(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大からの正常化を模索する中、世界的な需要回復による半導体や電子部品を中心とした部品調達の逼迫に加え、エネルギー価格や原材料価格の高騰、一部の国や地域での感染再拡大による経済活動の制限、地政学的リスクの高まり等、不透明感の増す状況が続いております。また国内経済においてもワクチン接種普及により、経済の持ち直しが期待されるものの、感染再拡大のリスクの高まりや景況感の足踏み等、引き続き予断を許さない状況となっております。
国内の住宅関連業界は、新設住宅着工戸数において弱含みの動きが見られ、住宅設備機器業界においても持ち直しに停滞の動きが出てきております。
このような状況の中、当社グループは当連結会計年度を初年度とする新たな中期経営計画「New ERA 2025」を策定いたしました。3つの戦略ストーリーである「社会課題解決への貢献」、「事業規模の拡大」、「企業体質の変革」のもと、生活の質向上に貢献するオート調理機能付きコンロ「Lisse(リッセ)」のモデルチェンジや無水調理鍋「Leggiero(レジェロ)」の発売、脱炭素社会に向けた長期企業方針を定めた「RIM 2050」の発表等、お客様との約束である「Creating a healthier way of living(健全で心地よい暮らし方を創造)」の実現と持続的で堅実な長期成長に向けた取り組みを着実に進めております。
当連結会計年度の業績は、販売面につきましては、部品調達の逼迫により工場生産に支障が出たことによる国内外への供給遅延で国内販売が減少したものの、中国やアメリカを筆頭に海外各地で主力商品が伸長したことで増収となりました。損益面につきましては、国内販売が減少したことに加え、原材料価格やアメリカ向け海上運賃を始めとする物流費の高騰が影響し当社グループの営業利益は減益となりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,661億85百万円(前期比6.3%増)、営業利益358億64百万円(前期比11.9%減)、経常利益390億60百万円(前期比7.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は237億48百万円(前期比13.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
日本は、売上高1,715億33百万円(前期比6.3%減)、営業利益174億39百万円(前期比28.9%減)となりました。
アメリカは、売上高447億52百万円(前期比21.0%増)、営業利益21億8百万円(前期比3.2%減)となりました。
オーストラリアは、売上高257億64百万円(前期比6.0%増)、営業利益は16億20百万円(前期比77.7%増)となりました。
中国は、売上高527億78百万円(前期比28.2%増)、営業利益は67億52百万円(前期比1.3%増)となりました。
韓国は、売上高321億24百万円(前期比13.3%増)、営業利益は10億41百万円(前期比636.7%増)となりました。
インドネシアは、売上高135億87百万円(前期比20.8%増)、営業利益は28億26百万円(前期比16.6%増)となりました。
(注)売上高についてはセグメント間の取引を相殺消去した数値によっております。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて185億51百万円減少し、1,479億72百万円(前期比11.1%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に営業利益の確保による資金の増加、法人税等の支払による資金の減少等の結果、営業活動によって得られた資金は286億96百万円(前期比42.0%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出等により、投資活動の結果支出した資金は254億86百万円(前期比61.1%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に自己株式の取得による支出や配当金の支払い等により、財務活動の結果支出した資金は271億9百万円(前期比272.9%増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本 (百万円) |
194,983 |
95.75 |
アメリカ (百万円) |
6,026 |
108.86 |
オーストラリア (百万円) |
8,692 |
113.67 |
中国 (百万円) |
53,833 |
153.02 |
韓国 (百万円) |
29,722 |
114.48 |
インドネシア (百万円) |
12,976 |
119.36 |
報告セグメント計 (百万円) |
306,235 |
106.02 |
その他 (百万円) |
15,106 |
121.14 |
計 (百万円) |
321,341 |
106.65 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本 (百万円) |
21,876 |
104.74 |
アメリカ (百万円) |
1,822 |
130.12 |
オーストラリア (百万円) |
7,170 |
98.12 |
中国 (百万円) |
1,932 |
129.23 |
韓国 (百万円) |
1,717 |
125.37 |
インドネシア (百万円) |
1,311 |
148.23 |
報告セグメント計 (百万円) |
35,830 |
107.46 |
その他 (百万円) |
3,942 |
132.13 |
計 (百万円) |
39,772 |
