(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日)の世界経済は、先進国を中心に新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進んだことや多くの国におけるロックダウン解除による需要回復、好調な消費や投資などが奏功し、経済活動は回復へと向かいました。
日本経済においては、新型コロナウイルスの影響長期化、半導体の供給不足、自動車の減産などのマイナス要因はありましたが、ワクチン接種が進んだことによる経済活動の再開や製造業を中心に高水準の活動が見られたこともあり、総じて回復基調となりました。
このような状況の中、当連結会計年度の売上高は、主力の合金鉄事業において、製品需要が堅調であったことに加え販売価格も高いレベルで推移したことなどにより、65,978百万円(前年同期比22.2%増)となりました。利益面では、営業利益は8,436百万円(同55.2%増)、経常利益は6,870百万円(同124.3%増)となりました。また、合金鉄事業において今後の業績の安定性が見込まれることによる繰延税金資産の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は7,768百万円(同197.0%増)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(合金鉄事業)
当連結会計年度における世界の粗鋼生産量は、新型コロナウイルスの感染抑制状況や経済対策により国・地域毎に濃淡はあるものの、総じて回復基調となり、19億5,050万トンと前年と比べ3.7%増加しました。また、国内粗鋼生産量は、一部で需要の弱さがあるものの、9,633万トンとなり、前年と比べ15.8%増加しました。
こうした状況の中、主力製品である高炭素フェロマンガン製品市況は、世界的な需給引き締まりと海上運賃高騰等によりほぼ年間を通して上昇しました。販売数量につきましても、需要家の操業回復が顕著であったため前年と比べ大幅に増加しました。
また、一部顧客との取引において、製品市況の変動による損益の大幅な変化を抑制する仕組みを取り入れたことで、将来の業績の安定性の向上が見込まれます。
以上の結果、合金鉄事業の当期業績は、売上高・経常利益ともに前年を上回りました。
(機能材料事業)
新型コロナウイルスの感染再拡大や世界的な半導体不足を背景とした部品調達難による自動車の減産はあったものの、電池材料の販売は概ね前年を上回りました。
酸化ジルコニウムは自動車の電装化や5G等が追い風となり需要堅調により生産能力を増強しました。その他の電子部品関連材料の販売も堅調に推移しました。
酸化ほう素の販売は、ディスプレイ用ガラス基板向け販売が好調であったため前年と比べ増加しました。
以上の結果、機能材料事業の当期業績は、売上高・経常利益ともに前年を上回りました。
(環境事業)
環境システム事業につきましては、新型コロナウイルスの感染再拡大や世界的な半導体不足などの影響に伴う自動車生産の減少により顧客の稼働率が低下したことが主要因となり、モバイル型イオン交換樹脂塔の再生塔数やエネファーム向けのイオン交換樹脂販売数量が減少し、売上高・経常利益ともに前年を下回りました。
中央電気工業の焼却灰溶融処理事業につきましては、焼却灰溶融炉(EM1号炉・2号炉)の老朽化設備の更新に加えEM3号炉の炉修を実施したことから処理量が減少し、売上高・経常利益ともに前年を下回りました。
以上の結果、環境事業の当期業績は、売上高・経常利益ともに前年を下回りました。
(電力事業)
電力事業につきましては、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を利用した売電事業として、2ヶ所の発電所が順調に稼働し気象条件にも恵まれたため、年間売電量は前年より増加しました。
以上の結果、電力事業の当期業績は、売上高は前年を上回りましたが、管理費の増加などにより経常利益は前年を下回りました。なお、当事業につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響はありませんでした。
また、当連結会計年度におけるセグメントの売上高及び経常利益は次のとおりです。
(単位:百万円、%)
区分 |
第121期(前連結会計年度)
(2020.1.1~2020.12.31)
|
第122期(当連結会計年度)
(2021.1.1~2021.12.31)
|
増減率
|
|||||||
売上高 |
経常利益 |
売上高 |
経常利益 |
売上高 |
経常利益 |
|||||
金 額 |
構成比 |
金 額 |
構成比 |
金 額 |
構成比 |
金 額 |
構成比 |
|||
合金鉄事業 |
31,229 |
57.8 |
-28 |
- |
41,006 |
62.2 |
4,018 |
58.5 |
31.3 |
- |
機能材料事業 |
9,688 |
17.9 |
1,134 |
- |
11,123 |
16.9 |
1,316 |
19.2 |
14.8 |
16.0 |
環境事業 |
6,001 |
11.1 |
1,438 |
- |
5,681 |
8.6 |
910 |
13.2 |
-5.3 |
-36.7 |
電力事業 |
1,360 |
2.5 |
371 |
- |
1,455 |
2.2 |
354 |
5.2 |
6.9 |
-4.5 |
その他 |
5,723 |
10.6 |
146 |
- |
6,711 |
10.2 |
270 |
3.9 |
17.3 |
84.4 |
合計 |
54,004 |
100.0 |
3,063 |
- |
65,978 |
100.0 |
6,870 |
100.0 |
22.2 |
124.3 |
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,246百万円の収入となりました(前連結会計年度
は10,351百万円の収入)。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益6,146百万円、仕入債務の増加による増加2,659百万円です。
主な減少要因は、売上債権の増加による減少4,734百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,211百万円の支出となりました(前連結会計年度
は8,994百万円の支出)。
主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出2,718百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,920百万円の支出となりました(前連結会計年度は
701百万円の収入)。
主な要因は、長期借入金の返済による支出1,458百万円と配当金の支払額1,321百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ176百万円増加し9,763百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
合金鉄事業 |
37,377 |
126.0 |
機能材料事業 |
9,573 |
101.6 |
環境事業 |
5,338 |
95.2 |
電力事業 |
1,455 |
106.9 |
その他 |
1,540 |
120.1 |
合計 |
55,284 |
116.8 |
(注) 1 金額は販売価格によっており、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
受注生産は行っておりません。
c.販売実績
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
合金鉄事業 |
41,006 |
131.3 |
機能材料事業 |
11,123 |
114.8 |
環境事業 |
5,681 |
94.7 |
電力事業 |
1,455 |
106.9 |
その他 |
6,711 |
117.3 |
合計 |
65,978 |
122.2 |
(注) 1 消費税等は含まれておりません。
2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは合金鉄事業において、世界的な鉄鋼需要の回復により合金鉄市場が上昇したこと及び、国内粗鋼生産量の増加により合金鉄の需要が増加したためであります。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相 手 先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
日本製鉄㈱ |
25,719 |
47.6 |
31,954 |
48.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況の分析・検討内容
経営者等の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループが用いた会計上の見積りのうち重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ9,717百万円増加し95,888百万円となりました。流動資産は、受取手形及び売掛金、棚卸資産などの増加により、前連結会計年度末と比べ5,504百万円増加し53,454百万円、固定資産は、繰延税金資産などの増加により、前連結会計年度末と比べ4,213百万円増加し42,434百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金、未払法人税等などの増加により、前連結会計年度末と比べ1,822百万円増加し31,563百万円となりました。なお、有利子負債(短期借入金、一年内返済予定の長期借入金、リース債務(流動負債)、長期借入金、リース債務(固定負債))は1,594百万円減少し17,759百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,895百万円増加し64,325百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
b.経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
③経営成績に重要な影響を与える要因
「2事業等のリスク」に記載しております。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入などによる調達を基本としております。
設備投資につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入などによる調達を基本としております。
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