研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)はこれまで培ってきた鋳物関連事業に加え、機械・環境関連事業を大きな事業の柱の一つとして位置付け、2021年4月にKOGI C(Casting for industrial foundation)&E(環境:Environment for our future)グループとして生まれ変わりました。当社グループは多様な技術を追求する企業として有用な商品を創出し、この国の産業の礎と未来の発展のために資することを行動指針として日々の研究開発に勤しんでおります。

 鋳物関連事業分野では、機能性に優れた鋳鉄材などの材料開発に取り組む一方で、新規商品開発ツールとして金属3Dプリンタを活用し、広い分野において貢献できる新たな材料の創造・開発にも取り組んでおります。

機械・環境関連事業分野では、省力化・省エネ化などに対応した先進的な機能性素材、機械・環境関連設備の設計および技術開発を間断なく推し進めております。

 現在、研究開発活動において、当社の開発部、各事業部の技術スタッフで実施しております。また海外子会社の天津虹岡鋳鋼有限公司及び南通虹岡鋳鋼有限公司では技術スタッフが実施しております。研究開発に専門的に携わっている人数は当社グループ全体で49名であります。

 当連結会計年度における全社の研究開発費は458百万円であります。なお、研究開発費には、開発部で行っている熱解析、流動解析、応力解析などのためのシミュレーション技術の開発や全社的な基礎的研究など、各事業に配分できない費用が7百万円含まれております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果および研究開発費は次の通りであります。

 

1 Casting Field

 主に開発部と関連事業部の技術スタッフが研究開発活動を実施しております。

 開発部では通常の一般鋳鉄材では成し得ない高剛性と高強度を有する鋳鉄材を開発しました。本開発材は3誌の新聞記事に掲載され、さらに日本鋳造協会の技術開発賞を受賞し、次世代を担う新材料として産業界から注目を集めております。現在、実用化に向けた各種鋳造テストを行いつつ、技術の成熟を図っております。

 また新規商品開発として金属3Dプリンタを活用した高機能・高付加価値材料の創製に取組んでおります。その過程において公立大学法人 兵庫県立大学に開設された新材料の研究・開発中核拠点である「金属新素材研究センター」が主催する産学官連携プロジェクト「ひょうごメタルベルトコンソーシアム」に委員として参画し、新型コロナウイルス感染拡大を懸念した現況下ではありますが、関連大学や企業との交流を積極的に推し進め、研究開発の質的な向上を図っております。

 解析の分野においてはお客様の設計仕様を踏まえつつ、より質の高い鋳物製品を提供するため、流動解析と熱解析に応力解析を連動させた鋳造CAEの技術向上にも取り組んでおります。昨年からそれら解析ソフトの機能を応用し、鋳造にて発生する欠陥の予測技術の開発に着手しております。鋳造条件と実際の欠陥情報を取得、機械学習させることによって発出する欠陥を予測することができるため、事前の鋳造欠陥予防措置を講じることが可能となります。今後はさらに情報のデータベース化を進めることで、鋳物製品の品質確度の向上を図ってまいります。

 事業部門において連続鋳造鋳鉄棒については大型材の品種拡大や新材質の適応サイズを拡充することによって主力商品群のラインナップが充足化し、ゆるぎない業界随一のシェアのさらなる向上と売上拡大に貢献しております。

 大型鋳物製品においてはこれまでに培ってきたフルモールド鋳造法の技術をさらに錬成し、高難度の鋳物を製造しております。現在、製造可能な材質のグレードアップを図りつつ複雑な構造を有する鋳物部材への独自の製造工法を展開中であり、今後は更なる用途拡大を進めてまいります。

 圧延ロール関連商品についてはこれまで国内の製鋼メーカーに納入し、お客様から高評価をいただいております。さらに他社ロールメーカーの事業撤退を受け、新たな材質のロール製造にも当社の質の高い技術を元に果断に取り組み、売上拡充の一役を担っております。

 また公共関連商品においては自社型マンホールやセキュリティの観点から施錠を可能とした電線共同溝(CCボックス)用鋳鉄蓋さらには鋳鉄製グレーチングの開発も進めており、特許出願数の増加のみならず売上の拡大にも貢献しています。景観商品としては伝統的な街並みの景観を損なわない鋳鉄蓋の開発も継続的に行っており、様々な地域への展開も進めております。

 中国国内で自動車用プレス金型鋳物の生産・販売を手がける天津虹岡鋳鋼有限公司及び南通虹岡鋳鋼有限公司は、黒龍江科技大学と共同で鋳鉄材試験の研究を行っております。また、鋳鉄材の製造技術及び生産性向上のための技術開発にも取り組み、それに係る特許申請を行っております。上記の取り組みに加えて、ITを活用したモノづくりにも積極的に取り組んでおります。

当事業に掛かった研究開発費は387百万円であります。

 

2 Environment Field・環境エンジニアリング

 送風機事業においては当該事業部の技術スタッフが中心となって研究開発を進めており、これまでにも様々な送風機を開発し、現在の受注増に寄与しております。さらに低騒音でかつ良好な効率を示す送風機を継続して開発中であり、集塵機業界などに市場シェアの大幅な拡大を目指していきます。

 環境関連事業では、当該事業部の技術スタッフが中心になって研究開発を進めております。これまでに開発されたストーカ式焼却炉は実際の大型ごみ焼却施設として稼働しており、安定的な燃焼効率や大幅な省エネ効果が得られるなどお客様から高評価を得ています。昨年受注した東京都八丈町のクリーンセンター建設工事は当社が誇るストーカ式焼却炉を2炉有する過去に類を見ない大型の施設で、2021年12月に起工式を終え、着々と工事が進んでおります。今後も各地方自治体から発信される都市ごみ焼却事案の受注拡大に繋げていきます。

 また送風機器関連技術のノウハウを生かした新たな商品開発や太陽光を利用した機器の開発も進行中です。これら技術の早期実用化をさらに推し進め、鋳物事業に次ぐ中核事業となるように人材を含めた技術的リソースの醸成も深めてまいります。

 当事業に掛かった研究開発費は57百万円であります。

3 Environment Field・機能材料

 機能材料関連事業では、主に開発部と関連事業部の技術スタッフで研究開発を実施しております。

 主として自動車の摩擦材として使われているメタルファイバーはその材質、サイズ及び形状の種類を大幅に拡大して様々な用途開発に取り組んでおります。中でも当社独自の技術によって開発した特殊なR形状やL形状のファイバーはストレート形状と比較して使用時のファイバー脱落が少ないとの評価をお客様よりいただいており、県内地域産業トピックスとして新聞記事に取り上げられました。さらに今後需要が見込まれる電磁波シールド材や放熱部材などの分野に向けて開発部と共同で当社オリジナル材料の開発を推進しつつ、ファイバー素材単体の販売だけではなく様々な媒体との複合化技術の開発も進めることで、お客様への提案型のビジネスモデルを展開してまいります。

 当事業に掛かった研究開発費は5百万円であります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得