課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、当社グループの強みであるアルミニウムに関する広範な知見の蓄積と多様な事業群を最大限に活用して、企業価値の向上を目指すとともに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決を図ることにより、持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しております。

これまでの経営方針の根幹となる精神を受け継ぎつつ、社会環境の変化に伴い社会やお客様のニーズも多様化するなかで、当社グループの重要課題とそれぞれの課題への取組みを踏まえて、経営理念や目的を改めて定義いたしました。

 

日軽金グループ経営方針

 

◆ 経営理念

アルミニウムを核としたビジネスの創出を続けることによって、

人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく

 

◆ 基本方針

・健康で安全な職場をつくり、「ゼロ災害」を達成する

・グループ内外との連携を深化させ、お客様へ多様な価値を継続的に提供する

・持続可能な社会を実現するため、カーボンニュートラルに積極的に取り組む

・人権を尊重し、倫理を重んじて、誠実で公正な事業を行う

・多様な価値観を尊重し、長期的かつグローバルな視点で人財を育成する

 

(改定: 2022年5月16日)

 

(2)日本軽金属グループの経営環境

①事業領域

 当社グループはアルミニウム素材から中間製品、加工製品まで、アルミニウム総合メーカーならではのトータルソリューションの提供により、幅広く事業を展開し、高品質で付加価値の高い製品を生み出しております。

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②事業基盤

 当社グループの総合力は、異なる事業ユニットをマーケットインの発想で横断的につなぐ《横串》体制を基盤とした「チーム日軽金」としての一体感によって発揮されます。全従業員が「お客様のニーズを探索し、解決に導く」というマインドを持ち、「探って、創って、作って、売る」という一連の流れを担うことで、お客様とともに、市場競争力のある付加価値の高い商品・サービスの創出を行っております。

 

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(3)重要課題(マテリアリティ)

当社グループは、SDGsが目指す持続可能な社会の実現のために、アルミニウムに関する総合的かつ広範な事業領域を通じて貢献していきます。その中で当社グループが特に取り組むべき課題は何かを認識し、当社グループの持続的な成長および企業価値の創造のための重要な経営課題として掲げていくため、『当社グループの重要課題(マテリアリティ)』を以下のステップを通じて特定しました。

 

①重要課題の特定ステップ

ステップ1

重要課題候補群の抽出

重要課題の特定に先立ち、広範な事業領域を抱える当社グループの活動が影響を与える範囲を把握し、関係する社会課題の認識に漏れがないよう、初めに当社グループのバリューチェーンが及ぶ範囲の特定、確認を行いました。その後、SASB、GRI、SDGs、ISO26000等、国際的なガイドラインの要請事項をもとに、400近いESGに関する様々な社会課題をリストアップし、各ステークホルダーや当社グループに与える影響の分析から重要性評価を行い、最終的には31項目のショートリストに集約しました。

ステップ2

重要性の評価

集約したショートリスト項目について、社会にとっての重要度と当社グループの中長期的な企業価値創造における重要度の両面から改めて重要性の評価を行い、重要課題の特定を行いました。

ステップ3

妥当性・網羅性の確認

ショートリストの重要性評価にあたっては、さまざまな分野で活躍されている外部有識者の方々にも評価をいただき、そのご意見を参考にしながら改めて検討、見直しを行い、その妥当性および網羅性について確認しました。

ステップ4

重要課題の特定

特定された重要課題を5項目の重要課題テーマとして再分類し、当社CSR委員会、グループ経営会議での審議を経て、取締役会で承認しました。

 

 

②5つの重要課題テーマ

◆地球環境保護

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◆持続可能な価値提供

◆従業員の幸せ

◆責任ある調達・生産・供給

◆企業倫理・企業統治

 

 

③特定した重要課題

5つの重要課題テーマ

重要課題

地球環境保護

自社での温室効果ガス削減(スコープ1、2)

サプライチェーンでの温室効果ガス削減(スコープ3)

気候変動への対応(TCFD)

水ストレスへの対応

環境汚染の防止

持続可能な価値提供

再生可能エネルギーの利用拡大への取組み

低炭素商品・サービスの開発、提供

循環型経済・社会の推進

強靭なインフラ整備、提供

食糧の安定供給への貢献

イノベーションによる未来づくり

従業員の幸せ

労働の安全衛生

働きがいのある職場づくり

ダイバーシティ&インクルージョン

人財の確保、育成

責任ある調達・生産・供給

安全、安心な商品・サービスの提供

人権の保護、尊重

安定したサプライチェーンの構築

変化に柔軟で強靭なバリューチェーン

企業倫理・企業統治

ガバナンスの強化

コンプライアンス体制の強化

 

 

 

 

(4)対処すべき課題と中期経営計画

 今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染リスクを低減しつつ、リモートワークなどを活用したニューノーマルに向けた動きが進むと予想され、サプライチェーン混乱や物価高、労働力不足といった向かい風を受けながらも、緩やかな回復が続くと期待されます。一方、ウクライナ情勢、ロシアへの経済制裁、米国の金融引き締めにより景況不安要因が増大するなど、経済成長を大きく押し下げるリスクも顕在化しています。

 このような環境において、当社グループが特に取り組むべき課題は、お客様の求める付加価値の創出と社会的課題への対応、この両輪での企業価値最大化、加えて、リスク管理体制の強化を柱とする経営基盤の強化であると認識しております。

 当社グループは、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(22中計)を策定し、基本方針を以下のとおり定めました。

