(経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
受注高、売上高及び受注残高の状況
損益の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大によって減速した海外経済の影響を受け急激に悪化し、輸出、生産はともに減少しております。また設備投資は、ソフトウェア投資の増加によりおおむね横ばいを維持しているものの、高い水準で推移していた企業収益や業況感も感染症とそれに伴う自粛の影響によって悪化しており、個人消費の急速な減少とともに、景気は全体として極めて厳しい状況にあります。
一方、公共投資につきましては、国の令和元年度一般会計予算の補正予算において約1.6兆円の予算措置が講じられたことにより、公共事業関連費は、前年度を上回っております。公共工事請負金額も対前年比106.8%と高水準で推移し、令和2年度当初予算の公共事業関係費がほぼ前年度並みの0.8%減となっていることから、関連予算執行の効果発現と併せ、全体として底堅く推移しております。
このような状況におきまして、当社グループ全体で受注活動に取り組んだ結果、当連結会計年度の受注高は、建設事業、鋼構造物事業において前連結会計年度を上回る受注獲得により、654億4千1百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
当連結会計年度の主要な受注は、以下のとおりであります。
(建設事業)
・ニューマチックケーソン工事
戸田建設株式会社「都財務城北中央公園調節池」
・コンクリートの新設橋梁工事
国土交通省中部地方整備局「令和元年度 河津下田道路河津ICランプ橋PC上部工事」
・橋梁の補修補強工事
中日本高速道路株式会社「中央自動車道(特定更新等) 多摩川橋床版取替工事(平成30年度)」
・一般土木工事
モノレールエンジニアリング株式会社
「東京モノレール羽田空港線 天空橋駅バリアフリー対策工事(2019年度)」
(鋼構造物事業)
・鋼構造の新設橋梁工事
国土交通省関東地方整備局「H31・32本庄道路神流川橋上部工事 」
・橋梁の補修補強工事
東日本高速道路株式会社「道央自動車道 メップ川橋東地区原形復旧工事」
当社グループの当連結会計年度における売上高は前連結会計年度に比べ5.6%増加し531億5千8百万円となりました。これは建設事業の一部大型工事の着工の遅れがあったものの、総じて工程の遅れもなく順調に推移したことによるものであります。また大規模更新事業等の工事の発注規模の大型化、長期化等から受注残高は、781億9千4百万円(前年同期比18.6%増)となりました。
当連結会計年度における売上原価は前連結会計年度に比べ6.9%増加し451億3千8百万円となりました。売上総利益は前連結会計年度に比べ1.4%減少し80億1千9百万円となりました。売上高は増加したものの、売上原価の増加率が大きく、前連結会計年度と比べて売上総利益は減少となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、情報システム費用、事業税等租税公課等の増加により前連結会計年度に比べ5.4%増加し42億3千3百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ8.1%減少し37億8千5百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ6.4%減少し39億1千5百万円となりました。売上総利益の減少、販売費及び一般管理費の増加に伴い前連結会計年度と比べて営業利益、経常利益ともに減少となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、有形固定資産の売却による売却益59億4百万円の計上があり、前連結会計年度に比べ111.6%増加し68億2千8百万円となりました。
なお、当社グループの報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
受注高、売上高、受注残高及びセグメント利益の状況
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は太陽光発電による売電事業であります。
① 建設事業
当セグメントの売上高は478億5百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益(営業利益)は40億1千5百万円(前年同期比5.6%減)となりました。前年同期比で売上高は増加したものの、新設橋梁工事・補修補強工事において原価率の微増、販売費及び一般管理費の増加もあり、利益については減少となりました。
② 鋼構造物事業
当セグメントの売上高は52億8千4百万円(前年同期比5.2%減)、セグメント利益(営業利益)は1億4千7百万円(前年同期比92.8%増)となりました。前年同期比で売上高は減少したものの、主に補修工事において順調であり、一部の大型工事の売上原価が改善され、利益の増加に貢献しました。
③ その他
太陽光発電による売電事業により、売上高は6千8百万円(前年同期比10.7%減)、セグメント利益(営業利益)は2千6百万円(前年同期比9.5%減)となりました。
当社グループは目標とする経営指標として3年間の中期経営計画「中期経営計画(2017-2019)~『らしさ』で築きあげる安定と成長~」を策定しており、当連結会計年度は中期経営計画の最終年度にあたります。2020年3月期の目標と当連結会計年度での主な指標の達成率は以下のとおりであります。
売上高につきましては、一部大型工事の着工の遅れがあったものの、各セグメントにおいて総じて順調に推移した結果、当連結会計年度においては96.7%の達成率となりました。なお、達成率の推移については、初年度90.1%、2年度91.6%であります。
経常利益につきましては、当連結会計年度において達成率111.9%となりました。事業環境が良好な状態が継続しているなか、主として材料費・人件費等工事コストの縮減に努めた結果、想定を上回る達成率となりました。なお、達成率の推移については、初年度94.8%、2年度119.5%であります。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、事業の大半を国及び地方公共団体からの公共事業に依存する中、急激な公共投資の削減や建設コストの上昇等の事業環境の変化であります。当連結会計年度における事業環境は良好に推移したものと考えており、また、新型コロナウイルス感染症の影響も限定的であったと考えております。今後については、新型コロナウイルス感染症の2次、3次の感染拡大による対策費用の増加、発注環境の悪化や施工現場での感染症発生による中断などのリスクが考えられます。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度に比べ17.6%増加し416億6千7百万円となりました。