業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当期の世界経済は、各国の新型コロナウイルス対策の進展や行動制限の緩和に伴い経済活動の正常化が進むなど、持ち直しの動きが拡がりました。その一方で、原燃料価格の高騰、半導体を中心とした部材不足による生産の減少、物流の停滞等が生じ、加えて、本年2月のロシアのウクライナ侵攻による情勢の緊迫化により、再び混迷の様相を呈するに至りました。アルミニウム業界においても、原料となるアルミニウム地金などの価格上昇が続きました。

このような経済環境のもと、当社グループにおいては、中期経営計画(2019年度~2021年度)の最終年度として、基本方針に基づく施策の着実な実行と、目標数値の達成に努めました。

 基本方針1「新商品・新ビジネスの創出」では、お客様や社会のニーズを、幅広い事業領域を活かして探索し、保有技術・事業を複合的に組み合わせて商品化・事業化することを旨として対応しました。具体的には、自動車関連では、当社グループの合金、工法、加工技術を組み合わせて商品化した環境対応車向けアルミ放熱プレートに代表される熱対策商品、軽量化に貢献するアルミ導電部材(バスバー)などの開発、上市に取り組んだほか、金属に独自の表面処理を施し樹脂と強固に接合する技術(PAL-fit®)を、車載部品向けで商品化しました。このほか、電池関連、半導体製造装置関連などの分野においても、商品開発と拡販に注力しました。

 基本方針2「成長に向けた資源投入」においては、グループの強みを活かせる分野・地域に対して、より積極的に経営資源を投入し、成長の礎を築きました。インドでは、医薬品包装材のアルミ箔事業を行うスバム・トーヤル社の株式を東洋アルミニウム株式会社が追加取得して子会社化し、同地域での需要増加に対応する基盤を強化しました。米国では、自動車軽量化ニーズを受けた車体構造材用途の需要増加に対応するため、二次合金事業の子会社のニッケイ・エムシーアルミニウム・アメリカ社の生産能力を増強しました。以上に加え、米国の自動車足回り部品関連の子会社、ニッポン・ライト・メタル・ジョージア社においては、2022年度の本格稼働の準備が整い、インドの二次合金事業の子会社、ニッケイCMRアルミニウム・インディア社においても、操業開始に向けた準備を着実に進めました。このほか、当期においては、板加工製品事業を行う株式会社東陽理化学研究所の中国子会社について、今後の収益性と投資負担を勘案し、事業・雇用の継続に配慮のうえグループ外に売却するなど、メリハリの付いた資源配分を実行しました。

 基本方針3「経営基盤強化」では、今後、サステナビリティ経営をより一層重視・促進していくため、当社グループの重要課題(マテリアリティ)および持続可能な価値創造のプロセスを整理・特定するとともに、脱炭素、女性活躍や障がい者支援・雇用など諸課題への取組みと併せて統合報告書にとりまとめ、社内外に発信するなどの対応を行いました。

 当期の業績は、以下のとおりです。

 アルミナ・化成品部門や自動車向け二次合金分野などで販売量が増加したこと、電機電子関連の需要が堅調であったことに加え、地金部門、板・押出製品部門などで、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、売上高は前期を上回りました。一方、原材料・燃料価格が高騰した影響や、トラック架装事業において半導体不足に端を発するシャシーの供給不足により生産が停滞した影響などから、営業利益、経常利益は前期を下回りました。なお、当期は、日本フルハーフ株式会社におけるリコール届出による点検・改修等の費用を特別損失に計上しましたが、株式会社東陽理化学研究所の中国子会社の全持分を譲渡したことなどで生じた利益を特別利益に計上したこと、加えて、前期に特別損失に計上した堆砂対策費用を当期は計上しなかったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期を大きく上回りました。

 

連結経営成績

 

 

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

(2022年3月期)

前連結会計年度

(2021年3月期)

比較増減

(△印減少)

売上高

486,579

432,568

54,011

(12.5%)

営業利益

22,198

24,194

△1,996

(△8.2%)

経常利益

22,928

24,030

△1,102

(△4.6%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

16,759

3,366

13,393

(397.9%)

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

(アルミナ・化成品、地金)

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アルミナ・化成品部門におきましては、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナ関連製品では、耐火物や自動車関連用途のセラミックス向け、放熱用途のフィラー向けで需要回復基調の継続により販売量が増加し、化学品関連でも凝集剤や無機塩化物を中心に販売が堅調であったことから、売上高は前期を大幅に上回り、採算面でも増益となりました。

 地金部門におきましては、主力の自動車向け二次合金分野は、下半期から国内、海外ともに自動車減産による稼働停止の影響があったものの、販売の回復基調が続いたことに加え、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇しました。これにより、売上高は前期を上回り、採算面でも資源価格高騰や燃料価格上昇の影響があったものの、前期と比べ増益となりました。

