業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種や財政支援策等により、グローバルに景気回復が進みました。一方で、ウクライナ侵攻の経済への影響や、インフレに対処する米国金融緩和の縮小など、先行き不透明な状況が続いています。

 自動車業界は、世界的な需要の回復により生産販売活動も持ち直していましたが、半導体等の部品供給不足によりサプライチェーン・リスクが顕在化し、主要得意先において一時生産停止や生産調整が発生しました。

 このような環境の中、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末より44,584百万円増加し、282,540百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末より25,712百万円増加し、118,615百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末より18,872百万円増加し、163,924百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は236,503百万円(前期比12.9%増)、営業利益は10,931百万円(前期比35.8%増)、経常利益は12,532百万円(前期比44.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,878百万円(前期比35.9%増)となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、増減理由については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b. 経営成績の分析」のセグメントの業績をご参照ください。

1)日本

 売上高は、45,880百万円(前期比7.7%減)となり、営業損益は、936百万円の営業損失(前期は500百万円の損失)となりました。

2)北米

 売上高は、65,477百万円(前期比6.5%減)となり、営業損益は、2,250百万円の営業損失(前期は75百万円の損失)となりました。

3)欧州

 売上高は、21,778百万円(前期比23.2%増)となり、営業利益は、4,277百万円(前期比54.7%増)となりました。

4)アジア

 売上高は、31,827百万円(前期比34.9%増)となり、営業利益は、2,175百万円(前期は499百万円の損失)となりました。

5)中国

 売上高は、70,439百万円(前期比25.4%増)となり、営業利益は、5,926百万円(前期比6.5%減)となりました。

6)南米

 売上高は、10,892百万円(前期比111.9%増)となり、営業利益は、2,058百万円(前期は244百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、35,968百万円となり、前連結会計年度に比べ9,997百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは14,064百万円の資金増加、投資活動によるキャッシュ・フローは18,860百万円の資金減少、財務活動によるキャッシュ・フローは、12,546百万円の資金増加となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

日本

44,059

1.5

北米

64,293

△3.6

欧州

11,659

3.3

アジア

27,881

17.8

中国

63,732

31.9

南米

8,483

81.1

合計

220,109

11.1

(注)金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

日本

41,135

△12.3

14,268

18.8

北米

68,072

△29.5

23,139

15.1

欧州

22,178

△4.9

5,109

13.5

アジア

34,485

△9.5

8,778

43.9

中国

68,913

59.1

14,618

4.2

南米

12,022

22.2

2,934

62.7

合計

246,806

△4.3

68,848

17.6

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

日本

38,873

△ 1.2

北米

65,034

△ 6.5

欧州

21,569

23.4

アジア

31,807

37.1

中国

68,326

24.9

南米

10,891

113.0

合計

236,503

12.9

(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Honda Development & Manufacturing

of America, LLC

22,770

10.9

31,700

13.4

本田技研工業㈱

26,559

12.7

21,375

9.0

(注)1.前連結会計年度及び当連結会計年度双方について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

2.Honda Development & Manufacturing of America, LLCは、2021年4月1日付でHonda of America Mfg., Inc.及び他米国法人8社を統合し、設立された会社であります。前連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、Honda of America Mfg., Inc.のものであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 

a.繰延税金資産

 繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。マネジメントは、将来の利益計画に基づく課税所得の見積りは合理的に行われたものと考えておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

b.固定資産の減損

 固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しております。将来キャッシュ・フローは、計画策定時における合理的な情報等を基礎として策定された事業計画に基づいております。この事業計画は、各種経済予測、顧客の生産計画、グループ会社間での技術使用料などに関する経営者の判断に基づく過程により影響を受け、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足の影響によるサプライチェーンリスクが潜在する市場環境等、事業計画の前提とした条件や仮定には不確実性が含まれています。

 マネジメントは、前提や検討は妥当なものと考えておりますが、市場環境等の変化により、事業計画の変更が生じた場合、将来キャッシュ・フローが減少することによって、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.退職給付に係る負債及び退職給付費用

 退職給付に係る負債及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付に係る負債の割引率、年金資産の期待運用収益率等の仮定に基づいて算出しております。割引率は、確定給付制度債務と概ね同じ支払期日を有する優良社債の報告期間の期末日時点における市場利回りに基づいて決定し、年金資産の期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等に基づいて決定しております。マネジメントは割引率、年金資産の期待運用収益率に使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、割引率及び期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ44,584百万円増加し、282,540百万円となりました。流動資産は、生産販売活動の持ち直しにより、主に現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加し、前連結会計年度と比べて45,885百万円増加の136,450百万円となりました。固定資産は、主に収益認識会計基準の適用により工具、器具及び備品が減少し、前連結会計年度と比べて1,300百万円減少の146,090百万円となりました。

(負債合計)

 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末より25,712百万円増加し、118,615百万円となりました。流動負債は、前受金が減少した一方、買掛金、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金が増加し、前連結会計年度末と比べて18,903百万円増加の81,165百万円となりました。固定負債は、退職給付に係る負債、その他が減少した一方、長期借入金、繰延税金負債が増加し、前連結会計年度末と比べて6,808百万円増加の37,450百万円となりました。

(純資産合計)

 主に、為替換算調整勘定、利益剰余金、その他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末と比べて18,872百万円増加し、163,924百万円となりました。

 

b.経営成績の分析

 当連結会計年度の業績は、本田技研工業株式会社グループの受注生産台数は減少した一方、他社販売の新規受注が寄与したことに加え、材料単価の変更及び為替影響等により、売上高は236,503百万円(前期比12.9%増)となりました。利益につきましては、急激な生産変動に対応しつつ、原価低減に努めるとともに、経費抑制を継続し、営業利益は10,931百万円(前期比35.8%増)となりました。経常利益は、金利収支の改善や為替差益等により、12,532百万円(前期比44.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税負担の平常化により、8,878百万円(前期比35.9%増)となりました。

