文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「品質こそ我らが命」を原点思想とし、「熱と暮らし」「健康と暮らし」をテーマとした商品・サービスの提供に努め、健全で心地よい暮らしの実現を目指します。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2025年度を最終年度とする中期経営計画「New ERA 2025」において、以下を計画達成目標としております。
<2025年度 達成数値目標>
1.連結売上高 4,500億円
2.連結営業利益 500億円
3.連結営業利益率 11.1%
4.投下資本利益率(ROIC) 19.0%
5.総還元性向(5年平均) 40.0%
6.生活の質向上商品・地球環境貢献商品の売上高 50%UP(2020年度比)
※生活の質向上商品=各国の生活水準に合わせて特に生活の質向上に貢献する商品
(生活の質向上項目)
1.利便性向上によるストレス低減 2.住空間の安全性向上
3.衛生改善・健康増進 4.レジリエンス
※地球環境貢献商品=温室効果ガスや大気汚染物質の排出量低減に貢献する商品
(3) 経営環境及び経営戦略等
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症からの正常化を模索するものと思われますが、感染再拡大に伴う活動制限や地政学的リスクの高まりといった不確実性が高まる状況下で、エネルギーや原材料価格の更なる高騰、インフレーションの進展、サプライチェーンの混乱などが予想され、先行き不透明な状況が続くと思われます。また人工知能やIoTなどの情報技術の進化により生活様式や働き方の変容を通じ、人々の価値基準も大きく変化していくと考えられます。さらに地球温暖化に対する国際的な意識が高まる中、世界各国が脱炭素社会に向けた取り組みを強化しており、化石燃料を取り扱う企業は脱炭素社会を念頭に置いた長期的な事業内容の転換が求められてきております。
このような状況のもと、当社グループは2021年度を初年度とする中期経営計画「New ERA 2025」を推進しております。生活の質向上や地球環境に貢献する商品の普及を目指す「社会課題解決への貢献」、成長市場や未参入地域での販売拡大による地域面での拡大と新規事業創出による事業面での拡大を図る「事業規模の拡大」、人材育成やソフトウェア開発といった重点分野への投資や消費者志向の発想、収益力の強化を通じた「企業体質の変革」という3つの戦略ストーリーの実現に向けた取り組みをさらに強化してまいります。そして「熱と暮らし」「健康と暮らし」分野における世界の社会課題解決にあらゆるエネルギー源と当社コア技術を活用して貢献することで、お客様との約束である「Creating a healthier way of living(健全で心地よい暮らし方を創造)」の体現と、持続的で堅実な長期成長を遂げてまいります。
<3つの戦略ストーリー>
1.社会課題解決への貢献…「生活の質の向上」、「地球環境問題への対応」
2.事業規模の拡大…「地域領域の拡大」、「事業領域の拡大」
3.企業体質の変革…「消費者志向への変革」、「無形資産への重点投資」、「収益力の強化」
当社は、生産・販売体制を基礎とした6つの地域別セグメントを報告セグメントとしております。それぞれの事業戦略は以下になります。
〈日本〉
日本国内は少子高齢化や人口減少が続いており、今後は世帯数の減少も予測されます。また脱炭素社会に向けた取り組みやデジタル化の動きも加速していくことも予測され、ガスコンロやガス給湯機器などの既存事業だけでは今後の成長は厳しくなることが予想されます。当社グループは、「健康と暮らし」をキーワードに、ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機、マイクロバブルバスユニットなどの独自商品による市場拡大と将来の成長基盤となる商品・サービスに向けた研究開発を推進するとともに、ハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」を中心とした環境・省エネ性に優れた給湯機器の普及を加速させることで低炭素社会、脱炭素社会実現に貢献してまいります。また足元のサプライチェーンの混乱による供給遅延を早期に解消し、生活必需品としての側面を持つ当社商品の安定生産・安定供給を果たすべく強靭なサプライチェーン構築に努めてまいります。
〈アメリカ〉
給湯器の販売台数が年間1,000万台にのぼるアメリカ市場では、その約90%以上がタンクに湯を貯めて使用する貯湯式給湯器となっております。当社グループの主力商品である瞬時にお湯を作るタンクレスガス給湯器は、湯切れの心配もなく省エネ性能も高いため、貯湯式給湯器に比べ、利便性と環境性に優れた商品として現地での評価が高まり、市場の拡大に加速感が出てきております。タンクレスガス給湯器の販売拡大を図るため、2022年度より稼働の新工場で本格的な現地生産を稼働させ、さらなる需要拡大に対応していきます。また給湯器市場以外にも当社グループの強みである流体制御技術や熱利用技術を生かしたコンビネーションボイラーの販売拡大を進め、アメリカ市場でのさらなる成長を図ります。
