当連結会計年度におけるわが国の経済は、新たな変異株の流行に伴う新型コロナウイルスの感染再拡大や行動制限が再び求められることも懸念され、依然として設備投資や個人消費等、景気の動向は不透明な状況にあります。 また、当社を取り巻く事業環境は、昨年後半からの急激な鋼材等原材料の高騰により製造業にとって非常に厳しい経営環境となっております。
当社グループの主要需要であります電力業界においては、送配電部門の分社化を背景に、更なる経営合理化の推進による設備投資の抑制やコスト削減要請が続いており、厳しい受注環境となりました。一方、通信業界においては、総務省が推進するデジタル化に対応した社会環境整備、「ICTインフラ地域展開マスタープラン3.0」に基づいた光ファイバー網ならびに5G基地局の整備が進められました。
当社グループにおいては、移動体キャリア向けに新製品を提供したことに加え、新市場の開拓も進め、脱炭素社会の実現に貢献すべくEV関連、再生可能エネルギー関連ならびに耐震関連製品の投入を行いました。また、鋼材や亜鉛等の材料価格高騰に対応するため、従来から生産・営業・管理部門が一丸となって取り組んでいるコスト低減に向けた業務改善活動と並行して、製品の販売価格改定を行いました。さらに、株式会社須田製作所をグループ会社化し、シナジーを発揮して一層の企業価値向上に向けた活動を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は10,262百万円と前連結会計年度に比べ368百万円、3.7%の増収となりました。営業利益は414百万円と前連結会計年度に比べ275百万円、39.9%の減益、経常利益は487百万円と前連結会計年度に比べ275百万円、36.2%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益については755百万円と前連結会計年度に比べ243百万円、47.6%の増益となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症による業績への影響について、当社グループに関連した需要に大きな影響はありませんでした。
セグメントに代わる需要分野別の経営成績は、次のとおりです。
① 交通信号・標識・学校体育施設関連
交通信号・標識関連は、信号関連の工事が減少しましたが、標識の保守・改修工事は順調に行われ、堅調に推移しました。学校体育施設関連は、防球ネット工事関連の新製品投入と新規顧客の開拓などから、好調に推移しました。その結果、売上高は1,229百万円と前連結会計年度に比べ37百万円、3.1%の増収となりました。
② CATV・防災無線関連
CATV関連は、光ファイバー網の工事が実施されたことから、好調に推移しました。一方、防災無線関連は、デジタル化への更新工事が減少したことから、低調に推移しました。その結果、売上高は1,087百万円と前連結会計年度に比べ16百万円、1.5%の減収となりました。
③ 情報通信関連
情報通信関連は、総務省が推進する光ファイバー網の整備工事が実施されたことから、好調に推移しました。また、基地局設置工事が活発に行われたことに加え、5Gに関連した移動体基地局用の新製品の投入により、好調に推移しました。その結果、売上高は2,537百万円と前連結会計年度に比べ326百万円、14.8%の増収となりました。
④ 配電線路関連
配電線路関連は、新製品投入と既存製品の販売拡大に向けた営業活動を行いましたが、電力会社による経営基盤強化に向けた調達方式の見直しや、設備投資の抑制などにより、厳しい受注環境となりました。その結果、売上高は3,385百万円と前連結会計年度に比べ94百万円、2.7%の減収となりました。
⑤ その他
鉄道関連は、保守工事や安全対策関連工事が減少した影響から、低調に推移しました。一方、一般民需、公共工事関連は、再生可能エネルギー向け製品やセキュリティ対策工事向け製品の特需もあり、好調に推移しました。加えて、グループ会社の工事部門の売上が寄与した他、EV関連の新製品や耐震関連製品の販売などがありました。その結果、売上高は2,022百万円と前連結会計年度に比べ115百万円、6.1%の増収となりました。
生産、仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を需要分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、標準原価で表示しております。
② 製商品仕入実績
当連結会計年度における製商品仕入実績を需要分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格に仕入付随費用を含めて表示しております。
③ 受注実績
当連結会計年度における受注実績を需要分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格で表示しております。
④ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を需要分野別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格で表示しております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,966百万円増加し、22,956百万円となりました。
当連結会計年度における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ496百万円増加し、13,214百万円となりました。これは、主に電子記録債権が158百万円、商品及び製品が209百万円、仕掛品が323百万円増加したことと、現金及び預金が206百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,469百万円増加し、9,741百万円となりました。これは、主に有形固定資産が2,088百万円及び投資その他の資産が281百万円増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,305百万円増加し、4,869百万円となりました。これは、主に支払手形及び買掛金が427百万円、繰延税金負債が571百万円増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,660百万円増加し、18,087百万円となりました。これは、主に利益剰余金が540百万円、その他有価証券評価差額金が134百万円及び非支配株主持分が897百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の81.73%から74.49%、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末の15,292円99銭から16,838円87銭となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ562百万円増加し、5,250百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、589百万円のプラスとなりました。これは、主に税金等調整前当期純利益の計上924百万円及び減価償却費の計上312百万円による資金の増加と、負ののれん発生益の計上431百万円及び棚卸資産の増加216百万円による資金の減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、236百万円のプラスとなりました。これは、主に定期預金の払戻2,550百万円による資金の増加と、定期預金の預入1,550百万円及び子会社株式の取得579百万円による資金の減少によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、302百万円のマイナスとなりました。これは、主に長期借入金の返済147百万円及び配当金の支払い214百万円による資金の減少によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、必要に応じ主に金融機関からの長期借入としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務の残高は573百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,250百万円となっております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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