業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況が続いたものの、持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響、地政学的リスク増大による原油及び原材料価格の高騰、金融資本市場の変動、供給面での制約などにより、不透明な状況が続いています。

このような環境下、当社グループは感染予防対策を実行しつつ、操業を継続し、国内外での販売力の強化に努めるとともに、コストダウンの実行、製造力及び技術力の向上、様々な工程や業務での無駄の排除及び改善などに取り組んでまいりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計期間の期首から適用しております。詳細につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ2,626百万円増加し、14,840百万円となりました。

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ1,294百万円増加し、5,541百万円となりました。

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ1,332百万円増加し、9,298百万円となりました。

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高17,097百万円(前年同期比52.0%増収)、営業利益2,191百万円(同83.4%増益)、経常利益2,246百万円(同86.0%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益1,540百万円(同89.4%増益)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

アンチモン事業は、売上高8,373百万円(同81.2%増収)、セグメント利益771百万円(同985.5%増益)となりました。

金属粉末事業は、売上高8,692百万円(同31.6%増収)、セグメント利益1,388百万円(同27.0%増益)となりました。

その他は、売上高31百万円(同42.6%増収)、セグメント利益23百万円(同6.9%増益)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べて414百万円減少し、当連結会計年度には3,085百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は386百万円(前年同期比72.3%減少)となりました。

これは主に、売上債権の増加額815百万円、棚卸資産の増加額1,582百万円及び法人税等の支払額573百万円等による減少があったものの、税金等調整前当期純利益2,243百万円、減価償却費459百万円、賞与引当金の増加額68百万円及び仕入債務の増加額479百万円等による増加があったためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は645百万円(同32.8%増加)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出608百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は163百万円(同49.2%減少)となりました。

これは主に、長期借入れによる収入300百万円があったものの、長期借入金の返済による支出230百万円及び配当金の支払額219百万円があったためであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アンチモン事業

8,525,929

181.1

金属粉末事業

8,858,726

126.7

報告セグメント計

17,384,656

153.9

その他

-

-

合計

17,384,656

153.9

(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

b.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

アンチモン事業

8,373,571

181.2

金属粉末事業

8,692,608

131.6

報告セグメント計

17,066,180

152.0

その他

31,621

142.6

合計

17,097,801

152.0

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月30日)現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

また、この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ2,626百万円増加の14,840百万円となりました。

流動資産は前連結会計年度に比べ2,034百万円増加の9,793百万円となりました。これは主に、現金及び預金が414百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が819百万円、商品及び製品が807百万円、原材料及び貯蔵品が728百万円増加したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度に比べ592百万円増加の5,046百万円となりました。これは主に、有形固定資産が502百万円増加したことによるものであります。

 

(負債合計)

当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ1,294百万円増加の5,541百万円となりました。

流動負債は前連結会計年度に比べ921百万円増加の4,510百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が495百万円、未払法人税等が182百万円増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度に比べ372百万円増加の1,030百万円となりました。これは主に、リース債務が346百万円増加したことによるものであります。

(純資産合計)

当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ1,332百万円増加の9,298百万円となりました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,540百万円及び剰余金の配当219百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は62.7%(前連結会計年度は65.2%)となりました。

2)経営成績

(売上高)

売上高は、前連結会計年度に比べ5,850百万円増収(52.0%増収)の17,097百万円となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前連結会計年度に比べ4,685百万円増加(51.3%増加)の13,814百万円となりました。

その結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,165百万円増益(55.0%増益)の3,282百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ168百万円増加(18.3%増加)の1,091百万円となりました。

その結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ996百万円増益(83.4%増益)の2,191百万円となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度と比べて48百万円増加の84百万円となり、営業外費用は、前連結会計年度と比べて6百万円増加の29百万円となりました。

その結果、経常利益は、前連結会計年度と比べて1,038百万円増益(86.0%増益)の2,246百万円となりました。

(特別損益、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)

特別利益1百万円、特別損失4百万円、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額として702百万円を計上しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて727百万円増益(89.4%増益)の1,540百万円となりました。1株当たりの当期純利益は631円45銭であります。

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等

当社グループのセグメントごとの経営成績に重要な影響を与える要因については、以下のとおりです。

[アンチモン事業]

同事業は自動車、家電製品、OA機器、繊維製品など、多岐に亘る産業分野の動向や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を含む国内外の関連市場における経済活動の状況や景気変動などの影響を受けています。

同事業の原料であるアンチモン地金の主要生産国である中国における、環境政策、資源政策の変更、輸出管理の動向並びに他の非鉄金属と同様、投機資金の動き等により、原料価格が急騰、急落することがあります。

 

これらの変動に対して、相場の上昇局面においては、若干の時間差が生じるものの原料価格のアップ分は製品販売価格に転嫁が可能となりますが、一方、下落局面においては、高値の在庫の影響により在庫の価格はすぐには下がりませんが、販売価格は下落していくこと、また、棚卸資産の低価法の影響を受けることになり、大幅な収益性の低下があった場合、並びに原料・中間品・製品の在庫数量を多く抱えた場合には経営成績に重要な影響を与えることになります。