〈オーストラリア〉
天然資源が豊富なオーストラリアは、一次エネルギー消費の多くを石炭や天然ガスなどの化石燃料に依存していますが、近年、脱炭素社会に向けた取り組みとして、化石燃料から再生可能エネルギーへの利用拡大の動きが見られます。当社グループは瞬間式ガス給湯器の販売に加え、オーストラリア現地での電気貯湯式給湯器の生産、また家庭用ルームエアコンやダクト式冷暖房システム、業務用空調機器の販売を行うなど、多様なエネルギーの利用環境に対応した給湯機器や空調機器を展開しています。当社グループは従来機器の省エネ性能を高めるとともに、電気式ヒートポンプ給湯器などの再生可能エネルギーを利用した機器の拡充を図り、現地社会に最適なエネルギー機器の提供に努めます。
〈中国〉
社会インフラの拡大と所得水準の向上により、中国におけるガス機器市場は拡大が続き、多くのガス機器メーカーが参入する競合市場となっております。当社グループはこれまで培ってきた制御技術により細やかな温度制御を実現した給湯器やセンサー機能を搭載したガスコンロなど、独自の価値提供を通し現地競合メーカーとの差別化を図ってまいります。そして成長著しいインターネット販売のさらなる伸長やマーケティングの強化を通じ、市場での優位性を高めていくとともに、給湯機器に次ぐ新たなコア事業創出を図ることで中国市場での事業拡大に努めてまいります。
〈韓国〉
韓国経済は輸出依存度の高い中国経済の成長鈍化や少子高齢化の進行に伴い、韓国国内の景気は停滞が続いています。住宅関連事業の内需も厳しい状況にあり、コンロ市場においては、電気コンロの伸長により競合他社との価格競争は激化しています。当社グループは、コストダウンや生産性の向上、不採算商品の整理などの経営改善を着実に進めていくとともに、現地市場のニーズに対応した機器の開発や、内需影響を受けにくい輸出品目の拡充を推進してまいります。
〈インドネシア〉
インドネシアでは2006年から政府主導によるLPガス普及の国家プロジェクトが進められ、多くの家庭にガスコンロが普及しております。当社グループは日本で培った高品質のガスコンロの販売を続け、現地ガスコンロ市場での高いシェア及びブランドを獲得しております。インドネシアの人口構成は若年層の割合が高く、経済発展による所得水準の向上により市場の拡大が期待される住宅設備市場において、キッチン一体型のビルトインコンロやレンジフードなど高価格帯商品の拡充を進め、現地生活文化の向上に貢献してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、対処すべき事業上の課題として、「生活の質の向上」、「地球環境問題への対応」を掲げ、それぞれの課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。
‹生活の質の向上›
当社グループは給湯機器や厨房機器、また空調機器など、人々の生活に密着した商品を展開しており、商品のさらなる価値提供により、健康、上質、心地よさなど、お客様の「楽しみ」や「ワクワク」の体現を図り、「生活の質」の向上に貢献してまいります。
‹地球環境問題への対応›
当社グループの省エネ給湯機器を通して、CO²排出量削減や大気汚染改善などを図り、「地球規模での環境課題の解決」に本業を通じて貢献してまいります。脱炭素社会実現に向けた長期企業方針「RIM 2050」のもと、当面の低炭素社会においては省エネ給湯機器の販売拡大を推進するとともに、多様なエネルギーに対応する技術の深化を図り、脱炭素社会の実現に対応してまいります。
また当社グループは、健全でリスクに強い財務基盤を構築しつつ、未来への成長投資と株主への安定還元を図ることを資本政策の基本方針としております。健全で心地よい暮らしの実現と、持続的成長に向けた戦略的投資を行うとともに、安定配当と機動的な自己株式の取得による株主還元を通し、企業価値の向上に努めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、ワクチン接種の普及による正常化が期待されましたが、世界的な感染再拡大による経済活動への影響が継続しており、その収束時期等を予測することは現時点で困難であります。中国でのロックダウン及び半導体や電子部品を中心とした部品調達の逼迫などの不確実性を含む状況下ではありますが、当社グループの商品は生活必需品としての性格が強く、買替比率の高い商品構成であるため、長期的な企業活動への影響は限定的と考えております。
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