(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当グループの事業領域においては、コロナ禍におけるサプライチェーンの停滞に加えて、一部地域でのロックダウンや中国経済の景気減速懸念等により不透明な状況で推移しました。一方、金属スクラップの輸出需要は増加と減少を繰り返しながらも、金属スクラップ価格は、脱炭素を背景としたリサイクル原料の評価の高まりや下期の円安の進展等により、底堅く推移しました。
これらのことから、当連結会計年度の鉄スクラップ平均価格(東京製鐵田原海上特級価格)は55,520円と、前期の36,054円を上回って推移しました。また、非鉄金属等においても、銅、アルミ、ニッケル及びコバルトの平均価格は、前期を上回って推移しました。
このような環境の中で、当連結会計年度においては「持続可能社会実現の一翼を担う」のミッションステートメントのもと、「脱炭素社会」、「循環型社会」、「分散型社会」実現に向けた課題解決を事業機会としてチャレンジしていくことを戦略コンセプトに、「サーキュラーエコノミーの具体的な事例の実現」、「創発的能力を備えた自律した個人の規律ある集団」の構築に向けた取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は57,319百万円(前期比40.0%増)、営業利益は3,343百万円(前期比56.9%増)、経常利益は4,166百万円(前期比66.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,111百万円(前期比108.6%増)となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。
セグメント別業績の概要
≪売上高≫ (単位:百万円)
≪セグメント利益又は損失(△)≫ (単位:百万円)
(注)セグメント利益又は損失(△)は連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
①資源循環事業
金属スクラップ価格が前期を上回って推移し、物理的選別技術を背景とした資源リサイクルの収益性はより一層高まりました。加えて、前連結会計年度より続いた大型解体物件からの鉄スクラップ取扱量の増加もあり、持分法による投資利益の増加とも相まって、増収増益となりました。
以上の結果、資源循環事業の売上高は20,397百万円(前期比43.5%増)、セグメント利益は2,752百万円(前期比32.3%増)となりました。
また、当期に静岡県富士市に新工場建設を決定し、来期稼働に向けて建設を開始しております。
②グローバルトレーディング事業
金属スクラップの輸出環境は、海外情勢が刻々と変化する中、国内外の需給は不安定に推移し、さらに、配船難による海上運賃高騰も継続する厳しい環境となりました。その中で、金属スクラップの取扱量は減少したものの、国内需要の取り込みや価格変動を活用した販売、円安による為替差益等により収益を確保し、増収増益となりました。
以上の結果、グローバルトレーディング事業の売上高は42,989百万円(前期比38.5%増)、セグメント利益は1,147百万円(前期比61.2%増)となりました。
③リチウムイオン電池リサイクル事業
大手電池メーカー等からの仕入や、処分業許可を活用した廃電池の処理受託等により取扱量は増加しました。加えて、ロシア・ウクライナ情勢の影響等によりコバルト、ニッケル価格が上昇したことで、資源リサイクルの収益性は高まりました。前連結会計年度の固定資産の減損損失による減価償却費の減少もあり、増収増益となりました。
以上の結果、リチウムイオン電池リサイクル事業の売上高は1,347百万円(前期比277.8%増)、セグメント利益は478百万円(前期はセグメント損失80百万円)となりました。
④その他
環境経営コンサルティング事業は、CDP評価向上支援、カーボンニュートラル戦略立案、TCFD対応支援及びサーキュラーエコノミー等のコンサルティングの受注が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。
障がい福祉サービス事業は、事業所の一部閉鎖による利用者数の減少、報酬改定による収益性の悪化や待遇改善による人件費の増加もあり、減収減益となりました。
以上の結果、その他事業の売上高は443百万円(前期比25.0%増)、セグメント利益は120百万円(前期比43.4%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は 28,963百万円 ( 前連結会計年度末比2,414百万円の増加 、 前連結会計年度末比9.1%増 )となりました。流動資産は 18,448百万円 ( 前連結会計年度末比947百万円の増加 、 前連結会計年度末比5.4%増 )となりました。これは、商品及び製品が1,224百万円減少したものの、現金及び預金が1,798百万円、受取手形及び売掛金が300百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は10,515百万円(前連結会計年度末比1,467百万円の増加、前連結会計年度末比16.2%増)となりました。これは、建物及び構築物が44百万円減少したものの、建設仮勘定が836百万円、投資有価証券が409百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は 12,744百万円 ( 前連結会計年度末比471百万円の減少 、 前連結会計年度末比3.6%減 )となりました。流動負債は 9,968百万円 ( 前連結会計年度末比202百万円の増加 、 前連結会計年度末比2.1%増 )となりました。これは、支払手形及び買掛金が419百万円減少したものの、短期借入金が530百万円、1年内返済予定の長期借入金が140百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は2,776百万円(前連結会計年度末比674百万円の減少、前連結会計年度末比19.5%減)となりました。これは、長期借入金が700百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は 16,219百万円 ( 前連結会計年度末比2,885百万円の増加 、 前連結会計年度末比21.6%増 )となりました。これは、利益剰余金が2,741百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,796百万円増加し、8,913百万円(前連結会計年度末比25.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額1,005百万円、持分法による投資利益523百万円、仕入債務の増減額426百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益4,176百万円、棚卸資産の増減額1,065百万円、減価償却費707百万円等の収入により、3,873百万円の収入(前年同期は252百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入29百万円等の収入があったものの、有形固定資産の取得による支出1,388百万円等の支出により、1,404百万円の支出(前年同期は15百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加額530百万円、長期借入金の借入による収入135百万円等の収入があったものの、長期借入金の返済による支出874百万円、配当金の支払額369百万円等の支出により、765百万円の支出(前年同期は2,866百万円の支出)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
当社は、主に基準在庫量及び販売の実需見込に基づいた生産方式を採用しておりますので、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」にて記載しております。
「(経営成績等の状況の概要)(1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手元流動性資金を勘案の上不足が生じる場合には短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手元資金(利益等の内部留保金)、長期借入金及び無担保社債による調達を基本としております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。
長期資金の調達に際しては、金利動向並びに発行費用等の調達コストも含めて総合的に検討し、銀行借入に比較して有利な条件に限り社債発行を行うこととしております。また、株式の発行に関しては、資本政策に基づき株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。
資金の流動性については、財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手元流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。なお、当グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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