業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 ⑴経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、世界的な新型コロナウイルスの感染症拡大による経済の停滞から急速に回復してきましたが、半導体不足により回復のペースは鈍化しております。わが国経済については、新型コロナウイルス感染症の抑え込みにより回復の兆しが見られましたが、半導体不足や原材料価格高騰により力強さを欠いております。

 特殊鋼業界の主要な需要先である自動車産業においては、半導体を始めとした部品不足により減産が続いております。この自動車産業の減産の影響を受け、特殊鋼業界も生産調整を余儀なくされています。

 このような環境の中当社グループの特殊鋼事業セグメントにつきましては部品不足が顕在化する前の旺盛な注文を受けて国内外向けの耐熱鋼および磁性材を中心に販売量は前年実績を上回りました特に積極的に設備投資を進めている半導体産業向けの販売が堅調を維持し特殊鋼事業セグメントの収益を下支えしております一方で当該事業セグメントの一部である熱処理事業につきましては自動車産業の減産と電力費の高騰等により収益性が低下しており減損損失を計上しておりますしかしながら当該事業セグメント全体では販売量の増加や原価低減活動の継続により増収増益となりました

 この結果、当連結会計年度における財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,430百万円増加し、31,217百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ281百万円増加し、5,902百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,149百万円増加し、25,314百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比3,696百万円増の19,883百万円となりました。経常利益は前連結会計年度比603百万円増の2,142百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比726百万円増の1,154百万円となりました。

 

   セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。


○特殊鋼事業
 売上高は前連結会計年度比3,534百万円増の17,516百万円、セグメント利益(営業利益)は551百万円増の909百万円となりました。
○不動産賃貸事業
 売上高は前連結会計年度比161百万円増の2,366百万円、セグメント利益(営業利益)は133百万円増の1,123百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ361百万円増加し、5,789百万円となりました。

  各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金収支は、1,298百万円の増加(前連結会計年度は1,633百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,547百万円に、プラス要因として、減価償却費707百万円、減損損失391百万円、マイナス要因として、棚卸資産の増加額767百万円、売上債権の増加額581百万円、法人税等の支払額358百万円等を調整した結果によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金収支は、782百万円の減少(前連結会計年度は1,733百万円の減少)となりました。これは、プラス要因として、定期預金の払戻による収入273百万円、マイナス要因として、有形固定資産の取得による支出1,022百万円、投資有価証券の取得による支出300百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金収支は、167百万円の減少(前連結会計年度は152百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額165百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

特殊鋼事業

16,710,902

123.5

不動産賃貸事業

 (注)1.金額は、販売価額により算出しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

特殊鋼事業

17,990,282

125.3

4,854,324

110.8

不動産賃貸事業

 (注)1.金額は、販売価額により算出しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

特殊鋼事業

17,516,513

125.3

不動産賃貸事業

2,366,595

107.3

合計

19,883,109

122.8

 

 (注)1.主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱西友

2,004,153

12.4

2,133,154

10.7

大同興業㈱

1,496,158

9.2

2,013,919

10.1

佐久間特殊鋼㈱

1,563,568

9.7

1,910,241

9.6

㈱NITTAN

1,492,804

9.2

1,909,665

9.6

 

 

 ⑵経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は14,449百万円(前連結会計年度末12,796百万円)となり、1,653百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・売上増加により受取手形が13百万円、売掛金が220百万円、電子記録債権が361百万円各々増加しております。

・売上増加や原材料価格高騰等により仕掛品が400百万円、原材料及び貯蔵品が338百万円各々増加しております。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は16,767百万円(前連結会計年度末16,990百万円)となり、222百万円の減少となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・減価償却等により建物及び構築物が449百万円減少しております。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は3,837百万円(前連結会計年度末3,457百万円)となり、379百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・課税所得の増加により未払法人税等が193百万円増加しております。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は2,064百万円(前連結会計年度末2,163百万円)となり、98百万円の減少となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・大規模修繕工事の完了等により修繕引当金が103百万円減少しております。

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産の残高は25,314百万円(前連結会計年度末24,165百万円)となり、1,149百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が988百万円増加しております。

 当社グループは、持続的発展を図るためには安定した財務基盤が必要であると考えており、今後も積極的に戦略投資を行いつつも、安定した財務基盤の維持に努めてまいります。

 

2)経営成績

 当連結会計年度における売上高は19,883百万円(前連結会計年度16,186百万円)であり、3,696百万円の増加となりました。また、営業利益は2,032百万円(前連結会計年度1,347百万円)で685百万円の増加、経常利益は2,142百万円(前連結会計年度1,539百万円)で603百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は1,154百万円(前連結会計年度427百万円)で726百万円の増加となりました。

 当社グループの特殊鋼事業セグメントにつきましては、部品不足が顕在化する前の旺盛な注文を受けて国内外向けの耐熱鋼および磁性材を中心に、販売量は前年実績を上回りました。特に、積極的に設備投資を進めている半導体産業向けの販売が堅調を維持し、特殊鋼事業セグメントの収益を下支えしております。一方で、当該事業セグメントの一部である熱処理事業につきましては、自動車産業の減産と電力費の高騰等により収益性が低下しており、減損損失を計上しております。しかしながら、当該事業セグメント全体では、販売量の増加や原価低減活動の継続により、増収増益となりました。不動産賃貸事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで業績が回復いたしましたが、2022年3月に発生した福島県沖地震で建物や設備が被災し、特別損失を計上しております。

 

b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2023年中期経営計画の初年度である2021年度計画として売上高19,500百万円、経常利益2,000百万円を目標として掲げ、取組んでまいりました。半導体やその他の部品不足の影響を受けた自動車向け需要の減少がありましたが、半導体製造などの産業機械向けの需要の後押しを受け、売上高383百万円増(+2.0%)、経常利益142百万円増(+7.1%)とほぼ計画通りとなりました。

 

c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

○特殊鋼事業

 売上高は、半導体産業向けの販売が堅調に推移し前連結会計年度比3,534百万円増の17,516百万円となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、売上増に伴う利益の増加に加え、売上構成変化等により551百万円増の909百万円となりました。

 セグメント資産は、設備の増強や更新などにより、前連結会計年度末に比べ1,247百万円増加の14,639百万円となりました。


○不動産賃貸事業
 売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで回復し、前連結会計年度比161百万円増の2,366百万円となりました。

 セグメント利益(営業利益)は、売上増に伴う利益の増加により133百万円増の1,123百万円となりました。

 セグメント資産は、現預金の増加などにより前連結会計年度末に比べ262百万円増加の10,956百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、不動産賃貸事業が毎期安定的な利益を上げており、営業キャッシュ・フローが継続してプラスとなっております。投資活動によるキャッシュ・フローは、特殊鋼事業への合理化投資及び戦略投資等により継続してマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、その大半が配当金の支払いであります。当社グループは、今後も収益拡大につとめ、営業キャッシュ・フローの最大化を図ってまいります。

 当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な運転資金(材料、外注費及び人件費等)、販売費及び一般管理費等の営業費用、設備の増強、更新及び改造のための設備投資資金、新製品・新技術開発のための研究開発費であります。当社グループは、これらの資金需要に対して、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については、銀行借入(当座借越)により資金を調達することとしております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものは以下のとおりであります。

a.繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。

b.固定資産の減損損失

 当社グループは、これらについては固定資産の減損会計の適用に際して、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与える可能性があります。

 

 当社グループは、これらについては過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。

 新型コロナウイルス感染症の影響がこれらの会計上の見積りに与える重要な影響はないと判断しております。ただし、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、状況が変化した場合には翌連結会計期間の財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

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