研究開発活動

5【研究開発活動】

R&Dセンターでは、VISION2030のターゲットとする3つの分野を意識し、お客様のニーズの多様化や社会・技術変化に対応するため、材料設計・生産プロセスに関する基盤技術の深化から製品及び利用技術の開発までの一貫した研究開発、カーボンニュートラルに向けた取組み、DX推進を強く推し進めています。

2021年度は、2020年度からの新型コロナウイルス拡大の影響が続きましたが、後半からオンライン積極活用に加え対面でのお客様との交流も増やし、ご要望に迅速に応える新製品の開発や高品質化を推進しました。年度初めには部室数を削減し、基盤技術、生産技術を担当する2つの研究部及び製品開発を担当する3つの開発部に再編しました。将来を担うグリーンテクノロジープロジェクトを設置し、研究開発課題の情報集約などを進めました。また、2030年、2050年に向けて作成した各製品・技術分野ごとの研究開発ロードマップを更新し、加えて技術の棚卸を進めて当社の強みを知り、UACJグループの技術戦略に資しています。国内外の先端研究機関との連携を継続し、最新の技術や知見の獲得を通じて、研究開発力の継続的な向上を図ってまいりました。2018年度から産業技術総合研究所 中部センター内に設立した「UACJ-産総研アルミニウム先端技術連携研究ラボ」において、プロセス技術の改良から新規用途探索、データサイエンスの活用に至るまで幅広い分野での共同研究で成果を挙げ、2022年度も同ラボを発展継続いたします。北海道大学 産学・地域協働推進機構に2020年度に『次世代アルミニウムイノベーション推進部門講座』を開設して、2022年度もアルミニウムに関する新規化学プロセスの開発等を継続します。

SDGsに代表される企業の社会的責任の実行に寄与すべく、環境負荷を低減した製品ブランド「UACJ SMART」の展開にもかかわり、また服薬管理が可能な開封検知箔デバイスの実用検証などのヘルスケアに関わる問題の解決にも取り組んでおります。さらに、朝日新聞社主催の「地球教室」及び「SDGsジャーナル」、日本経済新聞社主催の「日経エデュケーションチャレンジ」等の教育企画への講師派遣も継続しております。

当連結会計年度の費用総額は、4,259百万円であります。各セグメントの研究状況は次のとおりです。

 

アルミ圧延品事業

当社の主力であるアルミ板製品に関わる研究開発では、アルミ缶等の容器をはじめ、自動車ボディシート、自動車構造部品、自動車用熱交換器、エアコン、IT関連機器、メモリーディスク、船舶用厚板、半導体製造装置、リチウムイオン電池用集電体等に使われるアルミ材の開発に注力し、多様化・高度化するお客様のニーズにお応えしております。アルミニウムは、資源量が多く軽い材料で、またリサイクル材の多用は環境対応にもつながり、今後の世の中の成長に大きく貢献する材料です。お客様と相談しながら、過剰品質ではなく最適品質を追求し、CAN TO CANをはじめとする水平リサイクルをより積極的に推進します。昨年、トヨタ自動車株式会社様から発売された新型ランドクルーザーのボデーパネルには当社が製造したアルミ板材が採用され、加えて車体製造時に発生するスクラップの全量を当社で引き取り、再びアルミコイルとして製造・出荷する「クローズドループ・リサイクル」を適用しています。

社内生産現場へのデータサイエンスの適用を推進し、生産性向上、製造コスト・環境負荷低減に貢献し、CPS(サイバーフィジカルシステム)構築に向けた検討も継続して実施しています。2013年度から10年間で実施中の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業「革新的新構造材料等研究開発プロジェクト」では2022年度に最終年度を迎え、参画する4テーマで、今後のアルミニウムの自動車材への需要拡大をにらみ、高強度材の自動車部品への応用、低CO2製錬プロセス及びハイアップグレードリサイクルプロセスの開発、接触腐食防止関連技術の開発を加速しました。また、2021年度からは、同機構の補助金事業「資源循環型社会構築に向けたアルミニウム資源のアップグレードリサイクル技術開発」にも参画しております。

アルミ板事業と並ぶ当社グループの中核事業であるアルミ形材・管・棒製品に関わる研究開発では、自動車用熱交換器材料や空調用材料とともに、航空機材や自動車構造部材、二輪車用高性能材の開発を進めております。これらの製品においてもリサイクルを始めとするカーボンニュートラルに向けた取組みを進めています。また、鋳鍛製品に関わる研究開発では、付加価値の高いアルミニウム製部材の開発に積極的に取り組んでおります。

 アルミ圧延品事業に係る当連結会計年度の研究開発費は、3,780百万円であります。

 

加工品・関連事業

当社は自動車部品事業を成長分野と位置付け、2020年10月に、自動車部品事業本部に直属の開発組織:モビリティテクノロジーセンターを発足させました。R&Dセンターと連携した材料や接合等の基礎技術の開発及びバンパーや骨格部品などの現行の部品開発に加え、新たに、電気自動車向け電動化関連部品の開発、DX活用による生産技術開発にも取組みを始めました。また、北米や中国の生産拠点と協力し、グローバルな開発対応により技術競争力の強化に取り組んでいます。

 加工品・関連事業に係る当連結会計年度の研究開発費は、478百万円であります。

 

2022年度は、全社一丸となって進めている構造改革最終年度としての完遂を優先し、お客様との丁寧な交流や事業部との緊密な連携を通してUACJグループの成長につながる技術・製品を研究開発するとともに、会社理念が目指す「持続可能で豊かな社会」の実現に向けて、基盤技術の深化と探索に取り組んでまいります。

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