1.経営成績等の状況の概要
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、中国や米国において、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響による景気減退からの緩やかな回復が継続したほか、欧州、タイやインドネシアにおいても、景気の持ち直しの動きが見られました。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残るなか、輸出や鉱工業生産などの持ち直しの動きが続きました。
当社グループを取り巻く事業環境は、金属価格が堅調に推移したことに加えて、半導体関連及び自動車関連の需要も堅調に推移しました。一方で、国内におけるセメント需要の減少がありました。
このような状況のもと、当社グループは、2030年から2050年にかけての中長期的な当社グループの目標である「会社の目指す姿」及び2020年度から2022年度までを対象とした中期経営戦略に基づき、企業価値の向上に向けた諸施策を実施してまいりました。
この結果、当連結会計年度は、連結売上高は1兆8,117億59百万円(前年度比22.0%増)、連結営業利益は527億8百万円(同98.4%増)、連結経常利益は760億80百万円(同70.9%増)となりました。また、当社は、事業再編損失として、251億16百万円の特別損失を、投資有価証券売却益として、346億71百万円の特別利益をそれぞれ計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は450億15百万円(同84.4%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、前連結会計年度及び当連結会計年度の報告セグメントごとの営業利益は、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
(高機能製品)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
3,571 |
4,859 |
1,288 |
(36.1%) |
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営業利益 |
28 |
147 |
118 |
(408.2%) |
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経常利益 |
61 |
169 |
107 |
(173.4%) |
銅加工品は、自動車向け製品を中心に販売が増加したことから、増収増益となりました。
電子材料は、半導体関連製品を中心に販売が増加したものの、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。この結果、減収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(加工事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
1,193 |
1,326 |
132 |
(11.1%) |
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営業利益又は営業損失(△) |
△11 |
141 |
153 |
(-%) |
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経常利益又は経常損失(△) |
△7 |
145 |
152 |
(-%) |
日本及び海外の主要国において、主要製品である超硬製品の需要が増加したことに加えて、継続的に営業損失を計上していた株式会社ダイヤメット及びその子会社3社が2020年12月に連結範囲から外れた影響等により、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことから、増加しました。
(金属事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
7,282 |
9,971 |
2,688 |
(36.9%) |
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営業利益 |
188 |
252 |
63 |
(33.8%) |
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経常利益 |
329 |
502 |
173 |
(52.5%) |
銅地金は、生産量が前年度に比べて増加したことに加えて、銅価格の上昇等により、増収増益となりました。
金及びその他の金属は、パラジウム価格の上昇があったものの、パラジウムの販売が減少したことなどから、増収減益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、受取配当金が増加したことから、増加しました。
(セメント事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
2,158 |
2,098 |
△60 |
(△2.8%) |
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営業利益 |
66 |
32 |
△33 |
(△50.9%) |
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経常利益 |
61 |
1 |
△60 |
(△98.3%) |
国内では、首都圏における再開発工事の再開等があったものの、東北地区や中国地区における災害復旧工事の需要が減少したほか、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。また、エネルギーコストの増加がありました。この結果、減収減益となりました。
海外では、米国において、生コンの販売価格が上昇したものの、労働市場における需給逼迫を背景としたドライバー不足により生コン及びセメントの販売数量が減少したほか、輸送コストや電力費等の操業コストが増加しました。また、豪州の石炭事業において、石炭の販売価格が上昇しました。この結果、増収増益となりました。
以上により、前年度に比べて事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことに加えて、持分法による投資利益が減少したことなどから、減少しました。
(環境・エネルギー事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
262 |
178 |
△83 |
(△31.9%) |
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営業利益 |
17 |
22 |
4 |
(25.3%) |
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経常利益 |
31 |
38 |
7 |
(24.8%) |
エネルギー関連は、売上高は前年度並みであったものの、原子力関連において収益性の高い受託業務が増加したことなどから、増益となりました。
環境リサイクルは、有価物の売却単価が上昇したことにより、増収増益となりました。