 以上の結果、アルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期比40.0%増の1,276億33百万円、営業利益は前期比35.4%増の130億21百万円となりました。

 

(板、押出製品)

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 板製品部門におきましては、半導体・液晶製造装置向け厚板において、期を通じて堅調な需要となり前期を上回る販売が続いたことに加え、販売価格がアルミニウム地金市況を反映して上昇したことから、売上高は前期を大幅に上回りました。採算面では原燃料価格上昇の影響があったものの、前期と比べ大幅な増益となりました。

 押出製品部門におきましては、自動車関連向けやトラック架装向けにおいて、半導体供給不足などによる自動車やトラックシャシーの減産影響があったものの、半導体製造装置向けなど産業機器向けや鉄道車両向けなどの販売が堅調であり、またアルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、売上高は前期を上回り、採算面でも増益となりました。

 以上の結果、板、押出製品セグメントの売上高は前期比16.4%増の1,138億76百万円となりましたが、営業利益は前期比26.4%増の75億18百万円となりました。

(加工製品、関連事業)

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主要部門の概況は以下のとおりであります。
 輸送関連部門のうち、トラック架装事業は、半導体不足に端を発するシャシーの供給不足といったサプライチェーンの混乱から、トラックメーカー向けの完成車をはじめ販売台数が大きく減少したことから、売上高は前期を大幅に下回りました。採算面でも販売台数減少に加え、アルミニウム地金価格高騰による材料価格上昇の影響や操業度低下によるコスト上昇などにより、極めて厳しい状況となりました。

 熱交製品事業は、エアコン用コンデンサが自動車減産の影響により主力の軽自動車向けを中心に需要回復が遅れていることから、売上高・営業利益ともに前期を下回りました。

 素形材製品事業は、下半期に自動車減産の影響が一部あったものの、主力のブレーキキャリパーや、車載空調品の販売が好調に推移したことから、売上高・営業利益ともに前期を大幅に上回りました。

 電子材料部門におきましては、通信基地局向けなどの需要が拡大したほか、車載機器向けが前期に引き続き堅調に推移したことにより、アルミ電解コンデンサ用電極箔の販売量が増加し、売上高・営業利益ともに前期を上回りました。

 パネルシステム部門におきましては、クリーンルーム分野では、半導体工場向けの受注が堅調に推移したものの、着工が次期以降となる物件もあり、売上は前期並みとなりました。冷凍・冷蔵分野では、店舗・厨房向けの販売が減少したものの、食品加工工場向けなどで延期されていた工事の再開が相次いだことから、前期を上回る売上となりました。この結果、部門全体の売上高は前期を上回りましたが、営業利益は材料価格高騰の影響もあり、前期を大幅に下回りました。

 景観エンジニアリング部門におきましては、都市景観向けの需要が概ね堅調であった一方、構造物向けで浄水場の覆蓋のオリンピック関連特需が終了し、道路・橋梁向けにおいても点検用足場製品の需要は堅調であるものの、主力の高欄の需要が減少しました。この結果、部門全体の売上高・営業利益ともに前期を大幅に下回りました。

 炭素製品部門におきましては、鉄鋼業界向けカーボンブロックの需要が国内外ともに堅調に推移したことから、売上高・営業利益ともに前期を大幅に上回りました。

 以上の結果、加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期比2.5%減の1,534億15百万円、営業利益は前期比57.5%減の37億76百万円となりました。

(箔、粉末製品)

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 箔部門におきましては、医薬向けや交通系ICカード回路向けなど加工箔の販売は減少したものの、リチウムイオン電池外装用箔や正極材用箔では、車載向けを中心に需要が好調に推移しました。この結果、部門全体で売上高は前期を上回りましたが、営業利益は原材料価格高騰の影響を受け前期を下回りました。

 パウダー・ペースト部門におきましては、粉末製品では通信向けや車載向けの需要伸長により放熱用途の電子材アルミパウダーや窒化アルミニウムの販売が好調に推移しました。また、ペースト製品では、主力の自動車塗料向けは下半期に自動車減産の影響があったものの前期と比べ販売が増加しました。この結果、部門全体で売上高は前期を上回りましたが、営業利益は原材料価格高騰の影響を受け前期を下回りました。

 日用品部門におきましては、コンシューマー向けは下半期に巣ごもり需要の反動減があったものの、ハウスケア用品で好調な需要が継続したこともあり前期を上回る販売となりました。パッケージ用品向けは、外食店舗向けアルミホイルやケース類、コンビニエンスストア向けのアルミ容器類の販売が不調だったことから、部門全体で前期を下回る売上高・営業利益となりました。
 以上の結果、箔、粉末製品セグメントの売上高は前期比6.3%増の916億55百万円となりましたが、営業利益は前期比52.6%減の15億70百万円となりました。

