業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。なお、当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの記載を省略しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の分析

当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動の両立が進み、物価上昇圧力を受けつつも概ね拡大基調となりました。しかしながら、半導体をはじめ原材料等の供給不足や物流網の停滞が顕在化し、また、感染力の強い変異株の世界的流行や、ウクライナ情勢の緊迫化をきっかけにエネルギー・資源価格が高騰した影響もあり、回復ペースは緩やかなものとなりました。

米国では、個人消費が伸び“withコロナ”の経済活動を下支えしましたが、労働力や原材料等の供給不足、資源価格高騰等もあり、回復ペースは鈍化しました。中国では、不動産開発会社の信用不安に端を発する金融リスク顕在化、電力不足による製造業の操業制限、変異株の感染拡大による都市ロックダウン長期化等があり、景況感には不透明感が残りました。

日本では、“withコロナ”の経済活動が徐々に広がり、回復の兆しも現れましたが、下期には半導体や原材料等の供給が滞り、またエネルギー・資源価格の高騰、感染力の強い変異株の流行等の影響により、回復基調は緩やかなものにとどまりました。

車載用LIB(リチウムイオン二次電池)の市場においては、主要各国の電動自動車普及政策に後押しされる形でパワートレイン電動化の動きが拡大しましたが、下期には世界的な半導体不足や物流網の停滞により大手xEVメーカーが生産計画を縮小する動きも見られました。

回路基板用銅箔の主な市場である電子部品業界では、米国と中国との貿易取引が停滞しており、大手電子機器メーカーへの影響も見られましたが、米国及び日本では5G通信対応機器の投入が継続し、日本国内では5G通信エリアの拡大が引き続き進められました。

銅材料価格(月間平均)は、2021年3月には1Kg当たり1,020円台で推移しておりましたが、2022年3月には1,260円台にまで上昇しました。

このような情勢のなか、当社グループの販売は、車載電池用銅箔の需要は、上期は堅調に推移しましたが、下期は大手xEVメーカーによる生産計画縮小の影響を受け、受注数量が減速しました。回路基板用銅箔においては、米中間の取引停滞による影響が引き続き残り、スマートフォン向けハイエンド製品の需要は減速しました。一方、連結子会社で生産するミドルエンド製品の需要は、東南アジアの車載用基板向けが堅調に推移し、受注量を伸ばしました。

これらの結果、当連結会計年度の生産実績数量(㌧数)は、全品種合計で11,936㌧(前連結会計年度比18.7%増)、 売上高は 20,558百万円 (同 41.0 %増)、 営業利益は 1,004百万円 (同 90.6 %増)、 経常利益は 976百万円 (同 121.7 %増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 848百万円 (同 338.7 %増)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)
  当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,390百万円(前連結会計年度末比32.2%)増加し、18,034百万円となりました。流動資産は主に現金及び預金の増加838百万円、売掛金の増加679百万円、製品の増加515百万円、仕掛品の増加309百万により2,866百万円(同42.9%)増加し、9,542百万円となりました。固定資産は主に機械装置及び運搬具の減少452百万円、建設仮勘定の増加1,881百万円、退職給付に係る資産の増加70百万円により1,523百万円(同21.9%)増加し、8,491百万円となりました。

 
 (負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ3,581百万円(同41.2%)増加し、12,278百万円となりました。流動負債は主に買掛金の増加330百万円、短期借入金の増加664百万円、未払金の増加314万円により1,380百万円(同37.6%)増加し、5,049百万円となりました。固定負債は主に長期借入金の増加2,223百万円、退職給付に係る負債の減少36百万円により2,201百万円(同43.8%)増加し、7,229百万円となりました。

 

 

 (純資産)
  当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益848百万円、為替換算調整勘定の増加151百万円、退職給付に係る調整累計額の減少278百万円、東京証券取引所マザーズ上場に伴う公募による新株の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ43百万円増加したことにより前連結会計年度末に比べ809百万円(同16.4%)増加し、5,755百万円となりました。
  以上の結果、自己資本比率は31.9%(前連結会計年度末は36.3%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ838百万円増加2,500百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は、 217百万円 となりました( 前連結会計年度は 1,210百万円の増加 )。これは主に、減価償却費 1,274百万円 、退職給付に係る資産の 増加55百万円 、仕入債務の 増加293百万円 、棚卸資産の 増加1,122百万円 、法人税等の支払 195百万円 があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は、 2,191百万円 となりました( 前連結会計年度は 334百万円 の減少)。これは主に、有形固定資産の取得による支出 2,178百万円 があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は 2,706百万円 となりました( 前連結会計年度は 476百万円 の減少)。これは主に、短期借入金の 純増額662百万円 、長期借入れによる収入 2,953百万円 、長期借入金の返済による支出 958百万円 があったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(生産の状況)

