当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、景気に持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症第5波の収束後、新たな変異株による感染症第6波により新規感染者数が高止まりするなど、先行き不透明な状況が続きました。
世界経済は、物価上昇や新型コロナウイルス感染症の動向に加え、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料価格、エネルギー価格の高騰などにより、景気回復の停滞が懸念される状況にあります。
当社グループを取り巻く事業環境は、チタン需要の回復や電子部品材料の需要拡大により各製品の販売が総じて好調に推移した一方、原材料や副資材価格の高止まり、エネルギーコストの上昇、輸送コストの大幅上昇等が収益を圧迫する要因となりました。
こうした中、当連結会計年度における経営成績は、売上高は過去最高の55,515百万円(前期比53.5%増)、営業利益5,228百万円(同66.8%増)、経常利益5,177百万円(前期は417百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益3,695百万円(前期は3,156百万円の損失)となりました。
売上高は、チタン需要の回復や電子部品材料の需要拡大により、前連結会計年度比増収となり、過去最高の売上高となりました。
営業利益の対前連結会計年度比較を以下に示します。
経常利益は、前連結会計年度に営業外費用として計上した、サウジアラビアの合弁会社に係る持分法投資損失がなかったことにより、5,177百万円の利益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に特別損失として計上した、金属チタン事業におけるチタンインゴット製造設備に係る固定資産の減損損失の計上等がなかったことにより、3,695百万円の利益となりました。
なお、当社グループが数値目標として掲げている「自己資本利益率(ROE)」について、目標10%以上に対し、当連結会計年度の実績は8.1%となりました。
セグメントごとの売上高、営業利益については、以下のとおりです。
金属チタン事業
当連結会計年度における金属チタンの販売は、新型コロナウイルス感染症の影響により需要が落ち込んだ2020年度から海外向け一般産業用途の 需要が回復したほか、国内向け一般産業用途、航空産業用途の需要も回復の兆しが見られ、堅調に推移した半導体用途の高純度チタンと合わせ、大幅に増加しました。航空産業用途の需要の回復継続、 ロシアによるウクライナ侵攻 によるサプライチェーンへの影響により、2022年度も需要は引き続き好調に推移する見通しであり、国内拠点におけるスポンジチタンの生産が2022年1月以降ほぼフル生産となっていることから、関係会社であるサウジアラビアのスポンジチタン製造合弁会社において2022年中に生産量の引き上げを図り、需要の増加に対処してまいります。
一方、収益面では、原料鉱石、副資材費、輸送コストの高騰によるコスト上昇が著しく、マージンを大きく圧迫する状況が続きました 。
こうした状況のもと、当期の金属チタン事業は、売上高31,432百万円(前期比82.4%増)、営業利益1,233百万円(前期は325百万円の損失)となりました。
触媒事業
当連結会計年度における触媒事業の販売は、製品輸送面で引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、ポリオレフィン用触媒の需要は堅調であり、前年同期を上回る水準となりました。
こうした状況のもと、当期の触媒事業は、売上高8,269百万円(前期比9.9%増)、営業利益3,491百万円(前期比11.1%増)となりました。
化学品事業
当連結会計年度における化学品事業の販売は、主要製品である超微粉ニッケルの主な用途である積層セラミックコンデンサー(MLCC)が、前年度前半のコロナ禍影響による需要減退から回復したことに加え、5G通信や自動車関連の需要増等により、前年度を大幅に上回る水準となりました。
こうした状況に加え、超微粉ニッケルの原料である地金価格の高騰による製品価格の上昇の影響もあり、当期の化学品事業は、売上高15,814百万円(前期比38.6%増)、営業利益4,563百万円(前期比43.5%増)となりました。
主な要因として、特定用途向けの需要が大きな割合を占めていることによる需要変動の影響、原料代及び電力代の変動、為替の変動等が挙げられます。詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
資産の部は、売掛債権及び棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末比6,946百万円増の98,095百万円となりました。
負債の部は、買掛債務及び借入金の増加等により、前連結会計年度末比4,238百万円増の50,928百万円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、配当金の支払い等により前連結会計年度末比2,707百万円増の47,166百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末比0.7ポイント悪化し47.9%となりました。財務基盤強化の目安指標であるD/Eレシオについては、前連結会計年度末比0.03ポイント改善し、当連結会計年度末の実績は0.86倍となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は2,128百万円と期首に比べ406百万円の減少となりました。キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは9,790百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益4,988百万円、減価償却費6,055百万円等による資金の増加があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、10,433百万円の支出となりました。これは、若松工場における超微粉ニッケルの新工場及び茅ヶ崎工場における触媒新工場の建設等に係る有形固定資産の取得による支出10,427百万円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、206百万円の収入となりました。これは、長期借入金の増加等によるものです。
なお、キャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりであります。
当社グループは、収益性を高めるとともに資産の圧縮を進め、手元流動性の向上と強固な財務基盤の構築を実現していく考えであります。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。
これらの資金需要について、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本として、設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本として、それぞれ調達しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により、余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「⑤ キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成において必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」、及び「同 連結財務諸表注記 重要な会計上の見積り」 をご覧ください。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は売価基準で算出しております。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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