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当期末における連結ベースの現金及び現金同等物については、前期末に比べ160億31百万円(26.2%)減少の451億45百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは14億87百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前連結会計年度と比べ404億55百万円減少しておりますが、これは主にアルミニウム価格の高騰等により、売上債権や棚卸資産等の運転資金が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは180億21百万円の支出となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前連結会計年度と比べ76億53百万円減少しておりますが、これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは6億26百万円の支出となりました。これは主として長期借入の返済による支出によるものです。なお、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度の81億94百万円の収入に対し、当連結会計年度は6億26百万円の支出となっておりますが、これは主に長期借入による収入が減少したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績及び受注実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため、生産実績及び受注実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。

(b)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

 

アルミナ・化成品

33,071

13.2

 

地金

94,562

52.6

 

アルミナ・化成品、地金

127,633

40.0

 

板製品

62,023

7.6

 

押出製品

51,853

28.9

 

板、押出製品

113,876

16.4

 

輸送関連製品

73,066

△8.2

 

その他

80,349

12.3

 

加工製品、関連事業

153,415

△2.5

 

箔、粉末製品

91,655

6.3

 合計

486,579

12.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 2019中期経営計画レビュー

 当社グループは、2019年4月を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下、「19中計」)として、3つの基本方針「新商品・新ビジネスの創出」、「成長に向けた資源投入」、「経営基盤強化」に基づく施策の着実な実行と、目標値の達成に努めてまいりました。19中計期間は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞、半導体を中心とする部材不足による自動車生産の減少に加え、原燃料価格の高騰といった外部環境の変化による影響が大きかったこともあり、目標値に対し未達となりましたが、厳しい事業環境下でも一定の収益を確保することができました。

財務指標推移

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

2018年度

実績

 

2019年度

実績

2020年度

実績

2021年度

実績

 

2021年度

19中計目標値

 

売上高

5,005

 

4,659

4,326

4,866

 

5,400

 

営業利益

301

 

246

242

222

 

375

 

経常利益

311

 

235

240

229

 

370

 

親会社株主に帰属する

当期純利益

206

 

75

34

168

 

240

 

ROCE

10.8%

 

8.0%

8.4%

8.7%

 

11.4%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総還元性向

27.1%

 

74.6%

119.6%

31.2%

 

30%基準

 

 

ROCE(使用資本利益率)=

金利差引前経常利益

使用資本(=自己資本+有利子負債-現預金)

 

n年度の総還元性向=

(n年度の年間配当額)+(n+1年度の自己株式取得額)

n年度の親会社株主に帰属する当期純利益

 

主な実施項目

 

 19中計の基本方針「新商品・新ビジネスの創出」「成長に向けた資源投入」「経営基盤強化」それぞれに応じた19中計期間中の具体的成果は以下のとおりです。

基本方針

主な実施項目

新商品・新ビジネスの創出

■環境対応車 パワーコントロールユニット放熱プレート採用

■環境対応車 バッテリー冷却プレート採用

■医療用向け クリーンルーム用パネル採用

成長に向けた資源投入

■北米  自動車足回り部品 製造・販売会社設立

■インド 二次合金 第2工場稼働、第3拠点(新会社)設立

■インド アルミ箔 加工会社子会社化

■日本  パネル テックラボ設立

経営基盤強化

■日軽熱交、日軽エンジニアリング完全子会社化

■東陽精密機器(昆山)有限公司 出資持分売却

■指名・報酬委員会の設置

■重要課題・価値創造プロセスの特定(2021統合報告書発行)

 なお、19中計期間中に発生した雨畑ダム周辺地域の浸水被害に対する雨畑ダム堆砂対策につきましては、2020年4月に国土交通省に提出した基本計画に基づき対応を進めており、応急対策(堤防設置)、短期計画(2020年度~2021年度の土砂搬出計画)を概ね計画通り進捗させました。2022年度からの中期計画(2022年度~2024年度の土砂搬出計画)についても、関係機関と協議のうえ策定された具体的な搬出計画に基づき着実に実行し、今後も、地域の皆さまの安全確保を最優先に、関係機関のご協力もいただきながら、誠心誠意対応してまいります。

 また、当社グループの一部の事業所において、JIS認証に係る不適切行為によりJIS認証の取消し等の通知を受けた事案が相次いで発生したことにつきまして、当社グループの重要課題と認識のうえ再発防止策を策定し、真摯に取り組んでまいります。

② 当連結会計年度の財政状態の分析

 当社グループは、より健全で強固な経営体質にすることを狙いとした中期経営計画の諸施策と並行し、財務体質改善のための有利子負債削減や自己資本の充実に注力しております。

