(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、ウクライナ情勢に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念され、サプライチェーンの混乱やエネルギー・資源価格の高騰に拍車がかかるなど、厳しい状況で推移し、先行きの見通しにも強い不透明感が生じています。
当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界においては、建築着工床面積の前年比増が継続するなど業界動向には回復に向けた動きが見られました。このような状況の中、主力の新型足場「アルバトロス」の販売は、大手建設会社から新たに受注を獲得し出荷が始まるなど、市場シェアの拡大が着実に進み、前期比で大幅に増加しました。レンタル関連事業においても、仮設機材の稼働率は夏場に一昨年同時期のコロナ前の水準まで回復し、その後も継続して上昇しました。一方、コロナ禍での「巣ごもり需要」により前期に過去最高の好業績を記録したフィットネス事業は、その反動減もあり家庭用フィットネス機器の販売が大幅に減少しました。
この結果、売上高は、コア事業である仮設機材の製造・販売とレンタル事業の回復により、前期比3.6%増の552億55百万円となりました。利益面においては、国際的な商品市況の影響を受けて、鋼材やアルミなどの原材料価格が上昇したことや、円安の進行によって、想定を大幅に上回る複合的なコスト上昇要因が生じました。このためこれらコスト上昇に対応すべく値上げによる利益率の改善に取り組みましたが、その後も原材料価格の更なる上昇や、円安が短期間で更に進行したため、値上げの効果は限定され、営業利益は前期比56.2%減の11億19百万円となりました。
また、経常利益は、営業外費用において在インドネシア共和国の持分法適用関連会社であるPT.KAPURINDO SENTANA BAJA(以下、カプリンド社)について持分法による投資損失を計上したことによって前期比60.8%減の11億26百万円となりました。カプリンド社については、これまで同社への投資を通じてインドネシア共和国における民間建築・土木や発電プラント向けに仮設機材の賃貸事業を進めてまいりましたが、長期化する新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、同国の工事現場の一時閉鎖や建設プロジェクトの遅延・着工延期などが生じており、当社のカプリンド社に対する長期貸付金の回収に懸念が生じていると判断したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、福知山物流センター建設に係る補助金収入が生じたことや政策保有株式の一部を売却したことによって特別利益を計上しましたが、前期比72.9%減の4億51百万円となりました。
なお、2021年7月31日をみなし取得日として東電子工業㈱を、また2021年11月30日をみなし取得日として㈱ウエキンを連結の範囲に含めたことに伴い、当連結会計年度に係る連結損益計算書には、東電子工業㈱の6ヶ月間(2021年8月1日から2022年1月31日まで)の業績と㈱ウエキンの3ヶ月間(2021年12月1日から2022年2月28日まで)の業績が含まれております。(報告セグメントは、東電子工業㈱が電子機器関連事業、㈱ウエキンが建設機材関連事業です。)
(2022年3月期連結業績における前期比の主な増減要因)
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
前期比 増減額 |
増減の主な要因 |
売上高 |
53,341 |
55,255 |
+1,914 |
・建設用仮設機材の販売増加(+2,918) ・連結子会社2社増加(+769) ・レンタル関連事業の増収(+683) |
・コロナ禍における巣ごもり需要の反動による フィットネス事業の販売減(△2,190) |
||||
営業利益 |
2,554 |
1,119 |
△1,435 |
・売上高の増加による利益増(+539) ・のれんの償却額の減少(+210) |
・鋼材やアルミなどの原材料価格の上昇(△985) ・円安による仕入コスト上昇(△591) ・レンタル関連事業の利益率低下(△239) ・海上運賃の上昇(△53) |
||||
経常利益 |
2,874 |
1,126 |
△1,748 |
・作業屑売却益など雑益の増加(+206) ・先物為替予約のヘッジ効果などによる為替差益の増加(+197) ・外貨建資産等の評価差益(+65) |
・持分法による投資損失の増加(△860) |
||||
親会社株主に 帰属する当期 純利益 |
1,664 |
451 |
△1,213 |
・減益による法人税等の減少(+283) ・福知山物流センター建設による補助金収入などの計上による特別利益の増加(+124) |
各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
セグメントの名称 |
連結売上高 |
セグメント利益又は損失(△) |
||
金額(百万円) |
前期比増減率(%) |
金額(百万円) |
前期比増減率(%) |
|
建設機材関連事業 |
19,880 |
14.3 |
1,349 |
△4.4 |
レンタル関連事業 |
15,948 |
4.5 |
86 |
54.6 |
住宅機器関連事業 |
15,070 |
△11.0 |
△200 |