当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの第6期連結会計年度における生産実績は下表のとおりです。

品種

生産実績(㌧数)

前期比

車載電池用銅箔

7,989

16.0%

回路基板用銅箔

3,947

24.4%

生産高合計

11,936

18.7%

 

 

(受注の状況)

当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの第6期連結会計年度における受注実績は下表のとおりです。

品種

受注高

受注残高

金額(百万円)

前期比

金額(百万円)

前期比

車載電池用銅箔

12,876

35.5%

260

△73.3%

回路基板用銅箔

6,840

28.0%

48

△72.7%

受注高合計

19,716

32.8%

308

△73.2%

 

 

(販売の状況)

当社グループの事業は、電解銅箔製造事業の単一セグメントであるため、事業セグメントごとの区分表示は行っておりません。なお、主要品種ごとの第6期連結会計年度における販売実績は下表のとおりです。

品種

販売高(百万円)

割合

前期比

車載電池用銅箔

13,589

66.1%

46.6%

回路基板用銅箔

6,969

33.9%

31.2%

売上高合計

20,558

100.0%

41.0%

 

 

なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は下表のとおりです。

相手先名

第5期連結会計年度

(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

第6期連結会計年度

(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

販売高
(百万円)

割合

販売高
(百万円)

割合

パナソニック㈱

8,145

55.8%

11,796

57.4%

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高を主要品種ごとに見ると、車載電池用銅箔の需要は、上期は堅調に推移しましたが、下期は大手xEVメーカーによる生産計画縮小の影響を受け、受注数量が減速したこと等により、品種別生産実績(㌧数)は7,989㌧(前連結会計年度比16.0%増)、品種別売上高は13,589百万円(同46.6%増)となりました。

回路基板用銅箔は、米中間の取引停滞による影響が引き続き残り、スマートフォン向けハイエンド製品の需要が減速した一方、連結子会社で生産するミドルエンド製品の需要は、東南アジアの車載用基板向けが堅調に推移したことにより、品種別生産実績(㌧数)は3,947㌧(同24.4%増)、品種別売上高は6,969百万円(同31.2%増)となりました。

これらを合せて生産実績合計は11,936㌧(同18.7%増)、売上高合計は20,558百万円(同41.0%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は18,527百万円(同44.0%増)となりました。

当社において生産工程における効率化や経費削減の取り組みを実施しましたが、銅材料価格高騰の影響が大きく、売上高原価率は90.1%(同1.9ポイント増)となりました。

その結果、当連結会計年度の売上総利益は2,030百万円(同18.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,025百万円(同14.1%減)となりました。

当社において経費削減に向けた取り組みや連結子会社における退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理等により、売上高販管費比率は5.0%(同3.2ポイント減)となりました。

これらの結果、営業利益は1,004百万円(同90.6%増)、営業利益率は4.9%(同1.3ポイント増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は98百万円となりました。

これは主として、屑売却収入28百万円受取保険金7百万円為替差益45百万円通貨スワップ評価益16百万円によるものです。

当連結会計年度の営業外費用は126百万円となりました。

これは主として、支払利息77百万円電子記録債権売却損14百万円支払手数料9百万円によるものです。

これらの結果、経常利益は976百万円(同121.7%増)、売上高経常利益率は4.7%(同1.7ポイント増)となりました。

 

 

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は137百万円となりました。

これは連結子会社における給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)に基づく補助金収入137百万円によるものです。

当連結会計年度の特別損失は52百万円となりました。

これは、固定資産除売却損48百万円減損損失3百万円によるものです。

税金等調整前当期純利益は1,060百万円(同202.3%増)、法人税、住民税及び事業税228百万円、法人税等調整額△16百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は848百万円(同338.7%増)となりました。

 

 b.財政状態の分析

当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入を含む製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用、設備投資を目的とする投資資金です。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備資金等及び長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。

当連結会計年度末における借入金とリース債務を合せた有利子負債残高は8,866百万円、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,500百万円です。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標

当社グループでは、経営目標の達成状況を判断するため、以下の計算手順により算定されたEBITDAを重要な経営指標と位置づけております。最近2連結会計年度における状況は下表のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

第5期連結会計年度

(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

第6期連結会計年度

(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

売上高

14,584

20,558

営業利益

527

1,004

(加算)減価償却費

1,316

1,274

EBITDA     (注)

1,843

2,278

 

(注) EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

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