以上に加えて、株式会社ダイヤコンサルタントが2021年7月に連結範囲から外れた影響等により、前年度に比べて事業全体の売上高は減少したものの、営業利益は増加しました。経常利益は、営業利益が増加したことに加えて、持分法による投資利益が増加したことから、増加しました。
(その他の事業)
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(単位:億円) |
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前期 |
当期 |
増減(増減率) |
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売上高 |
2,667 |
2,536 |
△130 |
(△4.9%) |
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営業利益 |
88 |
73 |
△14 |
(△16.9%) |
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経常利益 |
93 |
65 |
△28 |
(△30.1%) |
飲料用アルミ缶は、ボトル缶の販売が増加したものの、通常缶の販売の減少や原材料コストの増加により、減収減益となりました。
アルミ圧延・加工品は、自動車向け製品を中心に販売が増加したことに加えて、コスト削減効果等があったものの、「収益認識に関する会計基準」等の適用により売上高が減少しました。この結果、減収増益となりました。
飲料用アルミ缶及びアルミ圧延・加工品以外の事業は、合算で減収増益となりました。
以上により、前年度に比べてその他の事業全体の売上高及び営業利益は減少しました。経常利益は、営業利益が減少したことから、減少しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、業績が堅調に推移したものの、仕入債務の増加や棚卸資産の増加等により、68億円の収入(前期比715億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資、投資有価証券の売却等により、32億円の支出(前期比985億円の支出減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により50億円の支出(前期は415億円の収入)となりました。
以上により、換算差額等による増減を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、1,536億円(前期末比61億円の増加)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
「(1) 経営成績」において、各事業のセグメント情報に関連付けて記載しております。
2.経営者の視点による財政状態、経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績
当連結会計年度における経営成績の概況については、「1.経営成績等の状況の概要」に記載しております。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産残高は、前期末比 894億円(4.4%)増加し、2兆1,250億円となりました。流動資産は、貸付け金地金の増加等により、前期末比 1,990億円(19.1%)増加の 1兆2,389億円となりました。固定資産は、投資有価証券の減少等により、前期末比 1,095億円(11.0%)減少の 8,860億円となりました。
負債残高は、前期末比 481億円(3.4%)増加し、1兆4,692億円となりました。流動負債は、預り金地金の増加等により、前期末比 678億円(7.9%)増加の 9,266億円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により、前期末比 197億円(3.5%)減少の 5,425億円となりました。なお、借入金に社債、コマーシャル・ペーパーを加えた有利子負債残高については、前期末比 207億円(3.3%)減少の 6,087億円となりました。
純資産残高は、利益剰余金の増加等により、前期末比 413億円(6.7%)増加の 6,557億円となりました。
この結果、連結ベースの自己資本比率は、前期末の26.8%から27.5%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は 4,173.14円から 4,476.52円に増加しました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) 事業戦略と見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(4) 資本の財源及び流動性の管理方針
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、内部資金、銀行借入、社債発行等により資金調達を行っております。また、キャッシュマネージメントシステムの導入等によるグループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上に努めております。
当社グループの資金の状況については、「1.経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、収益力、有利子負債等グループの財政状況を認識し、現在の事業規模及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
特に次の会計方針が連結財務諸表作成における見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。
① 貸倒引当金、関係会社事業損失引当金の計上
当社グループの保有する債権または関係会社への投資に係る損失が見込まれる場合、その損失に充てる必要額を見積もり、引当金を計上しておりますが、将来、債務者や被出資者の財務状況が悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。
② 有価証券の減損処理
当社グループの保有する株式については、市場価格のない株式等以外のもの、市場価格のない株式等ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。なお、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
③ のれんを含む固定資産の減損処理
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)を適用しております。将来、経済環境の著しい悪化や市場価格の著しい下落等の発生如何によっては、減損損失を計上する可能性があります。なお、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。
なお、当社グループが採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りにつきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
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