研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

研究開発の基本方針

当社グループでは、今後の市場ニーズや技術動向を先取りした製品を提案し、未来に貢献する銅箔を製品化することを開発の基本方針とし、研究開発に取り組んでおります。

また、改正RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances:電子機器における特定有害物質の使用を制限するEU(欧州連合)の指令)をはじめとする有害物質規制に適応し、顧客ニーズに対応する製品を提供します。

 

当連結会計年度における品種別の研究成果は以下のとおりです。

 

(1) 車載電池用銅箔

電動自動車の高性能化に伴い、LIBの高機能化、次世代電池の開発のため、負極集電体に用いられる電池用銅箔にも様々な特性が要求されています。各種電池の技術要求に対応するため、当社では多様な電池用銅箔の研究開発を進めております。

車載電池用銅箔においては、国内外EV関連企業と共同で、 
 ① 高容量化を実現する次世代LIBに対応する銅箔
 ② 全固体電池に対応する銅箔
 ③ 新原理により性能を大幅に向上させた革新型蓄電池に対応する銅箔
 について各々研究開発を進めました。

①の高容量化を実現する次世代LIBに対応する銅箔については、充電時間の短縮や航続距離・加速性能の向上(高容量・高エネルギー密度化)等を実現するため、高強度・高密着性表面処理銅箔の研究開発を進め、新規負極材料や工法にオプティマイズした表面処理銅箔を実現し、国内電池メーカーや負極材メーカーによる銅箔仕様決定の段階に入っております。

の全固体電池に対応する銅箔については、安全性・信頼性の飛躍的向上、高エネルギー密度化等を実現するため、全固体電池用負極集電体への最新の要求特性調査、国内自動車メーカーとの共同研究の推進、海外電池メーカーへのサンプル供試等を進めております。 

③の新原理により性能を大幅に向上させた革新型蓄電池に対応する銅箔については、フッ化物電池、亜鉛負極電池等の革新型蓄電池に必要な銅箔の調査及び基礎検討を継続しております。

    これら車載用電池の技術シフトのイメージを図示すると以下のとおりとなります。

 

<車載用電池の技術シフトイメージ>

 


(出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) ホームページ)

 

 

(2) 回路基板用銅箔

移動体通信の5G規格に代表される高周波領域に対応するため、また、HDI(高密度相互接続)基板に用いられる微細配線に対応するため、銅箔にはより低い表面粗さと樹脂基材との密着性が要求されます。

回路基板用銅箔においては、

① 高速通信(高周波領域信号)に対応する銅箔

② HDI(高密度相互接続)に対応する銅箔

    について各々研究開発を進めました。

①の高速通信に対応する銅箔については、銅箔の平滑化及び表面形状の最適化に加えて新たな接合技術を開発することで、電気信号損失の最小化と樹脂基材との密着性の両立を実現し、国内外の基板メーカーによる最終評価段階に入っております。さらに次世代の高速通信(6Gなど)に対応した銅箔を実現するべく要素技術の開発を行っております。

 ②のHDIに対応する銅箔については、エッチング法シングルプロセスによる回路形成が可能な結晶構造を持つ製品の研究開発を進め、従来はキャリア付極薄銅箔を用いたMSAP(Modified Semi-Additive Process)でないと加工が困難であった微細配線を、厚さ6㎛以下のノンキャリア銅箔で加工可能としました。

 

当連結会計年度における研究開発費の総額は161百万円です。

 

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