 当連結会計年度末の総資産は、主にアルミニウム価格の高騰等により売上債権や商品及び製品等の棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べて256億46百万円増の5,326億1百万円となりました。
 負債合計も、主にアルミニウム価格等の高騰による運転資金の増加に伴い短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べて118億43百万円増の3,116億94百万円となりました。
 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べて138億3百万円増の2,209億7百万円となりました。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の37.6%から38.1%となりました。

 

③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)概要

 当連結会計年度の売上高は4,865億79百万円(前連結会計年度比 12.5%増、540億11百万円増)、営業利益は221億98百万円(同 8.2%減、19億96百万円減)、経常利益は229億28百万円(同 4.6%減、11億2百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は167億59百万円(同 397.9%増、133億93百万円増)となりました。

 

(b)営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、19億96百万円減の221億98百万円となりました。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(c)営業外収益・費用

 営業外収益は、持分法による投資利益が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、13億17百万円増加し、52億33百万円となりました。
 営業外費用は、前連結会計年度には計上していない特別調査費用を営業外費用に計上したことなどにより、前連結会計年度と比べ、4億23百万円増加し、45億3百万円となりました。

 

(d)特別利益・損失

 特別利益は、関係会社株式売却益として19億62百万円、段階取得に係る差益として15億26百万円、固定資産売却益として9億12百万円、退職給付信託設定益として8億54百万円をそれぞれ計上いたしました。関係会社株式売却益及び段階取得に係る差益に係る企業結合の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合関係)」に記載のとおりであります。

 特別損失は、前連結会計年度においては、堆砂対策費用として162億円計上しました。当連結会計年度においては、リコール関連費用として14億81百万円、減損損失を14億2百万円計上いたしました。リコール関連費用及び減損損失の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載のとおりであります。

 

(e)税金費用等

 当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が増加したこと等により、前連結会計年度と比べ、51億91百万円増加し、79億24百万円となりました。
 非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日軽エムシーアルミ㈱や㈱東陽理化学研究所の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度と比べ、11億15百万円減少し当連結会計年度は6億16百万円となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に関する分析

(a)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ160億31百万円(26.2%)減少の451億45百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、404億55百万円(96.5%)減少し、14億87百万円の収入となりました。これは主にアルミニウム価格の高騰等により、売上債権や棚卸資産等の運転資金が増加したことによるものです。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の256億74百万円の支出に対し、当連結会計年度は180億21百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の81億94百万円の収入に対し、6億26百万円の支出となりました。これは主に長期借入れによる収入が減少したことによるものです。

 

(b)資金需要・調達及び流動性について

 当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意しております。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要があります。
 当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっております。
 また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めております。
 当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度419億42百万、当連結会計年度14億87百万であり、前連結会計年度に比べると約400億円減少しました。これは、アルミニウム価格高騰等による運転資金の増加したことによる影響ですが、この運転資金の増加に対しては、安全性と資金効率のバランスを考慮しながら、金融機関からの借入と現預金の取崩しを並行して行い対応しました。2022年度以降は、当連結会計年度中の運転資金の増加のような特殊要因が無ければ、営業キャッシュ・フローを安定的に創出できると考えておりますが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があることも認識しております。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針であります。

 

⑥ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えております。また、会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると識別したものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

(a)貸倒引当金

 当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上しております。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

(b)資産の評価

 当社グループは、棚卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しておりますが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しております。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
 当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価しております。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。
 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。

 

(c)繰延税金資産

 当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上しております。
 将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性があります。

 

(d)退職給付費用及び債務

 当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用しております。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼします。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

(e)堆砂対策引当金

 当社の連結子会社である日本軽金属㈱が保有する雨畑ダム(山梨県南巨摩郡早川町)上流の雨畑川の水位が2019年8月の台風10号、同年10月の台風19号などによる豪雨の影響を受け上昇したことにより、周辺地域で浸水被害が発生いたしました。現在、地域の皆さまの安全を最優先に、関係各所との連携により浸水被害を防ぐための対策を進めております。
 また、国土交通省より抜本的な解決に向け、堆砂対策の計画を取りまとめ、計画的に取り組むよう指導されております。
 この状況を厳粛に受け止め、日本軽金属㈱は国土交通省、山梨県及び早川町との4者で構成する雨畑地区土砂対策検討会を設立し、周辺地域における浸水被害発生に対する応急対策、及び堆積土砂の抜本対策について検討を重ね、その内容に基づき雨畑ダム堆砂対策基本計画を策定し、その実行に伴う費用等を合理的に見積っておりますが、見積りの前提として仮定した搬出計画(搬出方法や搬出先)は、必ずしもすべての内容につき実行の許認可を得られたものではなく、許認可の内容や工事方法の変更等によって見積り額が変動する可能性があります。

 なお、当見積り項目は、重要な会計上の見積りとして、そのリスク内容を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

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