの事業に大きな影響・変化をもたらすことが確実視されております。これに対し、我々にしか作れないモノづくりをしっかり守り・発展させながら、時代の変化に対応する新規ビジネスを確実に進め、年輪的成長につなげてまいります。

さらに「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指し、再生可能エネルギーの利用促進、省エネ、生産プロセス・物流改善といった長年の継続的活動とともに、革新電気炉導入検討、新たな鍛造工法開発等の技術革新にも取り組んでまいります。

上記のとおり、コロナ禍、地政学的リスク、CASE、カーボンニュートラルと言った世界規模の課題が相次ぎ発生、当社グループの経営に影響を与えており、まさに「潮目が変わった」と言える激しい変化が続いております。今こそ、物事の本質を的確に捉え、これまで当社が整備してきた2030年ビジョンをはじめとする強固な仕事のフレームワークを大切にし、時代の変化を先読みし、何事にも「自分ごと」として、高い志で自ら変革にスピード感を持って挑戦してまいります。

そのようななか、当社グループは、2030年ビジョンの実現を目指し、2022年度は、「未来への絶え間ない成長に向けて(Survival for the future)Aichi Wayでの“大変革”!」をスローガンとして、以下の施策を中心に取り組んでまいります。

 

1. 『モノづくりの底力』を引き上げる事業基盤の強靭化

(1):要員管理、生産性マメジメントの充実による限量経営の進化

(2):現有能力の最大化と鉄源ハイブリッド拡大による上方弾力性の確保

(3):TPSをベースとした徹底した効率化の断行とアウトプットの付加価値向上

(4):原材料調達のリスクマネジメント強化(鉄スクラップ、中国高依存資材等)

2. 『両利きの経営』の推進(既存事業の継続・発展と、新規ビジネスの育成加速)

(1):生技・製造・販売が一体となった鍛鋼ビジネスの競争力再構築

(2):先読みしたリエンジの先出しによる生産能力の拡大

(3):水素社会化、インフラクライシスへの対応によるステンレスビジネスの拡大

(4):人々の豊かな生活や環境保全に役立つアイチDNAからのビジネスモデルの早期構築

(5):CASE、CN、DX対応への部門間連携、プロジェクト活動の強化

3. グローバルでの連結経営力の強化

(1):インドビジネス(Home&Away)の確実なマイルストーン管理でのプロジェクト進行

(2):子会社の収益力向上(限量経営、競争力強化)

(3):グローバルでの危機管理体制の整備

(BCM:Business Continuity Management 事業継続マネジメント、ガバナンス、コンプライアンス)

4. 明るく、風通しの良い職場に向けて

(1):双方向コミュニケーションで風通しの良い規律ある明るい職場づくり

(2):「人を育てる」管理監督者教育の充実と当事者意識の高い事技スタッフの計画的育成

(3):抜本的な働き方改革(ダイバーシティ推進、65歳現役社会の実現等)によるワーク・ライフの充実

 

これらの取り組みをさらに加速・強化することにより、全社員が心を1つに力を1つに、モノづくり力の向上とESG経営実践に向け、全員参加で取り組み、当社グループの企業価値を高めてまいります。

 

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