以下に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念とそれらを実現するための経営ビジョン(当社の進むべき方向性)を策定し、これらの経営方針とビジョンの下、グローバル競争に打ち勝つ企業規模と展開力を実現し、安全・環境に即した先進技術の追求を通じ、車体部品とトランスミッション部品の専門メーカーとして世界TOPを目指し、企業価値・株主価値の向上に努めてまいります。
<経営理念>
社是
・人間性尊重
・技術革新
・堅実経営
行動指針
・愛情と相互信頼をモットーに自己啓発に努めよう
・先進技術を追求し良質廉価な製品を提供しよう
・自主性をもち英知と機敏さで社会に貢献しよう
<経営ビジョン>
先進技術と良質廉価技術の融合で低炭素社会に貢献し、世界中のお客様に満足される企業
(2)経営指標
当社グループは、健全な財務体質を維持しつつ、自己資本に対する収益性を高めること、そのために、売上・利益の持続的な拡大を図ることを目指しています。
健全な財務体質を維持向上するため、自己資本比率は50%以上を維持すること、同時に、資本効率の面では資本利益率(ROE)は8%以上を目指します。そのためには、安定した利益成長が求められます。当社は売上・利益の拡大を図るため、売上高成長率及び売上高営業利益率の向上を目指します。また、設備産業の特性から、売上拡大のための設備投資と資産は効率性を重視し、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)の向上を目指します。
(3)会社の対処すべき課題
自動車業界の大変革や気候変動問題等、外部環境はこの数年で大きく変化しています。当社は今後に向けた新たな道筋を示すべく、2021年5月に新経営戦略を掲げました。EV領域の取り組みの加速と気候変動問題に積極的に取り組み、さらなる成長を図るため、以下の活動を加速させてまいります。
① EV関連事業の確立
世界的なEV化の潮流を当社の事業拡大の機会と捉え、EVに用いられるバッテリーハウジングとモーターコアを主軸としたEV関連事業の確立に取り組んでまいります。
バッテリーハウジングについては、当社がこれまで培ってきた車体一台解析技術を駆使して、車体とバッテリーハウジングの一括開発による、無駄のない最適プラットフォームの提案に向けた取り組みを進めています。
モーターコアについては、試作金型を用いた量産技術の開発に着手するとともに、モーターコア技術開発及び得意先に対する品質・量産性の実証のためのラインを社内に構築する計画を推進しています。
② 人財の多様性向上
変化の激しい事業環境に対応するために、多様な知識と経験を持つ人材の育成・確保に取り組んでまいります。
従業員の一人一人の多様性向上の観点で社内人材の育成・登用に取り組むとともに、専門人材の確保が急務である新規事業領域等では、有能な社外人材の活用も強化しています。また、推進中である女性活躍促進の領域では、女性リーダーの創出に加え、国内工場の現場での女性採用を本格化するために、誰もが働きやすい工場づくりにも取り組んでいます。
これらの活動を支えるため、人事制度の見直し・拡充によって、より魅力的な職場を作り、従業員が安心して働き続けることができる体制を構築してまいります。
③ 既存事業の変革
社長直轄のDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトの下、主に品質保証領域と原価領域において、デジタル技術を活用した業務のあり方を含めた組織の変革に取り組んでまいります。
品質保証領域については、2021年に東京にジーテクト品質保証センター(GQC)を設立し、グローバルでグループの品質情報を可視化し、モニタリングすることで、予知予防機能を強化した体制を構築します。また、新たな事業領域にふさわしい品質保証体制の確立に、早急に取り組んでまいります。
原価領域については、原価企画の精度を高め、開発段階から収益性の高い製品設計を可能とするために、これまで以上に詳細かつリアルタイムに製造原価を把握することに取り組んでいます。
④ 気候変動問題への取り組み
2050年度にCO2排出量実質ゼロを目指す当社としては、製造と製品のライフサイクルに関連するCO2の排出量を削減していくことが重要だと考え、戦略を立案し取り組んでおります。
