業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期の世界経済は、国や地域によるばらつきを伴いつつも、総じて新型コロナウイルス感染症拡大による需要の落ち込みから回復の動きを続けていましたが、年の後半から新型コロナウイルス感染症再拡大、半導体不足による供給制約、ウクライナ情勢によるエネルギー価格上昇やサプライチェーンの混乱を中心に消費が大きく減速し、経済活動にも影響が及んでおります。国内経済においても、活動制限の緩和による景気回復が期待されるものの、地政学リスクの高まりや資源価格の高騰、新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念もあり、当社を取り巻く経営環境は依然として先行き不透明な状況にあります。

 

(財政状態の分析)

アルミ地金価格の上昇等に伴う棚卸資産の増加等により、当連結会計年度末の資産については828,729百万円(前期末比13.1%増)となりました。負債については581,140百万円(同8.3%増)となりました。

純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加等により、247,589百万円(同26.0%増)となりました。

 

(経営成績の分析)

アルミ地金価格の上昇や販売数量の増加等により、連結売上高は782,911百万円(前期比37.4%増)となりました。損益についても、アルミ地金価格の上昇による棚卸資産影響の好転や販売数量の増加等により、連結営業利益59,520百万円(同434.1%増)、連結経常利益52,286百万円(同777.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益32,054百万円(前期は3,269百万円の損失)となりました。

セグメント別の状況については、以下のとおりであります。

 

アルミ圧延品事業

アルミニウム圧延品業界について、板類の国内需要は缶材で微増、自動車関連分野では新型コロナウイルス感染症拡大の影響で減少が顕著だった前期に比べて増加となりました。建築分野や箔用、厚板類でも増加し、板類全体としては前期比で増加となりました。押出類に関しては、自動車、自動車用熱交換器、二輪の分野で前期比増加、全体としても前期比増加しました。

当社グループの国内向け販売数量は、板類は前期比で増加となりました。特に自動車関連分野を中心に前期比増加、エアコンフィン材や半導体製造装置関連においても前期比で増加しました。また押出類でも増加しました。

また、当社グループの海外向け販売数量は、北米の旺盛な缶需要を背景にTri-Arrows Aluminum Inc.やUACJ (Thailand) Co., Ltd.などの缶材の増加により前期を上回り、当社グループのアルミ圧延品総量では前期より増加する結果となりました。

以上の結果、当期のアルミ圧延品事業の売上高は、アルミ地金価格の上昇や販売数量の増加等により、697,501百万円(前期比46.0%増)となりました。営業利益については、アルミ地金価格の上昇による棚卸資産影響の好転や販売数量の増加等により、64,107百万円(同273.8%増)となりました。

 

加工品・関連事業

自動車関連分野、空調関連分野を中心に新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少の影響からの好転により売上高は前期比で増加傾向でありますが、当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用したことによる影響に伴い、164,757百万円(前期比0.2%減)となりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少の影響からの好転により営業利益は1,073百万円(前期は569百万円の損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より13,826百万円減少し、14,259百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益が増加したものの、アルミ地金価格の上昇に伴う棚卸資産の増加等の影響により、前期比30,825百万円(同79.8%)減少し7,799百万円となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、劣化更新を含む一般投資を中心とした有形固定資産の取得による支出が減少したものの、前期において関係会社株式売却による収入が含まれているため、前期比では85百万円(同0.4%)増加し21,035百万円となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、長期借入金の返済を進めたこと等により、652百万円(前期は17,008百万円の支出)となりました。

 

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入等の製造費用や販売費及び一般管理費等であります。また投資を目的とした資金需要は、主として設備投資によるものであり、これらの所要資金は自己資金及び借入金等により手当てしております。

財務状況については、現金及び現金同等物の取り崩し等を行うものの、アルミ地金価格の上昇や生産量増加に伴う棚卸資産の増加等による運転資金の増加及び円安に伴う外貨建借入残高の換算差から、有利子負債残高(※)は前連結会計年度末335,789百万円から当連結会計年度末339,447百万円と3,658百万円の増加をしておりますが、第3次中計の期間において設備投資を絞り込むことで財務体質の改善を進めております。

資金調達については、設備投資等の長期資金と運転資金(短期資金)を区分し、資金使途に見合った資金調達方法の実施、コミットメントライン枠の設定等により資金調達リスクへの対応と管理をしております。

また、当連結会計年度において、既存劣後特約付ローンの期限前弁済及び新規劣後特約付ローンによる資金調達を行っております。既存劣後特約付ローンの期限前弁済額は400億円であり、新規劣後特約付ローンの資金調達額240億円は既存劣後特約付ローンの期限前弁済金の一部に充当しております。

 

(※)有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産実績及び受注実績は、グループ内の会社間で前工程生産と後工程生産を行っている場合があり、各社の取引額の単純合計がそのまま連結生産実績とはならないこと、また受注生産形態をとらない製品もあることから、事業ごとに生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしておりません。なお、販売実績については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」において記載しております。

なお、当連結会計年度において、いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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