(1)会社の経営の基本方針
当社は、お客様の満足を実現する製品及びサービスを提供することによって収益向上に努め、株主の利益の最大化を図りながら、持続的な発展を果たすことが企業の使命であると認識し経営活動を行っております。
その活動に当たっては、「当社だからできる“特殊”にこだわり、常にお客様の期待を超える開発提案型企業を実現する」ことを企業ビジョンに掲げ、事業の拡大に努めております。また、法令を遵守し、公正であること、環境保全にも十分配慮することを基本としております。
(2)中長期的な経営戦略
当社グループでは、将来に向け更に収益力強化に努めるとともに、顧客の価値創造のため環境・社会に貢献する技術・製品を提供して、成長し続ける企業を目指しております。この基本的な考え方のもと、中期経営計画において、「注力市場における顧客の価値創造」「成長・新市場向け新製品開発」「ESG経営の強化」を施策として取組んでまいります。「注力市場における顧客の価値創造」では、通信インフラ、モビリティ、小型トランス、基板・半導体検査装置の4つの市場を注力市場として、顧客要求に応えた製品開発と生産体制強化により、顧客の価値創造を通じて事業拡大、収益確保を図ります。これらの市場に向けて、特に、高耐圧性能に優れた線材を電動車(電気自動車・ハイブリッド車など)の分野で拡大を図ること、高速・高周波技術を活かした高性能同軸ケーブルの情報通信・産業機器市場への展開を加速化すること、自動車向けシート用ヒータ線については顧客要求に応えた生産体制強化により事業規模拡大を図ること、半導体の高周波化に対応した小型トランス向けに三層絶縁電線を拡販すること、そして集積度が高まる半導体パッケージ基板の検査向けに極細径のコンタクトプローブを伸長させることなど、当社が培ってきた特殊技術を活かした特長ある製品の開発・拡販を一層推進してまいります。「成長・新市場向け新製品開発」では、開発スピード向上を図り、注力する4市場での新機能開発による新製品の提供から、新用途開発による新たな市場、顧客の探索を強化してまいります。「ESG経営の強化」については、温室効果ガスの削減、地域貢献活動、グループ経営のガバナンス強化を図ることで中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、営業利益率及び自己資本利益率(ROE)であります。
新たに策定した中期経営計画では、2021年度から2025年度までを対象としており、具体的な数値目標として、2023年度は、売上高21,000百万円、営業利益3,400百万円、営業利益率16.2%を、最終年度は、売上高22,000百万円超、営業利益4,000百万円超、営業利益率18.0%超、連結自己資本利益率(ROE)については継続的に10.0%超を目指しております。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、お客様の満足を実現する製品及びサービスを提供することによって収益向上に努め、株主の皆様の利益の最大化を図りながら、永続的な発展を果たすことが企業の使命であると認識し、その実現を目指しております。
この基本的な考え方のもと、2021年度から新たにスタートした2025年度までの中期経営計画においては、顧客の価値創造と、環境・社会に貢献する技術・製品の提供により高収益企業として成長することを基本方針とし、通信インフラ、モビリティ、小型トランス、基板・半導体検査装置の各市場に注力し、「高周波、高耐熱、高耐圧、省エネ、省スペース」の機能で差別化を図り、企業価値の継続的な向上に向けて経営諸施策に取り組んでまいります。既存の主要製品については、拡販に努めるとともに今後の需要増に対応するため生産体制の強化を図ります。
また、新事業の創出に向けて、顧客の価値創造の視点から当社の固有技術、特殊技術を活かした新製品を開発してまいります。さらに、収益全般に影響する銅価格の高止まりや原油価格の高騰、原材料価格の上昇に対しては、お客様とのコミュニケーションをより深め、販売価格について適正な価格にしてまいります。
通信インフラ市場におきましては、需要増加が予想される次世代通信方式の「5G」市場向けに最適な高性能同軸ケーブルの拡販を進める計画でありますが、現在普及している4G帯のインフラを利用した周波数の低い5G方式に比べ、当社の高性能同軸ケーブルの特長を活かすことができる周波数の高い5G方式への移行は大きく遅れているものと見ております。それに伴い販売計画も見直しておりますが、今後も大容量かつ高速安定な通信が必要とされていく方向性は間違いないと考え、通信インフラの市場動向については今後も注視し、需要増に対しては速やかに供給体制を整えてまいります。
モビリティ市場におきましては、脱炭素社会への取組みとして世界的なEV化のニーズがあります。安全で安心・快適なモビリティと、それらが外部と接続された状態のコネクテッドカーが普及拡大することで、電動車向け部材の需要も急速に増えてきております。当社は自動車向けシート用ヒータ線の生産供給を軸として収益拡大を図る計画ですが、半導体などの部材供給不足が市場に与える影響は大きく、当連結会計年度の下期以降、受注は減少傾向となりました。ただしこれらの影響は一時的で、2025年までの中期的視点では市場が拡大傾向にあることは変わらないとみて、今後も自動車向けシート用ヒータ線の生産体制の強化は当初の計画から変更することなく実行してまいります。
小型トランス市場におきましては、通信インフラ市場など他の市場の拡大に伴い需要も増加していくものと考えております。また、半導体の高周波化がより進み、高い効率性や小型軽量化、低コスト化が求められていくと想定し、それらのニーズに合う三層絶縁電線を供給してまいります。当社の三層絶縁電線はその構造からトランスを高効率化、小型軽量化できることが特長ですが、より大きな電流へ対応した新製品の開発により、サーバー用トランス、車載用トランスの用途にも拡大してまいります。
基板・半導体検査装置市場においては、世界的な半導体供給不足の中、今後も堅調な需要に支えられて拡大していくと考えております。電子デバイスの小型化に伴い基板・半導体の集積率はさらに高まり、検査用途に使用される装置、部品、冶具などが小型化していくと予想されます。当社は半導体パッケージ基板の導通検査用として世界最高水準の細径化を実現するコンタクトプローブの供給を行っており、今後も新規顧客の開拓を推進するとともに、基板の狭ピッチ化に応えた極細径のコンタクトプローブを拡大してまいります。
海外拠点では、中国子会社においてヒータ製品の機能向上と安定供給、焼付線の差別化製品へのシフトにより収益を拡大し、フィリピン及びインドネシア子会社では、フレキシブルフラットケーブルの生産効率化と品質向上を図り事業基盤を強化してまいります。
当社グループの持続的成長を支える人材の育成と活用も重要な課題として取り組んでまいります。特に中長期的視野でリーダー層の育成に注力するとともに、高年齢層の人材も積極的に活用してスキルや技術の伝承と次世代育成の取組みを強化してまいります。
また、社会課題への対応と企業価値向上のために、ESG経営を推進してまいります。環境(E)への取組みとしては、温室効果ガスの削減のほか再生可能エネルギー比率の向上を計画的に推進し、社会(S)については、安全で働きやすい職場づくりや特に事業拠点のある地域での地域貢献活動等に取り組んでまいります。ガバナンス(G)については、監査等委員会設置会社へ移行し、指名・報酬委員会並びに少数株主の利益確保のため利益相反管理委員会を設置しており、今後も当社グループ全体でガバナンスの一層の充実に向けた取組みを推進してまいります。
今後の経済情勢につきましては不透明な状況が継続いたしますが、当社グループは、中期経営計画の基本方針に基づく上記の取組みを全社一丸となって推進し、収益力の更なる向上と企業価値向上につなげてまいる所存であります。
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