まず、当社の生産時(Scope 1+2)における温室効果ガス(GHG)排出量は、省エネ施策の実行と再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力への切り替えで削減を行ってまいります。再エネ由来電力への切り替えは、日本において、先行して2022年4月に東日本エリアの工場と自社所有事業所で完了しました。海外現地法人におきましては、地域特性を鑑みて順次切り替えを行っていきます。
次に、製品のライフサイクル(Scope 1~3)におけるGHG排出量は、購入した鋼板が大部分を占めているため、製品を環境負荷の少ない方法で製造された鋼板への切り替えの検討や、リサイクル性に優れたアルミ製品の開発と生産技術を確立することで、GHG排出量削減に繋げていきます。
気候変動に関する情報開示
当社は、環境マネジメントをマテリアリティ(重要課題)の一つとして掲げ、従来より環境経営に取り組んでまいりましたが、今後はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿って、投資家をはじめとする幅広いステークホルダーへ、より積極的に情報開示を進めてまいります。気候変動に伴う事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動を推進してまいります。なお、今後もシナリオ分析や各リスクと機会の財務への影響等を検証するなど開示内容を充実してまいります。
ガバナンス
気候変動に係る重要事項に対して、代表取締役社長をトップとしたGX(グリーントランスフォーメーション)プロジェクトを立ち上げ推進してまいりました。また、GXプロジェクト内で、代表取締役社長は、リスクマネジメントオフィサーを兼任する執行役員(生産本部長)をグローバル環境統括責任者に任命しました。TCFDを含む気候変動に関する取り組みは、プロジェクトの事務局で管理・推進し、執行役員より重要事項や予実報告等の経営会議への上程を行っております。
また、GXプロジェクトの事務局である経営企画部門で環境対応を重点取り組み項目として置きました。
戦略
当社の事業活動における環境戦略は、①省エネの取り組み、②再エネの活用(自家発電を含む)です。今後はグローバルで拠点ごとに戦略の優先順位を付け、積極的に取り組んでまいります。
自社製品を通じた環境対応としては、①車体軽量化技術による自動車の燃費・電費性能向上への貢献、②EV関連部品事業への取り組みによるEV普及への貢献が挙げられます。
なお、関係の深い自動車業界の状況、社会の状況と拠点のある地域の特性などを鑑みてリスクと機会を次の表のとおり抽出しております。
リスク
リスク種類 |
概要 |
対応必要性 |
財務影響度 |
|
移行リスク |
政策・法規制 |
GHG排出量に関する規制の強化対応への追加投資 |
大 |
中 |
技術 |
EVシフトに伴う技術対応の遅れ |
大 |
大 |
|
物理リスク |
急性 |
洪水やハリケーン等の自然災害によるサプライチェーンの途絶 |
中 |
中 |
機会
種類 |
概要 |
リソースの効率性 |
DXに伴うエネルギー使用の効率化 |
製品及びサービス |
EV関連製品技術の開発、販売による収益拡大 |
リスク管理
当社は、気候変動によって当社の事業が受ける影響を把握し評価するため、GXプロジェクト、関連部署及び中央環境推進委員会が連携して気候変動リスク・機会に関するディスカッションを行いました。プロジェクト事務局は、ディスカッションを通して、列挙されたリスクと機会から財務影響度と発生可能性や時間軸を評価し、重要となるリスクと機会の特定と財務影響の算出を試みています。
事業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の外部要因の共有や、各社の環境施策の進捗状況や今後のリスク・機会等の内部要因を踏まえて、戦略・施策等の検討を実施してまいります。
指標と目標
気候変動のリスクと機会を管理する指標として、グローバルでのScope 1~3のCO2の排出量削減目標を定めております。ジーテクトグローバルで排出されるScope 1+2のCO2排出におきましては、2013年度比で2030年度には50%削減、2040年度には100%削減を掲げております。また、2050年度にはサプライチェーンでの協力を得ながら、Scope 1~3で排出量実質ゼロを目指しております。
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