課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループといたしましては、激変する環境の中にあっても安定した収益を確保できうる経営基盤の強化を図るとともに、更なる発展を目指してまいります。そのために、2008年10月には持株会社体制に移行いたしました。持株会社はグループ全体の最適化を目指し、常に変化する外部環境に経営が即応できるようなグループ戦略を構築いたします。過大な設備や人的資源配置の見直し、各社間での共同研究開発等を目的としたグループ全体の体制再構築を推進し、より強力で筋肉質なグループ体制づくりに邁進することにより、グループとしての企業価値の向上を図ってまいります。内部統制の観点からも持株会社がグループ各社を統括し、適切なリスク管理を行ってまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

1) 時代の変化に迅速に対応できる柔軟で活力ある企業体質づくりをはかる

① 新製品の開発・販売の強化、並びに、スピードアップ

② 技術力・生産力・営業力の強化

2) 収益力の強化

① 商品の適正価格販売

② トータルコスト低減

 経営戦略の中で、各社、各事業部門ごとに売上高、経常利益、並びに、経常利益率を経営数値目標として設定し、その達成に全力を注いでおります。

 

(3)会社の対処すべき課題

今後の国内経済は、世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響により、先行きの不透明感が一層増すものと思われます。経済活動が制約される中、個人消費が低迷し、雇用環境も悪化しています。需要の大幅減少に加えて、国外からの部品調達も滞り、各産業の生産活動に支障をきたしています。世界中のヒトやモノの動きが停滞し、様々な経済指標が悪化しているうえ、米中貿易摩擦の行方や、英国のEU離脱等が世界経済に及ぼす影響が未知数となっています。輸出を中心として、世界経済の動向に大きく影響される我が国の景気動向は、全く予断を許さない状況となってしまいました。

当社グループは、このような情勢の中で、昨年に改定されたグループ理念であります「高品位なテクノロジーで最適なエンジニアリング・ソリューションを提供し、安全で高品質なモノづくり産業の発展と、安心で快適な社会づくりに貢献する」を実現するべく、企業活動に邁進してまいります。新型コロナウィルスの影響で、一時的に引き合いが減少しておりますが、ユーザーのニーズを吸い上げ、期待を超える製品を提供するようきめ細かい活動を継続いたします。特に、技術的なトレンドや市場環境の変化に即応できるよう柔軟な組織運営を展開し、グループ全体で営業力、技術力、製造力の強化に努めてまいります。同時に、高付加価値品の拡販と生産効率化による収益力向上、並びに、品質安定化による顧客満足度向上を両立させ、更なる成長を目指してまいります。

受注面では、上流での技術営業にも注力し、グループの総合力と製品のバラエティーを生かした当社にしかできないエンジニアリング・ソリューションの提供を目指してまいります。生産面では、高機能素材や一層複雑な形状への挑戦を続け、試験研究や生産設備導入なども積極的に進めてまいります。年々増える短納期要求に対応するために、ライン改造や各種効率化改善策を施してまいります。

素形材、産業機械といった民需向けの事業部門では、新型コロナウィルスの影響により各産業での動きが鈍くなっておりますが、需要が回復した際に対応可能な供給力を高めるために、各種設備や加工機械の増設を計画いたします。同時に、グループ内での共同営業を進め、同じ需要家に提供する製品の幅を広げてまいります。原価面では、更なるコスト削減を実施すべく、生産の平準化と効率化投資を増やしてまいります。

公共事業向けが中心となる土木建築機材部門では、今年度の予算執行時期が遅れることも予測されますが、取りこぼしのないよう質の高い受注活動を展開してまいります。設計期間の短縮を図り、工事元請会社への受注活動だけでなく、発注元である官公庁や設計事務所に対するセールスエンジニアリングも推進してまいります。一方、旺盛な需要が見込まれる維持補修関連につきましては、メンテナンス用の新製品の投入と体制整備により、全国的な営業展開を積極的に努めてまいります。

全体的には、昨年度策定した品質方針に則り、品質を最重視した企業活動を通して社会と市場から信頼され必要とされるグループになることを目指してまいります。その上で、いずれの事業セグメントにおきましても、安定した収益構造を確立してまいります。グループ内各社間、事業部門間のシナジー効果を最大化するために、共同研究開発を促進し、川金グループの技術力を結集した新製品の開発を目指します。また、注力分野への大胆な人的資源の投入や、体制の見直しなどによって、グループ経営の最適化を推進し、より強力で筋肉質な組織づくりを進めてまいります。これら施策の実行を通じて、グループ全体の企業価値の向上を図り、更なる発展を目指してまいる所存です。

 

[建築物用免震・制振用オイルダンパーに関する不適切行為への対応について]

当社グループにおいて、2018年10月23日「当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為について」(同年11月9日及び12月26日の続報並びに12月27日及び28日の訂正を含みます。)に関する適時開示のとおり、試験データ書き換えという不適切行為が発覚いたしました。対象物件の所有者様、居住者様、施主様、建設会社様、設計事務所様をはじめとする関係者の皆様、及び、株主の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしていることに対しまして、改めて心よりお詫び申し上げます。

外部法律事務所による事実調査報告及び再発防止策の提言にもとづき、当社として具体的諸施策を立案し、2019年2月7日に「当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為に関する調査報告書受領及び原因究明・再発防止策について」と題してこれを適時開示いたしました。

当該再発防止策は、(a)オイルダンパーを製造していた当社グループ会社である光陽精機株式会社におけるオイルダンパー事業の抜本的改革、(b)オイルダンパーを販売していた当社グループ会社である株式会社川金コアテックにおけるオイルダンパー製品の品質保証体制の強化、(c)当社におけるグループ品質監査体制の強化といった諸施策から構成されておりますが、当社グループでは、会社のあるべき姿を理念等として明確化し、これに即して経営を行うことが出発点と考え、グループ経営理念、品質方針等、並びに、各社の事業特性に照らした経営理念、品質方針等の制改定を行うとともに、取締役及び従業員が法令、定款、社内規定、企業倫理を遵守した行動をとるため行動基準を制定いたしました。また、不適切行為の未然防止並びに不適切行為に対する迅速な対処と再発防止策の徹底を推進するため、当社グループのコンプライアンス強化拡充を目的として「グループ・コンプライアンス委員会」を中心とする体制の運用強化を実施しております。

今後、当社グループ役職員は、このオイルダンパーに関する不適切行為類似の問題を二度と起こさないという強い覚悟をもって、上記再発防止策を真摯に実施し、すべての事業活動において厳格に法令や契約等のルールを遵守する姿勢を貫く所存であります。

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