事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、次のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)国内外の主要市場の経済状況及び需要の変動等

 合金鉄の販売価格は国際市況を基準としていることから、国際的な製品需給により市況が変動した場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループの売上高はほとんどが国内向けとなっており、業績はわが国の経済情勢、とりわけ粗鋼生産量の変動により多大な影響を受けます。また、中国を始めとするアジア諸国等における経済情勢は自動車をはじめとする我が国の輸出動向を経て粗鋼生産・合金鉄需要に影響を与え、当社の業績が変動する可能性があります。加えて、新型コロナウイルス感染症が拡大することで、経済活動が停滞し当社製品の需要が落ち込むことにより、業績が影響を受ける可能性があります。当社は、国際市況、経済動向を十分に見据えながら適切に対応すべく、機動的な生産計画の見直しに加え生産体制の見直し等当該リスクの低減に努めてまいります。

(2)国内外の競合各社との競争状況及び主要需要家の購買方針の変更等

 当社グループは、各事業において、国内外の競合各社と厳しい競争状態にあることから、当社グループの事業競争力が相対的に減退した場合には、業績が悪化する可能性があります。また、各事業分野における主要な需要家の購買方針に変更等が生じた場合には、業績が変動する可能性があります。当社は、需要家との密接な関係強化の継続に努めているとともに、安価原料の使用や原料ソース分散などによる製造コスト低減や一般管理費の削減などにより原価低減を推し進め、競争力の維持・向上に努めております。

(3)原燃料調達における価格・数量等の変動

 マンガン鉱石、コークス、レアアース、原油等の原燃料価格は国際市況に連動しており、国際的な資源需給の変動、資源輸出国における経済・社会情勢等の変化、巨大化した資源資本の行動様式の変化、天災地変等に起因する市況変動等が業績に影響を与える可能性があります。合金鉄の製造原価には電力が相応の割合を占めている為、原燃料の価格変動に起因する電力価格の変動が、業績に影響を与える可能性があります。また、自然災害等による仕入先の操業停止、出荷停止、物流寸断等により、原燃料等の調達に支障が生じた場合、生産活動の制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。当社は、継続的な原料サプライヤーとの関係性により柔軟な契約形態を採用するとともに、安価原料使用や原料ソース分散などによる製造コスト低減や一般管理費の削減などにより収益への影響を最小限にとどめるよう努めてまいります。また、一定数量以上の原料在庫の確保や原料ソース分散により、自然災害等による生産活動の制約のリスクの低減に努めております。

(4)海外での事業活動

 当社グループは、海外諸国において事業投資活動を行なっております。これらの国の法令、税制、社会的インフラの変動、及びテロ等の情勢不安等に加え、現地特有のマネジメント上のリスクもあり、投資先事業における経営環境の変化、業況、及び操業不調等が、業績、及び投資の回収等に影響を与える可能性があります。また、国際的な製品需給により市況が変動した場合には、業績、及び投資の回収等に影響を与える可能性があります。当社は、他の出資会社と共に、現地の事業環境の情報収集に努め、投資先事業への指導を徹底し、また、適切な支援に取り組むことで、当該リスクの低減に努めております。

 

(5)財務リスク

①為替レートの変動

 合金鉄事業を始めとして、当社グループは主として、外貨建の国際市況を基準として取引していることから、為替動向が売上高及び業績に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建で取引されている原料の購入価格にも影響を与える可能性があります。さらに、外貨建の資産・負債を保有していることから、為替相場の変動が業績に影響を与える可能性があります。

②金利変動

 当社グループは、相応の有利子負債を保有しているため、金利情勢、その他金融市場の変動が業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、長期借入金の一部について金利スワップ取引により金利を固定化し当該リスクの低減を図っております。

③資金調達

 当社グループは、資金調達にあたり資金繰り計画に基づき流動性リスクを管理し、更に金融機関との間にコミットメントライン契約を結び不測の事態に備えておりますが、当該契約には財務制限条項が付されているため、当社グループの業績が大きく悪化した場合は当該コミットメントラインに基づく資金調達が影響を受ける可能性があります。なお、財務制限条項の詳細は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)7 財務制限条項」に記載のとおりです。当社グループは、中期経営計画の着実な実行により安定的な収益確保に努めるとともに財務体質の改善強化に努めてまいります。