 

受注生産台数(千台)

 当連結会計年度の本田技研工業株式会社グループから受注した生産台数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

合計

4,240

3,810

△430

△10.1

日本

687

632

△55

△8.0

北米

1,268

1,120

△148

△11.7

欧州

70

30

△40

△56.8

アジア

266

323

57

21.6

中国

1,877

1,622

△256

△13.6

南米

72

83

11

15.0

(注)上記数値は千台未満を四捨五入して表示しています。増減率は一台単位まで計算しています。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

1)日本

 売上高は、半導体や部品不足の影響で得意先が減産となり、量産売上の減少に加え、非量産売上が減少し、45,880百万円(前期比7.7%減)となりました。営業損益は、減収の影響が大きく、936百万円の営業損失(前期は500百万円の損失)となりました。

2)北米

 売上高は、半導体等の部品供給不足により得意先が減産となり、量産売上の減少に加え、型設備売上の減少等により、65,477百万円(前期比6.5%減)となりました。営業損益は、減収に加え、米国労働市場の逼迫や物価上昇を受けた製造コストの増加等により、2,250百万円の営業損失(前期は75百万円の損失)となりました。

3)欧州

 売上高は、トヨタ自動車株式会社グループやBMWグループ向けの生産が堅調さを維持し、量産売上が増加したことに加え、型設備売上の増加及び為替影響等により、21,778百万円(前期比23.2%増)となりました。営業利益は、増収効果に加え、スロバキア拠点の本格稼働により、4,277百万円(前期比54.7%増)となりました。

4)アジア

 売上高は、ロックダウンが緩和され得意先の生産が回復し、量産売上が増加したことに加え、型設備売上が増加し、31,827百万円(前期比34.9%増)となりました。営業利益は、量産売上及び型設備売上の増加による増収効果等により、2,175百万円(前期は499百万円の損失)となりました。

5)中国

 売上高は、半導体等の部品供給不足の影響による得意先の減産により、生産台数が減少しましたが、他社販売の増加、為替影響及び材料単価の変更等により、70,439百万円(前期比25.4%増)となりました。営業利益は、前期の打切補償がなくなったことに加え、労務費が増加し、5,926百万円(前期比6.5%減)となりました。

6)南米

 売上高は、トヨタ自動車株式会社グループ向け新規車種の生産が好調で量産売上が増加し、10,892百万円(前期比111.9%増)となりました。営業利益は、量産売上の増加による増収効果等により、2,058百万円(前期は244百万円の損失)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ、9,997百万円増加し、35,968百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、14,064百万円の資金増加となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益12,570百万円、減価償却費15,173百万円です。主な減少要因は、売上債権の増加10,750百万円、棚卸資産の増加3,605百万円、前受金の減少3,110百万円です。

 前連結会計年度が25,120百万円の増加であったことに比べて、11,055百万円の減少となりました。主な要因は、減価償却費の減少、売上債権の増加、前受金の減少です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、18,860百万円の資金減少となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出17,419百万円、無形固定資産の取得による支出172百万円です。

 前連結会計年度が15,527百万円の資金減少であったことに比べて、3,333百万円の支出の増加となりました。主な要因は、定期預金の増加です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、12,546百万円の資金増加となりました。主な増加要因は、短期借入金の増加5,426百万円、長期借入金の純増額9,627百万円です。主な減少要因は、配当金の支払額2,299百万円です。

 前連結会計年度が17,343百万円の減少であったことに比べて、29,890百万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金の増加、長期借入れによる収入です。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

a.資本政策

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として、成長投資とリスクを許容できる株主資本の水準を維持すること、及び安定的・継続的な株主還元を実施することを基本方針としております。

 事業活動によって得られた資金は、まず、成長投資及び研究開発費に向けられます。敏速な投資実行と危機対応を可能にする自己資本の水準を維持するため、内部留保に充てられます。

 

b.資金調達の状況

 当社グループは、運転資金及び設備投資資金を、内部資金又は借入により資金調達することとしています。

運転資金需要は、新規車種開発に伴い得意先に売却予定の金型・専用設備等の制作費用、量産部品製造のための原材料、労務費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用などによるものです。

 また、設備投資需要は、量産部品生産用汎用設備の取得や生産能力増強、あるいは新規生産拠点設立にかかる出資及び設備投資などによるものです。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、設備投資に関しては、将来の資金創出能力を見積もり、当該能力の範囲内で設備投資を行うことを基本としております。

 短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としております。長期運転資金や設備投資資金は、金融機関からの長期借入を基本としています。2020年4月に株式会社格付投資情報センター(R&I)から信用格付「A-」を取得し、維持しております。今後、長短期の資金調達の多様化を図ってまいります。

 海外子会社については、自己資金及び子会社が取引通貨、通貨の安定性等を勘案して最も適切な通貨で金融機関からの資金調達を基本としております。調達通貨の金利・為替の状況、子会社の財務状態等を勘案して、当社からの資金貸出を行うこともあります。

 

主要な借入先の状況(百万円)

借入先

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減額

㈱三菱UFJ銀行

13,063

26,493

13,430

㈱三井住友銀行

10,535

12,673

2,138

㈱みずほ銀行

7,545

9,518

1,973

三井住友信託銀行㈱

4,014

4,260

246

日本生命保険相互会社

2,932

3,335

403

㈱埼玉りそな銀行

2,887

2,462

△425

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