研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、東北大学とその附置研究所をはじめ、全国の国公立研究機関並びにユーザーとの密接な協力体制の下に推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

(1)特殊鋼事業

①特殊鋼分野

 持続可能な社会へ向けて、カーボンニュートラルを基軸に、エネルギーキャリアの多様化、モビリティ革命など、産業界は、あらゆる分野で変革が進みつつあります。特に主力事業への影響が大きいパワートレイン関連の脱炭素化のトレンドが、これまで培ってきた高機能材料及び関連のコア技術の新たな活躍のステージとして捉えております。

 具体的には、電気自動車の省エネ、水素/アンモニアなどの次世代エネルギーキャリア、スマート社会でニーズが高まる半導体製造などの分野で、電磁ステンレス鋼や拡散接合などによる複合加工製品は、益々活躍の場を拡げるものと予想され、既に各方面のお客様から引き合いをいただいておりますが、今後さらにご満足いただける技術と品質のラインアップを揃えて応えてまいります。

 新材料開発では、東北大学と共同開発した磁歪材料及び磁歪クラッド材が新しいエネルギー変換素子として活躍する分野を拡げるため、より高度な複合材料へ発展させる開発を進めております。これら新複合材料と磁性機能材料を包括した製品群は、当社創業以来の商標「キリンハガネ」にちなんだ「麒麟磁(KIRINJI)」の登録商標を付して、広く産業界でご愛顧いただけるブランドに発展するものと確信しております。

 また2022年4月、経済産業省~NEDOのグリーンイノベーション基金事業における「次世代蓄電池・次世代モーターの開発/モビリティ向けモーターシステムの高効率化・高出力密度化技術開発/高効率電動化システム開発(材料)」の委託企業に採択されました。高効率電動車用モーターの2030年実用化に向けて、㈱日立製作所、大同特殊鋼㈱と共同で、モーターコア用の革新的な磁性材料の開発を進めて参ります。

 なお、当社の特色ある素材開発と特殊用途向けの合金事業を支える真空誘導溶解炉の更新工事が、コロナ禍の影響で遅れておりましたが、今夏完工し最新鋭の溶解設備として生まれ変わります。強化された設備諸機能、溶解容量範囲の拡大により、より広範囲な材料ニーズに開発、試作から量産までお応えします。

 

②熱処理加工分野

 特殊鋼製造技術の応用として生まれた熱処理事業は、表面改質、拡散接合、部品加工事業との連携を含めた複合加工プロセスとして発展しつつあります。その背景のひとつである情報技術の高度化に伴う電子・電機業界からの部品の高機能化・高精度化ニーズに、半導体装置部品、熱マネジメント関連部品、精密フィルター等で、当社の拡散接合の高精度加工技術が貢献しています。これらのニーズは年々高度化しており、従来困難だったチタン合金や耐熱耐蝕合金など難加工材の高精度加工プロセス技術の開発にも取組んでいます。前年は2年ぶりに幕張メッセでの接着接合EXPOに出展し、多数のお引き合いをいただきました。

 また、拡散接合は複合材料製造プロセスとしての役割も担っており、ステンレス、チタン、ニッケル、銅、アルミや、それらの異種接合、積層造形等々による新機能材料開発にも取組んでいます。磁歪クラッド材はその成果のひとつで、農業分野での応用にも取組んでおり、トマト栽培における害虫防除や授粉のスマート化等によるSDGsへの貢献も期待されています。

 

 当連結会計年度における研究開発費は339,812千円であります。

(2)不動産賃貸事業

 研究開発活動は行っておりません。

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