業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、一部では持ち直しの動きがみられたものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大の懸念や、ウクライナ情勢等の影響により、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような環境下におきまして、当連結会計年度における当社グループの業績は、以下のとおりとなりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 

 

(単位:百万円)

 

前期

当期

増減

増減率

売上高

748,724

821,565

72,841

9.7%

営業利益

26,667

34,114

7,446

27.9%

売上高営業利益率

3.6%

4.2%

0.6%

経常利益

27,326

45,712

18,385

67.3%

特別利益

18,426

18,426

特別損失

2,980

4,046

1,066

親会社株主に帰属する当期純利益

15,946

44,422

28,475

178.6%

 

売上高は、海洋プラスチックごみ問題に端を発した、プラスチック容器から他素材の容器へシフトする流れを受け、世界的に飲料缶需要が増加したことにともない製缶・製蓋機械の販売が伸長したほか、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大きく減少した鋼板や、飲料容器を中心とした包装容器などの販売が、反動を受け増加したことにより、8,215億65百万円(前期比9.7%増)となりました。利益面では、鋼板や包装容器などの販売数量が増加したほか、原材料価格の高騰に対して一部の製品で価格転嫁に努めたことや、鋼板材料の在庫評価益が発生したことなどにより、営業利益は341億14百万円(前期比27.9%増)となりました。経常利益は、持分法投資利益の増加などにより、457億12百万円(前期比67.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の計上などにより、444億22百万円(前期比178.6%増)となりました。

各セグメントの営業の概況は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、以下の前期に対する製品毎の増減要因分析については、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準 第29号 2020年3月31日)等の影響を除いて記載しております。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

報告セグメント等

売上高(外部顧客)

営業利益

前期

当期

増減

増減率

前期

当期

増減

増減率

包装容器事業

495,192

500,395

5,202

1.1%

13,816

11,282

△2,534

△18.3%

エンジニアリング・充填・物流事業

127,812

167,113

39,301

30.7%

3,713

9,927

6,213

167.3%

鋼板関連事業

54,599

75,077

20,478

37.5%

△371

2,680

3,051

機能材料関連事業

40,373

48,594

8,220

20.4%

3,051

5,378

2,327

76.3%

不動産関連事業

7,801

7,976

175

2.2%

5,237

4,742

△495

△9.5%

その他

22,944

22,408

△536

△2.3%

1,438

1,890

452

31.4%

調整額

△219

△1,787

△1,568

合計

748,724

821,565

72,841

9.7%

26,667

34,114

7,446

27.9%

 

〔包装容器事業〕

売上高は5,003億95百万円(前期比1.1%増)となり、営業利益は112億82百万円(前期比18.3%減)となりました。

a)金属製品の製造販売

金属製品の売上高は、前期を上回りました。

チューハイ向けのアルコール飲料用空缶において、家庭内需要が増加したことに加え、前期に新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛などの影響により大きく減少した清涼飲料用空缶が、反動を受け増加したことや炭酸飲料向けなどで新規受注があったことにより好調に推移しました。

b)プラスチック製品の製造販売

プラスチック製品の売上高は、前期を上回りました。

前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により増加した消毒液向けなどのボトルが反動を受け減少しましたが、外出自粛などの影響により大きく減少した清涼飲料用ペットボトル・キャップが、反動を受け増加したことや炭酸飲料向けで新規受注があったことに加え、お茶類向けで製品リニューアルがあったことにより好調に推移しました。

c)紙製品の製造販売

前期に新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛などの影響により大きく減少した飲料コップが、反動を受け増加したほか、海洋プラスチックごみ問題に端を発した、プラスチック容器から他素材の容器へシフトする流れを受け、コンビニエンスストア向けの弁当容器などが好調に推移したことにより、売上高は前期を上回りました。

d)ガラス製品の製造販売

前期に新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛などの影響により大きく減少したビール類向けのびん製品や食器などのハウスウエア製品が、反動を受け増加し、売上高は前期を上回りました。

〔エンジニアリング・充填・物流事業〕

売上高は1,671億13百万円(前期比30.7%増)となり、営業利益は99億27百万円(前期比167.3%増)となりました。

a)エンジニアリング事業

海洋プラスチックごみ問題に端を発した、プラスチック容器から他素材の容器へシフトする流れを受け、世界的に飲料缶需要が増加したことにともない、北米を中心とした海外向けの製缶・製蓋機械の販売が好調に推移したことにより、売上高は前期を大幅に上回りました。

b)充填事業

前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により増加した消毒液の一般充填品が反動を受け減少しましたが、中国・タイにおけるお茶類の飲料充填品で新規受注があったことにより、売上高は前期を上回りました。

c)物流事業

貨物自動車運送業および倉庫業などの売上高は、前期を上回りました。

〔鋼板関連事業〕

売上高は750億77百万円(前期比37.5%増)となり、営業利益は26億80百万円(前期は3億71百万円の営業損失)となりました。

鋼板関連事業の売上高は、前期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響により減少した反動で増加しました。

電気・電子部品向けでは、車載用二次電池材や充電池材が増加しました。

自動車・産業機械部品向けでは、駆動系部品材などが増加しました。

建築・家電向けでは、バスルーム向け内装材が増加しました。

 