109.48 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
c.受注実績
当社グループは受注見込による生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
日本 (百万円) |
171,533 |
93.7 |
アメリカ (百万円) |
44,752 |
121.0 |
オーストラリア (百万円) |
25,764 |
106.0 |
中国 (百万円) |
52,778 |
128.2 |
韓国 (百万円) |
32,124 |
113.3 |
インドネシア (百万円) |
13,587 |
120.8 |
報告セグメント計 (百万円) |
340,540 |
104.7 |
その他 (百万円) |
25,644 |
133.7 |
計 (百万円) |
366,185 |
106.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは当連結会計年度を初年度とする中期経営計画「New ERA 2025」を推進しております。計画遂行の達成状況を判断するための客観的な指標として、中期経営計画の最終年度である2025年度における連結ROIC19.0%の達成を重要な数値目標としております。
当連結会計年度においては、部品調達の逼迫により工場生産に支障が出たことによる国内外への供給遅延で国内販売が減少したことに加え、原材料価格や物流費の高騰が続いた結果、連結ROICは14.1%(前期比3.5ポイント減)となりました。中期経営計画に掲げた戦略の実現に向け、今後もグループ全体の連携を図り収益性と資本効率を高めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、ワクチン接種の普及による正常化が期待されましたが、世界的な感染再拡大による経済活動への影響が継続しており、その収束時期等を予測することは現時点で困難であります。中国でのロックダウン及び半導体や電子部品を中心とした部品調達の逼迫などの不確実性を含む状況下ではありますが、当社グループの商品は生活必需品としての性格が強く、買替比率の高い商品構成であるため、長期的な企業活動への影響は限定的と考えております。
a.財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ155億75百万円増加し5,128億67百万円(前連結会計年度末は4,972億91百万円)となりました。
流動資産は、3,339億56百万円(前連結会計年度末は3,321億53百万円)となりました。これは主に、棚卸資産が215億36百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、1,789億10百万円(前連結会計年度末は1,651億38百万円)となりました。これは主に、有形固定資産が139億26百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて80億37百万円増加し1,340億10百万円(前連結会計年度末は1,259億73百万円)となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上の一方で、自己株式の取得及び消却をしたことなどにより、前連結会計年度末に比べて75億37百万円増加の3,788億56百万円(前連結会計年度末は3,713億18百万円)となり、自己資本比率は66.9%となりました。
b.経営成績
(売上高)
売上高は、部品調達の逼迫により工場生産に支障が出たことによる国内外への供給遅延で国内販売が減少したものの、中国やアメリカを筆頭に海外各地で主力商品が伸長したことにより、前連結会計年度に比べ6.3%増の3,661億85百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、原材料価格の高騰などにより、前連結会計年度に比べ9.0%増の2,496億28百万円となりました。販売費及び一般管理費は、アメリカ向け海上運賃を始めとする物流費の高騰が影響したことなどによって、前連結会計年度に比べ8.1%増の806億92百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益率が低下したことに加え、前期は投資有価証券売却益の計上があったことなどにより、前連結会計年度に比べ13.9%減の237億48百万円となりました。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
〈日本〉
期初は主力の給湯器やビルトインコンロ、成長品目のガス衣類乾燥機等の販売が好調に推移したものの、10月以降に一部部品調達の逼迫による生産への影響が顕在化したことで、販売が大きく減少しました。加えて原材料価格や物流費の高騰が続き、日本の売上高は1,715億33百万円(前期比6.3%減)、営業利益は174億39百万円(前期比28.9%減)となりました。
セグメント資産は、主に自己株式の取得による支出や配当金の支払いにより現金及び預金が減少したことなどによって、前連結会計年度末に比べ209億96百万円減少し、3,436億63百万円となりました。
〈アメリカ〉
国際物流の混乱や部品調達の逼迫により日本からの供給に影響が生じるも、タンクレス給湯器の需要が一段と加速していることに加え、住宅市場も堅調に推移したことで販売が拡大し、アメリカの売上高は447億52百万円(前期比21.0%増)となりました。一方で仕入れコストの上昇や新工場稼働に向けた人件費の増加により、営業利益は21億8百万円(前期比3.2%減)となりました。