- |
電子機器関連事業 |
4,355 |
16.1 |
153 |
185.7 |
報告セグメント計 |
55,255 |
3.6 |
1,389 |
△45.5 |
調整額 |
- |
- |
△263 |
- |
連結損益計算書計上額 |
55,255 |
3.6 |
1,126 |
△60.8 |
(注)1 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
2 セグメント利益又は損失の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない持分法による投資損益、為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。
なお、持分法による投資損益は、当社の持分法適用関連会社であるPT.KAPURINDO SENTANA BAJAに対する長期貸付金について、「持分法会計に関する実務指針」に準拠し計上した878百万円であります。
建設機材関連事業
当事業の売上高は、前期比14.3%増の198億80百万円となりました。建設用仮設機材の販売においては、新型足場「アルバトロス」が大手建設会社での採用が決まり出荷が始まるなど新規顧客への販売と、既存顧客からの追加購入の増加によって、前期比57.7%増と大幅に増加しました。また、物流倉庫向けラックの販売も引き続き堅調に推移しました。
損益面では、売上高は増加したものの鋼材やアルミなどの原材料価格の急激な高騰に販売価格への転嫁が追い付かず、セグメント利益は前期比4.4%減の13億49百万円となりました。
レンタル関連事業
当事業の売上高は、前期比4.5%増の159億48百万円となりました。中高層用レンタルにおいては仮設機材の稼働率が上昇したことや、コロナ禍の影響を強く受けていたイベント向けレンタルがオリンピック関連の受注を獲得した結果、堅調に推移しました。
損益面では、コロナ禍での厳しい価格競争の影響もあり、セグメント利益は前期比30百万円増(前期比54.6%増)の86百万円となりました。
住宅機器関連事業
当事業の売上高は、前期比11.0%減の150億70百万円となりました。アルミ製はしごや脚立などの製品は、感染拡大防止の人流抑制策による量販店などへの人出の鈍化や、展示会の開催自粛継続などの影響を受けたものの販売は堅調に推移しました。しかしながら、前期に「巣ごもり需要」の影響もあって過去最高の好業績を記録したフィットネス機器は、その反動やコロナ禍での新製品の開発遅れなどによって販売が大幅に減少しました。
損益面では、売上高の減少と、海外からの仕入において原材料価格や物流費が上昇したことに加えて、円安が進行したため、セグメント利益は前期比12億30百万円減少し2億円の損失となりました。
電子機器関連事業
当事業の売上高は、前期比16.1%増の43億55百万円となりました。半導体を中心とした電子部品の需給がひっ迫する中、サプライチェーンへの影響を最小限に止めることができ、特定小電力無線機や業務用無線機の販売が需要の回復を確実に捉えて増加しました。また、東電子工業㈱の全株式を取得し連結の範囲に含めたことも寄与しました。
損益面では、M&Aによる株式取得等関連費用47百万円が発生しましたが、売上高の増加によって、セグメント利益は前期比185.7%増の1億53百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ3億32百万円減少し50億81百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、税金等調整前当期純利益が減少したことに加え、コア事業の売上高が増加したことによって相対的に回収期間の長い売上債権が増加したことなどにより、27億11百万円の収入(前期比25億82百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、福知山物流センター稼働などによる有形固定資産の取得や、子会社株式の取得を行ったことなどから、36億64百万円の支出(前期比10億16百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、不透明な需要変動に柔軟な対応を図るため、短期借入金による手元資金の調整を行ったことなどにより、5億83百万円の収入(前期は1億57百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
建設機材関連事業 |
20,228,908 |
15.5 |
電子機器関連事業 |
4,504,243 |
31.2 |
住宅機器関連事業 |
2,698,982 |
11.7 |
合計 |
27,432,134 |
17.5 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前期比(%) |
住宅機器関連事業 |
9,002,475 |
△5.1 |
建設機材関連事業 |
2,012,655 |
△0.8 |
合計 |
11,015,130 |
△4.4 |
(注)1 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
建設機材関連事業 |
19,880,910 |
14.3 |
レンタル関連事業 |
15,948,551 |
4.5 |
住宅機器関連事業 |
15,070,539 |
△11.0 |
電子機器関連事業 |