〔機能材料関連事業〕

売上高は485億94百万円(前期比20.4%増)となり、営業利益は53億78百万円(前期比76.3%増)となりました。

磁気ディスク用アルミ基板では、サーバー向けのハードディスク用途が増加したことなどにより、売上高は前期を上回りました。

光学用機能フィルムでは、フラットパネルディスプレイの市況が好調に推移し、売上高は前期を上回りました。

その他、ほうろう製品向けの釉薬や顔料が増加しました。

〔不動産関連事業〕

オフィスビルおよび商業施設等の賃貸につきましては、売上高は79億76百万円(前期比2.2%増)となり、営業利益は47億42百万円(前期比9.5%減)となりました。

〔その他〕

自動車用プレス金型・機械器具・硬質合金および農業用資材製品などの製造販売、石油製品などの販売および損害
保険代理業などにつきましては、売上高は224億8百万円(前期比2.3%減)となり、営業利益は18億90百万円(前期比31.4%増)となりました。

所在地別セグメントの業績は、次のとおりであります。

日本では、売上高は6,577億16百万円(前期比3.7%増)、営業利益は182億40百万円(前期比3.6%増)となりました。

アジア(タイ、中国、マレーシアなど)では、売上高は610億90百万円(前期比17.7%増)、営業利益は81億44百万円(前期比11.9%増)となりました。

その他(米国など)では、売上高は1,027億58百万円(前期比64.3%増)、営業利益は76億12百万円(前期比610.7%増)となりました。

資産、負債および純資産の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、1兆822億82百万円となりました。保有上場有価証券の売却や時価下落により投資有価証券が減少しましたが、棚卸資産の増加などにより前連結会計年度末に比べ462億円の増加となりました。

当連結会計年度末の負債は、4,179億90百万円となりました。仕入債務の増加などにより前連結会計年度末に比べ335億47百万円の増加となりました。

当連結会計年度末の純資産は、6,642億91百万円となりました。保有上場有価証券の売却や時価下落によるその他有価証券評価差額金の減少、配当金の支払いおよび自己株式の取得などにより減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより前連結会計年度末に比べ126億52百万円の増加となりました。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の60.4%から58.9%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて92億69百万円増加し、1,204億77百万円(前期比8.3%増)となりました。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前当期純利益が600億92百万円、減価償却費512億99百万円、棚卸資産の増加による資金の減少314億52百万円、法人税等の支払額64億30百万円などにより、当連結会計年度における営業活動による資金の増加は754億15百万円(前期比4.9%減)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

包装容器事業での設備投資を中心とした有形固定資産の取得による支出472億74百万円、投資有価証券の売却による収入212億63百万円あったことなどにより、当連結会計年度における投資活動による資金の減少は271億66百万円(前期比60.3%減)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

長期借入金の返済による支出が226億48百万円、自己株式の取得による支出が92億17百万円、配当金の支払いが110億11百万円あったことなどにより、当連結会計年度における財務活動による資金の減少は421億86百万円(前期比158.1%増)となりました。

また、「配当金の支払い」や「自己株式の取得による支出」が前期より大幅に増加しておりますが、これは中期経営計画2025における株主還元方針に従ったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

包装容器事業

483,399

99.8

エンジニアリング・充填・物流事業

108,807

163.0

鋼板関連事業

72,295

151.2

機能材料関連事業

46,116

120.8

報告セグメント計

710,619

111.5

その他

19,602

117.1

合計

730,222

111.7

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

3.不動産関連事業は、生産形態をとらない事業活動のため記載しておりません。

 

b)受注実績

エンジニアリング・充填・物流事業、鋼板関連事業、機能材料関連事業およびその他のうち、受注生産によるものについての当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

エンジニアリング・充填・物流事業

162,442

137.5

149,977

172.0

鋼板関連事業

76,263

112.3

16,308

141.9

機能材料関連事業

35,344

122.4

3,197

111.9

その他

19,210

146.5

11,052

128.2

合計

293,261

128.6

180,536

163.9

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

3.エンジニアリング・充填・物流事業の金額は、包装容器関連設備の製造販売の一部に係るものであります。

4.包装容器事業は、事業の形態から受注実績と販売実績がほぼ同様のため記載しておりません。

5.不動産関連事業は、受注形態をとらない事業活動のため記載しておりません。

 

 

c)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

包装容器事業

500,395

101.1

エンジニアリング・充填・物流事業

167,113

130.7

鋼板関連事業

75,077

137.5

機能材料関連事業

48,594

120.4

不動産関連事業

7,976

102.2

報告セグメント計

799,157

110.1

その他

22,408

97.7

合計

821,565

109.7

 (注)1.販売高には、他からの購入品の販売が含まれており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績及びセグメントごとの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 また、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標、達成状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ)主要な資金需要および財源

翌連結会計年度の当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用ならびに当社グループの設備新設、改修等にかかる投資であります。

また、成長市場に向けた国内・海外事業への投資および事業構造改革投資をM&Aなどの形態と組み合わせて行うことを検討しております。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行等による資金調達を主な財源として対応いたします。

安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題として認識しており、主要な取引先金融機関に対して適時適切な情報開示を行うことにより、良好な取引関係を維持しております。

加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しております。

 

ⅱ)資金の流動性

手許の運転資金につきましては、当社および一部を除く国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。現在、手許キャッシュは、突発的な資金需要に対応するため売上高の1ヵ月から2ヵ月分の水準を保持しており、今後もこの水準で運営していく予定です。さらに、これを上回る突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。

 

当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

③重要な会計方針の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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