[金属粉末事業]

同事業は、主に自動車及び電子部品業界の動向や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を含む国内外の関連市場における経済活動の状況や景気変動などの影響を受けております。

電子部品需要は自動車の環境対応や安全性の向上による電装品の搭載数の増加が進み、従来のスマートフォンを始めとする情報通信機器の高機能化による1台あたりの電子部品点数増も相まって、市場の中長期的な拡大が期待されます。一方で、製品のコモディティ化による価格競争が進行しており、原材料メーカーへの価格協力要請も厳しくなっております。

また、機器の軽薄短小化の動きに伴い電子部品材料用金属粉もそれに応じた微細なものが要求されています。この動向は材料である当社の製品販売数量の減少に繋がりますが、同時に付加価値の高い製品の商機でもあります。既存製品の歩留りの確保・改善を行い更なるコスト削減努力を継続し、付加価値の高い製品の提案及び適正な加工費単価を確保することで、収益の維持・向上に努めております。

 

併せて、主力市場と位置付ける“車載用市場”に対応するため、製品品質・機能の向上、品質マネジメントシステムの維持・改善に加え、生産能力増強を進めることで、更に信頼性を高め、販売拡大につなげてまいります。

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2)資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等による営業費用に充当するためのものです。営業費用の主なものは、運賃・保管料、人件費であります。

その他に生産設備の新設・拡充のための設備資金需要があります。

3)資本の財源及び資金の流動性並びに財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部留保資金の他、借入金により資金調達しております。借入金による資金調達に関しましては、短期借入金のほか、長期安定資金調達の為に一部は長期借入金にて対応しております。

2022年3月31日現在の短期借入金残高は1,343百万円となっております。

生産設備などの長期資金は、長期借入金で調達しております。長期借入金の金利は固定と変動金利があります。

2022年3月31日現在の長期借入金残高は249百万円となっております。

なお、2022年3月期においては、安定した事業運営の為に、借入金の一部を現預金にて保有しており、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を確保しております。

d.経営方針、経営戦力、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針、経営戦力、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

e.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  2022年3月期の経営成績においては、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いたものの、持ち直しの動きがみられましたが、変異株の発生など、依然として不透明な状況が続くと見られております。

[アンチモン事業]

同事業の原料であり、製品販売価格の基準ともなるアンチモン地金の国際相場は、主産地である中国において、国内外でのアンチモン鉱石供給不足や環境監査による操業の一時停止などにより需給がさらに逼迫し、上昇基調で推移いたしました。当連結会計年度の平均価格は、トン当たり約12,300ドルとなり、前年度比約82%の大幅な上昇となりました。円建てでは約93%の上昇となりました。

同事業の主要製品である三酸化アンチモンには様々な用途があります。主たる用途は、プラスチック、ゴム、繊維などの高分子材料を燃えにくくする難燃助剤であり、広範な産業分野から電化製品といった各家庭での必需品にも使用され、防炎機能を付与することで、人的・経済的な損失を防止することに大きく貢献しています。

 

同事業の販売状況につきましては、自動車や家電分野などでの需要が回復したことにより、販売数量は前年度比346トン増加(5.7%増加)の6,425トンとなりました。

その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、販売数量の増加と販売価格の上昇により、前年度比3,752百万円増収(81.2%増収)の8,373百万円となりました。セグメント利益は、地金相場上昇の影響もあり、同700百万円増益(985.5%増益)の771百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1,530百万円増加の6,719百万円となっております。

[金属粉末事業]

同事業の主原料である銅の国内建値は、当連結会計年度平均でトン当たり1,136千円となり、前年度比47.7%の大幅な上昇となりました。

同事業の主要製品は、電子部品の導電材料向け銅およびその他の金属粉末、パワーインダクタ向けの鉄合金粉末、自動車部品や産業機械部品などに使用される焼結材料向けの金属粉末で、各種製品の高機能化や利便性に貢献しています。

電子部品向け金属粉末の販売状況につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務を中心としたテレワークの急速な普及や教育などのオンライン化への取組みが、PCやスマートフォンなどの通信機器端末の需要を喚起すると共に、デジタルトランスフォーメーションの推進がデータセンターや基地局向けを含む5G関連需要を増加させており、堅調に推移しています。販売数量は前年度比227トン増加(19.0%増加)の1,423トンとなりました。

粉末冶金向け金属粉末の販売状況につきましては、自動車部品向けなどの需要が堅調で、販売数量は前年度比208トン増加(13.8%増加)の1,721トンとなりました。

全体の販売数量は前年度比436トン増加(16.1%増加)の3,144トンとなりました。

その結果、同事業の当連結会計年度の売上高は、販売数量の増加と販売価格の上昇により、前年度比2,088百万円増収(31.6%増収)の8,692百万円となりました。セグメント利益は、同295百万円増益(27.0%増益)の1,388百万円となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1,097百万円増加の8,084百万円となっております。

[その他]

不動産賃貸事業等の当連結会計年度の売上高は31百万円、セグメント利益は23百万円となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度に比べ1百万円減少の36百万円となっております。

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