4,355,790 |
16.1 |
合計 |
55,255,790 |
3.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は582億34百万円となり、前期末に比べ27億90百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が364億35百万円(前期末比32億50百万円増)、固定資産が217億98百万円(前期末比4億60百万円減)であります。総資産の主な増加要因は、東電子工業㈱と㈱ウエキンを連結の範囲に含めたことに加えて、今後の需要増に備えて積極的な生産を継続した結果、たな卸資産が増加したことと、福知山物流センターの稼働開始やレンタル資産への投資によって有形固定資産が増加したことなどによるものです。
(負債)
負債は、307億16百万円となり、前期末に比べ29億51百万円増加しました。その内訳は、流動負債が200億5百万円(前期末比38億46百万円増)、固定負債が107億10百万円(前期末比8億95百万円減)です。負債の主な増加要因は、積極的な生産の継続によって支払手形及び買掛金が増加(前期末比24億29百万円増)したことや、借入金の増加(前期末比15億10百万円増)などによるものです。
(純資産)
純資産は、275億18百万円となり、前期末に比べ1億60百万円減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益が4億51百万円となったことや、剰余金の配当を7億73百万円実施したことなどが主な要因です。
b.経営成績の分析
経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループにおきましても、主に建設機材関連事業やレンタル関連事業における建設工事停滞の影響に加え、度重なる緊急事態宣言の発出に伴う事業活動への影響などが懸念されます。
今後、当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症に関する情報収集及び対応を実施し、その影響の最小化に努めるとともに、感染終息後の需要回復に向けた準備を進めてまいります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、製造販売及びレンタル事業を行うための投融資計画に基づく、各事業に必要な資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。なお外部借入のうち、主に運転資金に関するものは短期資金で、投融資に関するものは長期資金での調達を基本としております。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況において、金融環境の変化に備え手元資金を確保するため、長期借入金の調達を実施いたしました。
内部資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。
売上面におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、当社のコア事業である建設用仮設機材の製造・販売・レンタルの各事業において回復の動きを見せたことに加え、当社主力の新型足場「アルバトロス」の販売において、大手建設会社からの受注を獲得したことによるシェア拡大効果など、計画を上回って推移しました。
しかしながら、コロナ禍での「巣ごもり需要」により前期に過去最高の好業績を記録したフィットネス事業におきましては、その反動減などにより販売が大きく減少し、当社グループの売上高は計画比1.4%の減少となりました。
利益面におきましては、国際的な商品市況の影響による、鋼材・アルミなどの原材料価格の上昇に加え、円安の進行や輸送コストの上昇などがいずれも想定を上回るペースで推移したため、営業利益は計画比62.6%減、経常利益は計画比63.4%減、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比77.5%減となりました。
指標 |
2021年3月期 (実績) |
2022年3月期 (計画) |
2022年3月期 (実績) |
対前期比 増減 |
対計画比 増減 |
売上高 (百万円) |
53,341 |
56,030 |
55,255 |
+3.6% |
△1.4% |
営業利益 (百万円) |
2,554 |
2,990 |
1,119 |
△56.2% |
△62.6% |
営業利益率 (%) |
4.8 |
5.3 |
2.0 |
- |
- |
経常利益 (百万円) |
2,874 |
3,080 |
1,126 |
△60.8% |
△63.4% |
経常利益率 (%) |
5.4 |
5.5 |
2.0 |
- |
- |
親会社株主に帰属する 当期純利益 (百万円) |
1,664 |
2,010 |
451 |
△72.9% |
△77.5% |
なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、上記のほか、2021年4月30日に公表いたしました「中期経営計画2024」に記載しております。内容については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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