研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、環境負荷低減と脱炭素社会の実現、安全性の高い自動車づくりを実現するため、軽量・高強度な車体部品の開発・製造に関わる研究開発活動を推進しております。

 このなかで、環境規制、安全、車両電動化に関する先行技術や新製品の研究開発は、ジーテクト東京ラボにおいて当社の開発本部がその役割を担っています。当連結会計年度の開発本部の研究開発費の総額は1,173百万円であり、主な研究開発のテーマは、次のとおりであります。

 

<先進技術開発>

 環境対応要求とEV化の加速を受けて、従来の車体骨格部品向けの新素材の加工、接合技術の早期量産化に取り組んでおります。また、EV化によりさらに厳しくなる強度要件、軽量化要求に対応していくための要素技術開発にも着手しております。具体的には、以下のテーマに取り組んでおります。

 

・低歪の高速連続接合

・異種材料接合技術

・接着接合

・テーラードプロパティ

・重量増となるEVに対応する高強度軽量素材の成形技術開発(鉄/アルミ/複合材)

・EV化対応に必要となる工法の選定と実証ライン構築等

・LCA観点による将来技術の調査とCO排出量評価基準の策定

 

<電動(EV)化対応>

 EVの車体は、バッテリーハウジングや車体構造が複合的な機能をもつ非常に重要な部品群となっていくことが求められるため、仕様構築には高度な設計検討能力が必要となります。この課題に対しては軽量化提案活動により獲得した車体一台解析技術を活用することで、バッテリーハウジングを統合した次世代の軽量高剛性ボディの開発を進めてまいります。主な開発内容は以下のとおりです。

・多くの顧客向けの仕様を容易に構成できるフレキシブル性を持つ構造の構築

・ボリュームゾーンに対応できる高い生産性をもった環境負荷の低い工法の選択と仕様構築

・生産数増が見込まれるアルミ製バッテリーハウジングの提案

・ボディとパワートレインをつなぐシャーシ部品領域の性能評価能力の獲得

・EV車両としての衝突安全性と環境負荷低減に配慮した車一台分の最適仕様の構築

 

 電動パワートレイン関連部品は世界的なEV需要増加に伴いニーズが急拡大すると想定しており、当社グループでは新たな事業領域となる、駆動用モーターや駆動系減速装置関連部品など、ジーテクトの基盤技術を活かして貢献することができる領域についての量産技術の開発に着手しております。

 

<生産技術開発>

 生産技術開発の領域では、技術・営業領域で蓄積した技術基盤や専門の知見をもって、お客様と連携しながら、新規車種の生産準備である機種開発に従事するとともに、既存技術の進化に取り組み、コスト低減・開発期間の短縮・品質の信頼性向上を図り、企業競争力の強化に努めております。

 

(1)冷間ウルトラハイテンの加工技術開発

 車体軽量化に伴う高強度部材の適用拡大が進む中、金型構造・型材・表面処理進化による耐荷重・摩耗性の向上、成型ひずみ予測技術進化による精度熟成工数の削減、新工法による成型課題の克服に取り組んでおります。

(2)ホットスタンプの加工技術開発

 新冷却構造の開発、レーザーレスの実現に向けた取り組みを進め、部品1個あたりの電力使用量削減を目指しております。

(3)溶接ラインにおける生産性・品質の信頼性向上の取り組み

 ビジョンシステムを活用した部品投入・払い出しの要員の負担軽減、レーザースキャン・非破壊検査機器を組み合わせた部品精度・溶着強度保証のインライン化に取り組んでおり、生産性・品質の信頼性向上に努めております。

(4)トランスミッション部品の開発

 トランスミッションメーカーのHEV・EVモーター一体型変速システム開発に追従した新規部品開発に取り組んでおります。

 

 

<知的財産権の活用と管理>

 技術開発や生産活動の過程で生み出される知的財産権を積極的に保護管理・運用を行い、経営計画に基づく知財戦略を進めることにより、当社の企業価値向上に注力しております。

 グループ全体を取りまとめる知財管理体制を構築し、技術開発部門及び各生産拠点と、知財部門との円滑な連携のため、知財推進担当を置き、隠れた技術やアイデアを抽出し特許取得につなげております。

 また、将来の社会・顧客ニーズに応えるイノベーションの創出に向け、目指すべき開発の方向性を示すとともに開発の推進に資する知財情報を提供できるよう、体制の強化を進めております。

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