当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率向上などにより経済活動が戻りつつありましたが、建設業界においては、労務費や建設資材価格の高止まりに加えて、世界的な景気回復に伴う資源の需要増加やコンテナ船の輸送遅延などにより、製造業でも製品の生産コスト・生産計画に影響が出始めました。更に、ウクライナ情勢の影響を受けたエネルギー価格高騰により、電力や運送費上昇による悪影響も懸念されます。
このような状況のなか、当社は、多数の特許や意匠登録を取得し屋根工事と同時に天井工事が可能な天井化粧材「PASTEM-2(パステム2)」の開発、販売を開始し高機能・高品質屋根の普及に取り組むことで拡販と利益確保にも努めてまいりましたが、コロナ禍により建設投資が冷え込んだ時期の影響で大規模工事案件の受注も減少していたことから減収・減益となりました。
この結果、当事業年度の売上高は11,224百万円(前年同期比8.7%減)となり、その内訳は製品売上高が6,244百万円(前年同期比5.7%減)、完成工事高が4,979百万円(前年同期比12.1%減)となりました。
損益面におきましては、営業利益は304百万円(前年同期比9.1%減)、経常利益は302百万円(前年同期比10.4%減)、当期純利益は169百万円(前年同期比30.0%減)となりました。
財政状態につきましては、総資産は、前事業年度末に比べ170百万円増加し、9,237百万円となりました。その主な要因としては、現金及び預金378百万円、原材料108百万円がそれぞれ増加した一方、未成工事支出金241百万円減少したことなどによるものです。
負債合計は前事業年度末に比べ14百万円減少し、4,559百万円となりました。その主な要因としては、仕入債務が237百万円、設備関連支払手形が62百万円それぞれ増加した一方、工事進捗売上に対する前受金の充当などで契約負債が174百万円減少したことなどによるものです。
純資産合計は、前事業年度末に比べ184百万円増加し4,677百万円となり、自己資本比率は50.6%になりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ378百万円増加し818百万円となりました。その資金の増減内容については、主に以下の要因によるものであります。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税引前当期純利益298百万円、棚卸資産の減少119百万円、仕入債務の増加237百万円などが資金にプラスとなる一方、その他に含まれる契約負債(前事業年度は未成工事受入金)の減少174百万円や法人税等の支払78百万円などが資金のマイナスとなった結果、営業活動によるキャッシュ・フローは647百万円(前事業年度末は119百万円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産取得による支出54百万円などにより△48百万円(前事業年度末は△288百万円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長短借入金の純減少により169百万円、配当金の支払いが49百万円あり、財務活動によるキャッシュ・フローは△220百万円(前事業年度末は△55百万円)となりました。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.製品の生産実績には、請負工事に使用された当社製品の生産実績を含んでおります。
3.請負工事の( )内は内数で、請負工事に使用された当社製品の使用高を販売価格で表示しており、一部仕入製品を含んでおります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
2.上記は屋根・壁等の施工時に使用される当社付属製品(バックアップ材、野地材、軒先唐草等)の一部であります。
3.製品仕入実績には、請負工事に使用された製品を一部含んでおります。
(注) 金額は販売価格によっております。
最近2事業年度の完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第一部 第5 経理の状況」に記載しております。また、この財務諸表の作成にあたり、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があります。これらの見積りについては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものについては、「第一部 第5 経理の状況(追加情報)」に記載しております。
当事業年度の金属屋根製品の販売は前事業年度の6,628百万円に対して5.7%減の6,244百万円となり、金属屋根工事等の工事契約による売上高は前事業年度の5,665百万円に対して12.1%減の4,979百万円となりました。
コロナウイルス感染症の拡大により、公的機関・地方公共団体等の予算配分が建設からコロナ対策へシフトしたことや、営業自粛などによる民間企業業績の減速から建物への投資が縮小するなどの影響を受けたためであります。コロナワクチン接種率の上昇などで感染症の重症者数が低位に落ち着いてきたこともあり、経済活動の回復から、翌事業年度は屋根製品の受注残高も増加傾向で販売額・工事契約ともに回復していくものと想定しております。
当事業年度の製品売上に対する原価は売上高の減少により、前事業年度の4,265百万円に対して8.9%減の3,882百万円となりましたが、製品原価率は前事業年度64.3%に対し62.1%と改善しました。この要因は主に新基幹システムへの熟練などによる残業の減少などで労務費が減少したことや、減価償却費の減少によるものです。工事原価は,工事案件の減少により、前事業年度4,449百万円に対して13.7%減の3,837百万円となりましたが、工事原価率は労務費や材料費が上昇傾向のなか、各工事物件からの粗利の確保により78.5%から77.0%となりました。
「収益認識に関する会計基準」等を適用し運送費収入を運送費控除から製品売上に含めたことも要因となり、運送費が278百万円増加したものの、前事業年度に実施したテレビCMの未実施や、都市部でのテレワークの恒常的実施で支店等の移転により賃料の圧縮に努めた結果、前事業年度3,243百万円から1.3%減の3,199百万円となりました。
前事業年度に比べて、大型工事物件の減少や「収益認識に関する会計基準」等を適用したことによる進捗の工事原価への振替に伴い未成工事支出金が241百万円減少しましたが、進捗の工事売上により計上された契約資産466百万円や、大型物件の工事経費支払のため現金及び預金が378百万円増加したことで流動資産は260百万円の増加となりました。一方、固定資産は減価償却等で89百万円減少したために、資産合計は170百万円増加の9,237百万円となりました。
前事業年度と比べて、流動負債は、年度末の材料・製品仕入や工事外注費の増加により電子記録債務の増加177百万円、工事未払金の増加26百万円など仕入債務が増加しました。一方、進捗工事売上計上により発生した債権に前受金を充当したことによる契約負債(前事業年度は未成工事受入金)の減少174百万円や借入金の返済により短期借入金等が134百万円減少するなど、流動負債は12百万円の減少となりました。
固定負債は長期借入金を1年内返済予定の長期借入金へ振替をしたことによる減少35百万円などの要因で2百万円の減少となり、負債合計は14百万円減少の4,559百万円となりました。
前事業年度に比べて、当期純利益169百万円の確保などで利益剰余金が171百万円、投資有価証券の時価上昇によるその他有価証券評価差額金が14百万円増加したことにより純資産合計は184百万円増加し、4,677百万円となりました。
当社の資金需要のうち主なものは、材料・製品の仕入、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、工場生産設備等の有形固定資産の取得であります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
2.有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
3.2019年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
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