セグメント資産は、新工場の建設により有形固定資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ78億94百万円増加し、338億43百万円となりました。
〈オーストラリア〉
部品調達の逼迫により日本からの給湯器の供給に影響が出たものの、感染拡大に伴う在宅時間の増加に伴い暖房機器販売が堅調に推移しました。また原材料価格や物流費が高騰する中、生産性の改善も進み、オーストラリアの売上高は257億64百万円(前期比6.0%増)、営業利益は16億20百万円(前期比77.7%増)となりました。
セグメント資産は、棚卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ27億3百万円増加し、276億54百万円となりました。
〈中国〉
好調が続くインターネット販売に加え、前期は活動制限により落ち込みを見せた実店舗販売も回復し、主力の給湯器やボイラー販売が伸長しました。原材料価格が高騰する中、原価低減や高付加価値商品の販売拡大を通じ、中国の売上高は527億78百万円(前期比28.2%増)、営業利益は67億52百万円(前期比1.3%増)となりました。
セグメント資産は、営業活動によるキャッシュ・フローの獲得により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ202億42百万円増加し、720億29百万円となりました。
〈韓国〉
環境規制強化に伴い高効率ボイラーの販売が伸長しました。原価低減活動等による収益改善も進み、韓国の売上高は321億24百万円(前期比13.3%増)、営業利益は10億41百万円(前期比636.7%増)となりました。
セグメント資産は、営業活動によるキャッシュ・フローの獲得により現金及び預金が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ23億45百万円増加し、202億40百万円となりました。
〈インドネシア〉
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会活動制限で主力のテーブルコンロ販売が弱含んだものの、高価格帯のビルトインコンロやレンジフードの販売は自宅での調理ニーズの高まりや商品ラインアップ拡充に加え、物件受注もあったことで好調が続き、インドネシアの売上高は135億87百万円(前期比20.8%増)、営業利益は28億26百万円(前期比16.6%増)となりました。
セグメント資産は、棚卸資産が増加したことなどによって、前連結会計年度末に比べ7億60百万円増加し、145億19百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、主に営業利益の確保により、営業活動によって286億96百万円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)を獲得した一方で、投資活動においては、営業拠点、工場など成長分野への積極的な設備投資を推進したことなどによって254億86百万円、また、財務活動においては、継続的な増配と自己株式の取得による株主還元を実施したことなどによって271億9百万円の資金をそれぞれ支出しました。これらの結果、当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度に比べて185億51百万円減少し、1,479億72百万円となりました。また、今後の資本政策については基本方針に基づき、生活必需品としての要素が高い当社グループ商品の安定供給を図るべく、災害時における早期復旧費用などのリスク対応資金を確保し、健全な財務基盤を構築するとともに、持続的成長に向けた研究開発や設備投資、無形資産への戦略的投資と、安定配当と機動的な自己株式の取得を通じた総還元性向の向上による株主還元の充実に努めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要のうち主なものは、原材料や部品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金、設備投資及び長期運転資金について、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は20億60百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値ならびに当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う当連結会計年度の会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に製品保証引当金及び繰延税金資産に関する見積り及び判断が連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。
a.製品保証引当金
当社及び一部の連結子会社は、製品の無償修理費用の支出に備えるため、製品保証引当金として製品に関する保証費発生見積額を計上しております。当該会社の保証費発生見積額は、過去の発生実績率に基づいて計算した額を計上しておりますが、実際の発生実績率又は製品保証費用が見積りと異なる場合、引当金の追加計上が必要になる可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき繰延税金資産を計上しております。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積りを減額された場合等には繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
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