業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

① 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況

 a. 事業全体の状況

当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策のためのワクチン接種が進展するとともに、経済活動の再開が推進され、景況感は改善されました。しかしながら、本年に入りオミクロン株への置き換わりによる感染拡大は第6波を迎え、厳しい状況が続いております。

海外においても、新型コロナウイルス感染症は、再拡大を繰り返しており、特に物流の混乱による納期遅延や品薄状態が発生するなど依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような状況下、当社は安定した利益の確保を最重要課題に掲げ、売上高の確保、原材料の安定調達及び材料歩留改善、生産性改善、購入価格低減、固定費削減などの原価低減活動に注力いたしました。

売上高は、貴金属電極の材料が高騰したことを受け、その連動により販売価格が大幅に上昇したことに加え、タングステン・モリブデン製品が漸く需要低迷期を脱し、好調に推移したことにより、6,400百万円(前期 4,173百万円)と前期比53.4%の大幅な増収となりました。

損益面は、増収効果に加え、歩留改善等の変動費の抑制により売上原価率が改善し、営業利益は685百万円(前期 127百万円)となりました。

営業外収益は受取利息及び配当金、雇用調整助成金等により49百万円となり、営業外費用は支払利息等により27百万円となりました。

結果、経常利益は707百万円(前期 184百万円)となり、固定資産除却損16百万円を特別損失に計上したことにより、当期純利益は601百万円(前期 149百万円)となりました。

 

 b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

(電気・電子)
 タングステン・モリブデン製品の売上高は、半導体、自動車関連での需要回復により、好調に推移し、1,616百万円(前期 1,221百万円)と32.3%の増収となりました。

焼成品の売上高は、自動車用電極部品を主力製品とする貴金属電極の材料が半導体製造装置部品での需要増や、環境関連での注目の材料としての思惑等から高騰したことを受け、その連動による販売価格が大幅に上昇したことにより、4,341百万円(前期 2,534百万円)と71.3%の大幅な増収となりました。

この結果、電気・電子合計の売上高は5,957百万円(前期 3,756百万円)と58.6%の増収となり、営業利益は717百万円(前期 169百万円)となりました。

(超硬合金)
 超硬合金は、売上高 442百万円(前期 417百万円)と6.1%の増収となり、営業損失32百万円(前期 営業損失41百万円)となりました。

 

(注) 当事業年度より製品区分を見直し、「合金及び電気・電子部品」と「その他製品」を統合し、「焼成品」に変更しております。

 

 

   ② 生産、受注及び販売の実績

 a. 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前期増減率(%)

 

電気・電子

5,656,363

47.0

 

超硬合金

438,696

10.4

 

合 計

6,095,060

43.6

 

(注) 1 金額は平均販売価格によっております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 記載金額は千円未満を切り捨てて表示しております。

 

 b. 受注実績

当事業年度における受注実績及び受注残高をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期増減率(%)

受注残高(千円)

前期増減率(%)

 

電気・電子

5,880,034

52.8

444,757

101.2

 

超硬合金

438,454

10.6

18,422

△1.3

 

合 計

6,318,489

48.9

463,179

93.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 記載金額は千円未満を切り捨てて表示しております。

 

 c. 販売実績

   当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

品   種

販売高(千円)

前期増減率(%)

 

電気・電子

 タングステン製品

863,362

29.2

 

 モリブデン製品

752,962

36.1

 

タングステン・モリブデン製品計

1,616,325

32.3

 

焼成品

4,341,611

71.3

 

電気・電子合計

5,957,937

58.6

 

超硬合金

超硬合金製品

442,519

6.1

 

合  計

6,400,456

53.4

 

 (注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

    2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

第71期

第72期

 

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

 

日本特殊陶業株式会社

1,702,522

40.8

3,554,802

55.5

 

    3 記載金額は千円未満を切り捨てて表示しております。

 

(2) 財政状態の状況

(流動資産)
 当事業年度末における流動資産は3,581百万円(前事業年度末 3,350百万円)となり、230百万円増加しました。主たる要因は、仕掛品の増加260百万円によるものです。

(固定資産)
 当事業年度末における固定資産は2,219百万円(前事業年度末 2,109百万円)となり、109百万円増加しました。主たる要因は、投資有価証券の増加129百万円によるものであります。
 (流動負債)
 当事業年度末における流動負債は1,683百万円(前事業年度末 2,124百万円)となり、440百万円減少しました。主たる要因は、短期借入金の減少610百万円及び電子記録債務の増加103百万円によるものであります。
 (固定負債)
 当事業年度末における固定負債は1,127百万円(前事業年度末 1,037百万円)となり90百万円増加しました。主たる要因は、繰延税金負債の増加30百万円、長期借入金の増加20百万円、退職給付引当金の増加19百万円及び役員退職慰労引当金の増加11百万円によるものであります。
 (純資産)
 当事業年度末における純資産は2,989百万円(前事業年度末 2,299百万円)となり690百万円増加しました。主たる要因は、当期純利益601百万円及びその他有価証券評価差額金の増加89百万円によるものであります。
 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ106百万円減少し、493百万円となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による資金は596百万円の増加(前事業年度は110百万円の増加)となりました。主な要因は、税引前当期純利益691百万円(資金の増加)、減価償却費159百万円(資金の増加)、仕入債務の増加額90百万円(資金の増加)及び棚卸資産の増加額343百万円(資金の減少)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動による資金は104百万円の減少(前事業年度は238百万円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出134百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動による資金は598百万円の減少(前事業年度は393百万円の増加)となりました。主な要因は、短期借入金の純減少額610百万円によるものであります。
 

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社は事業の運営に必要な資金を内部資金及び借入金によって調達しております。
 2022年3月末日現在の借入金残高は、短期借入金が500百万円、長期借入金が910百万円(うち、1年内返済予定の長期借入金330百万円)であります。
 当社は収益性向上を通じた営業活動によるキャッシュ・フローの改善を財務政策の最重要事項として位置づけております。

 

 (4) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、中長期的な会社の経営戦略としての重点戦略を実施し、成長指標として売上高、営業利益率、財務基盤の安全性として自己資本比率の向上を目指しております。2021年3月期を基準に、売上高 2021年3月期比150%以上、営業利益率5%以上、自己資本比率50%以上を2027年3月期に達成することを目標(ビジョン)として掲げ、取り組んで参ることといたしました。
 

 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 a. 退職給付費用及び退職給付債務

当社は従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しております。

退職給付費用は、割引率及び予想昇給率等の仮定によって算出しております。割引率は、金利の変動等を含む現状の市場動向等を、予想昇給率は実績及び直近の見通しを考慮して決定しております。

当社は現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

 

 b. 繰延税金資産

当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上することとしておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 c. 投資有価証券の評価

当社はその他有価証券で市場価格のない株式等以外のものについては、期末日の時価が取得価額に比べて著しく下落したものを減損の対象としております。将来、株式市況や投資先の業績が悪化した場合には、追加的な減損損失の認識が必要となる場合があります。

 

 d. 貸倒引当金

当社は債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率は原則として過去3年間の実績をもとに算出しております。貸倒引当金の金額は、以後の各事業年度の個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、増減する可能性があります。

 

 e. 固定資産の減損処理

当社は固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変化が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 f. 棚卸資産の評価

棚卸資産の評価については、収益性が低下している場合は簿価の切り下げを行っており、収益性低下の有無の検討にあたっては、市場動向や製品の品質等を勘案し、定期的に一定の基準に沿って判断しております。市場動向の見通しが変動した場合に、翌事業年度において認識する金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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