これは主に現金及び預金が15億8百万円、受取手形・完成工事未収入金が42億2千8百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度に比べ6.5%減少し105億5百万円となりました。これは主に建物及び構築物が3億2百万円増加しましたが、土地が10億9千5百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ0.4%減少し144億8千6百万円となりました。これは主に未払法人税等が10億3千9百万円増加しましたが、前受金が7億1千7百万円、預り金が7億1千5百万円減少したことなどによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度に比べ0.8%増加し43億6千7百万円となりました。これは主に退職給付に係る負債が5億2千3百万円、長期借入金が2億8千5百万円減少しましたが、繰延税金負債を8億2千1百万円計上したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加により、前連結会計年度に比べ19.9%増加し333億1千8百万円となり、自己資本比率は63.9%となりました。
当社グループの報告セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
セグメント資産
① 建設事業
当セグメント資産は455億4千9百万円(前年同期比4.5%増)となりました。好調な経営環境を背景とする受取手形・完成工事未収入金等の流動資産の増加等によりセグメント資産は前年同期から増加しております。
② 鋼構造物事業
当セグメント資産は47億3千万円(前年同期比4.5%増)となりました。順調な売上高に伴い、受取手形・完成工事未収入金等の流動資産の増加等によりセグメント資産は前年同期から増加しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、投資活動によるキャッシュ・フローの増加が営業活動によるキャッシュ・フローを補い、対前年15億8百万円増加の142億2千3百万円(前年同期比11.9%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は10億7千7百万円(前年同期は23億9百万円の増加)となりました。これは主に固定資産売却益59億4百万円、売上債権の増加33億3千4百万円、未収消費税の増加9億1千8百万円、預り金の減少7億1千5百万円、税金等調整前当期純利益97億6千1百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は41億7千6百万円(前年同期は9億4千7百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出17億4千5百万円、有形固定資産売却による収入64億円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は15億9千万円(前年同期比44.0%増)となりました。これは主に配当金の支払額9億5千4百万円、自己株式の取得による支出4億7千5百万円などによるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源は、営業活動による確実な代金回収を基礎としており、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を142億2千3百万円保有しております。
当社グループは、月商の約2.0か月分を安定的な経営に必要な手元資金水準とし、それを超える分については、企業価値の向上に資する研究開発の強化や戦略的投資へ配分しております。当連結会計年度の設備投資は22億5百万円、研究開発は4億3千9百万円でありました。これらの設備投資及び研究開発費は、自己資金で賄っております。
資金の流動性につきましては、運転資金は内部資金及び金融機関からの借入金によって調達しており、機動的かつ安定的な資金調達のため、取引銀行5行との間でシンジケーション方式による総額45億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において当該契約に基づく実行残高はありません。
なお、新型コロナウイルス感染症による資金繰り影響としては、感染症対策費用の増加や現場感染症発生による中断による資金回収の遅れが考えられますが、現在の現預金水準やコミットメントラインの設定水準から更なる資金調達の必要は想定しておりません。
当社グループは、「中期経営計画(2020-2022)~グループの『安定と成長』へ歩みを止めない~」に基づき、事業への資源配分及び株主還元について次のとおり考えております。
事業への資源配分については、企業成長の好循環を目指し、生産能力の向上のための設備投資、M&A等による生産体制の投資、技術提携等による技術開発、海外事業等の新規事業、賃貸不動産物件の取得を今後5年間総額200億円で実施する投資計画を設定しております。
株主還元については、安定した利益還元を経営における最重要課題のひとつと考え、安定した利益配当を継続して実施することを基本方針としております。2023年3月期においては、配当性向40%程度、総還元性向40%以上を目標としております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
工事進行基準
工事契約に関して、その進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。工事進行基準の適用にあたっては、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を信頼性を持って見積もる必要があります。工事契約の完了に必要となる作業内容及び工数等の工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため、想定していなかった原価の発生等により当該見積りに見直しが必要となった場合には各工事損益を変動させる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、財務諸表作成時において一部の現場で施工中断が発生しておりましたが、短期間での施工再開となり影響額は限定的なものであります。
(生産、受注及び売上の状況)
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は太陽光発電による売電事業であります。
当連結会計年度における売上実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 「その他」は太陽光発電による売電事業であります。
4 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
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