(6)固定資産減損リスク

 当社グループが保有している固定資産について、時価が著しく低下した場合や事業の収益性が低下し投資の回収が見込めなくなった場合、固定資産の減損損失が発生し、業績に影響を与える場合があります。当社グループは中期経営計画の着実な実行により各事業収益の安定的確保に努めてまいります。

(7)棚卸資産の収益性低下

 製品価格や製品原価の変動により棚卸資産の収益性が低下し、それにより簿価切り下げが発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社は、需要に見合った生産に努めるとともに生産に見合った原料等の最適調達に努めております。また、年度予算で適正在庫水準目標を定めて在庫管理を行い、当該リスクの低減に努めております。

(8)繰延税金資産の回収可能性

 当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら今後、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合は、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

(9)法令その他の規則及び環境規制の変更

 当社グループの事業活動に適用される法令その他の規則の変更があった場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社グループは事業活動に伴い発生する廃棄物について、内外の法規制を遵守し、的確な対応を行っておりますが、関連法規制の強化によっては業績に影響を与える可能性があります。当社グループは法規制の改正等の必要な情報を適時・適切に事前に収集するとともに、社員教育を実施し厳格に法令遵守を図っております。

 

(10)自然災害及び事故

 大規模な台風、地震、津波等の自然災害に見舞われた場合には、当社グループ従業員及び主要設備に被害が発生するおそれがあります。これらの被害により操業、出荷に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止や事業活動への制約等により、業績に影響を与える可能性があります。更に、新型インフルエンザなどの感染症が国内または世界的に流行した場合には、当社グループの事業活動が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。当社は、設備の耐震補強や嵩上の実施、老朽化設備の更新等に加え、事業継続計画(BCP)を策定し、その実地訓練を実施するなど有事に備えております。また、日頃の設備メンテナンス、老朽化設備の更新、定期的な安全活動(リスクアセスメント、危険予知活動等)の計画と実施等により、リスク低減を図っております。足下で感染が拡大している新型コロナウイルス感染症につきましては、マスク、手洗い、飛沫防止対策等の予防活動の徹底、テレワークや時差通勤の奨励等の対策を実行し、感染リスクの低減に努めております。

(11)知的財産

 当社グループは当社技術に関わる知的財産権の取得・活用及び他社知的財産権の侵害防止に努めておりますが、技術の進歩が高度かつ複雑になる中、知的財産に関する訴訟が生じた場合には、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。当社は、他社との特許係争が生じないよう、特許連絡会を設置し、問題特許や競合他社の特許出願の有無を常時モニターし適切な対応に努めております。

(12)人材確保及び育成

 当社グループは、事業の成長に必要な人材の確保及び育成に努めており、その際には多様性の確保と一人ひとりの人格を尊重し受け入れる企業風土の醸成が不可欠です。今後、少子高齢化に伴う労働人口の減少や企業風土醸成が不十分なことによる人材定着率の低下などにより人材の確保や育成が計画どおりに進まなかった場合、当社グループの事業活動、継続的発展に影響を与える可能性があります。このような事態を回避するため、採用活動の強化、育成体系や職場環境の整備などに取り組み、魅力ある企業としての体制づくりを進めております。

(13)気候変動リスク

 当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因として認識しています。移行リスクとしては、炭素税・排出権取引制度のような温室効果ガスの排出規制が導入された場合、原材料価格や電力価格が上昇する可能性があります。これにより当社グループの製造コストが増加し、収益低下をもたらす可能性があります。また、物理的リスクとしては、台風・洪水等の極端な気象現象が深刻化した場合、生産拠点における操業停止や被害コストの増加などが収益低下をもたらす可能性があります。一方で、当社グループは、気候変動への対応をリスクとしてだけでなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題の解決を目指してまいります。

 また、2022年2月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、気候変動の影響評価及びその情報開示に取り組んでいます。

 

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