<基本方針1「社会的な価値の創出に寄与する商品・ビジネスの提供」>

 お客様のニーズを満足する、社会的課題の解決にも繋がる商品・ビジネスを、サプライチェーン・ライフサイクル全体を通して提供することを目指し、まずは、環境対応車関連事業、リサイクル事業強化などの視点で、グループ連携体制の再構築、経営資源の再配分を行うとともに、適宜、外部資源の活用も検討します。例えばリサイクル事業では、カーボンニュートラル実現に向けて、グループインフラを活用した独自のアルミ資源循環を形成・実践し、低炭素商品など、お客様と社会が求める価値の提供を行ってまいります。

<基本方針2「経営基盤の強化」>

 経営基盤強化の重点施策としては、従業員の心身の安全確保や、コンプライアンス徹底を追求し続けるのはもちろんのこと、カーボンニュートラル実現に向けて、リサイクルに加え、省エネや燃料転換等の促進を図ります。また、デジタル技術を活用した業務改革を進めるとともに、持続的な企業価値向上を支える人財戦略として、採用、配置、教育等における取組みとともに、ダイバーシティ&インクルージョンを推進します。

 

 昨年5月以降、当社グループの一部の事業所において、JIS認証に係る不適切行為によりJIS認証の取消し等の通知を受けた事案が相次いで発生したことを重く受け止めております。

 昨年6月に特別調査委員会を設置し、徹底した事実確認と原因究明を進めておりますが、当社グループとしては同委員会の調査結果を待つことなく、既に明らかになった課題に対して取組みを進めてまいりました。

 具体的には、品質に関する不適切行為の早期発見・是正を可能とすべく、当社の品質保証統括部門のグループ品質監査機能の強化を図るとともに、品質問題発生時の報告規準の見直しやグループ会社の品質保証責任者が参加する会議体(グループ品質委員会)の改革を実施しております。加えて、グループの全従業員を対象とした内部通報制度(ホットライン)をより利用しやすくするための改正も行っております。

 不適切行為を生み出す・許してしまう組織風土の改革は大きな課題ですが、これまで実施してきた経営トップによる倫理観高揚のメッセージなどの情報発信、外部講師を招いての行動倫理学の教育啓発、グループ全従業員が職場単位で参加するコンプライアンスミーティング活動をさらに強化することにより、コンプライアンス意識の向上に努めてまいります。

 以上の取組みを含め、当社グループとして抜本的な再発防止策を策定し、これに真摯に取り組んでまいります。また、今後出される特別調査委員会の調査結果についても謙虚に受け止め、失われた信頼の回復を図ってまいります。

 

 雨畑ダムにおける堆砂対策は、2020年4月に国土交通省に提出した基本計画に基づき対応を進めており、応急対策(堤防設置)、短期計画(2020年度~2021年度の土砂搬出計画)は計画通り進捗しました。2022年度からの中期計画(2022年度~2024年度の土砂搬出計画)についても、関係機関と協議のうえ策定された具体的な搬出計画に基づき着実に実行し、今後も、地域の皆さまの安全確保を最優先に、関係機関のご協力もいただきながら、誠心誠意対応してまいります。

 

(5)中期経営計画 主なアクションプラン

 当社グループの事業領域は実に多彩であり、グループ各社が異なる得意分野を持つ特性上、具体的アクションは多岐にわたります。その中でも主なものは下記のとおりです。

 

◆基本方針1「社会的な価値の創出に寄与する商品・ビジネスの提供」

・環境対応車向け部品ビジネス強化

2021年度実績比倍増を目指す

・グローバル市場における販売拡大

北米/自動車部品量産開始、

インド/自動車向け二次合金新会社(連結子会社)量産開始

・カーボンニュートラル(機会側面)

水平リサイクル・カスケードリサイクル取組、環境対応商品創出

 

◆基本方針2「経営基盤の強化」

・カーボンニュートラル(リスク側面)

既存技術と外部技術の活用、省エネ活動、燃料展開

・品質(社会的信頼の回復)

品質管理システム構築、不適切行為発生を風化させない仕組みづくり

・安全

ゼロ災害取組みの継続・定着化

・DXによる業務改革・働き方改革

デジタル化・効率化、共通化、最適化

・従業員の幸せ

安全衛生、働きがい、ダイバーシティ&インクルージョン、

人財の確保・育成

 

 

(6)経営指標

①財務指標

 22中計では、当社グループが持続的に成長していくことを可能とするため、外部環境の影響を受け難い収益基盤を構築し、安定的に300億円台の収益を確保できる体制を目指します。

 

2021年度

実績

2022年度

予想

22中計最終年度

2024年度

参考値(*)

営業利益

222億円

200億円

300億円超

*現時点での会社としての概算額を示す値であり、達成を目指す目標として位置づけるものではありません。

 

②利益配分の基本方針

 「財務体質と経営基盤の強化を図りつつ、中長期的な視点から連結業績等を総合的に勘案し株主の皆様への配当を実施する」ことを利益配分の基本方針としております。利益還元の指標といたしましては、自己株式の取得を含む総還元性向30%を基準とし、配当等を決定させていただきます。

 

2021年度

2022年度

(予想)

22中計最終年度

2024年度

中間

期末

中間

期末

年間(参考値*)

1株あたり配当金

40円

45円

40円

45円

100円

*現時点での会社としての概算額を示す値であり、達成を目指す目標として位置づけるものではありません。

 

 また、成長分野における事業拡大と、基盤ビジネス分野における需要創造・収益力拡大に向けた投資に加え、経営基盤の強化、研究開発や人財育成、及びカーボンニュートラルなど将来に向けた投資を行い、企業価値の向上に努めてまいります。なお、D/Eレシオは今後も1倍を切る水準を継続させてまいります。

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