当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
a. 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は395億8千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億5百万円増加(3.1%増)いたしました。これは主に原材料及び貯蔵品の増加(19億4百万円)、商品及び製品の増加(15億2千6百万円)、受取手形及び売掛金の増加(9億7千2百万円)、仕掛品の増加(3億6千7百万円)及び、現金及び預金の減少(38億8千1百万円)によるものであります。固定資産は649億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ93億1百万円増加(16.7%増)いたしました。これは主に投資有価証券の増加(40億7千4百万円)及び退職給付に係る資産の増加(36億7百万円)によるものであります。
この結果、総資産は1,045億5千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ105億7百万円増加(11.2%増)いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は183億7千万円となり、前連結会計年度末に比べ8億6千6百万円増加(4.9%増)いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加(8億8千万円)、短期借入金の増加(7億9千6百万円)及び未払費用の減少(2億2千3百万円)によるものであります。固定負債は147億5千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億3千1百万円増加(22.7%増)いたしました。これは主に繰延税金負債の増加(23億6千4百万円)によるものであります。
この結果、負債合計は331億2千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億9千7百万円増加(12.2%増)いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は714億2千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ69億1千万円増加(10.7%増)いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金の増加(28億6百万円)、退職給付に係る調整累計額の増加(15億3千4百万円)及び為替換算調整勘定の増加(11億2千3百万円)によるものであります。
この結果、自己資本比率は64.2%(前連結会計年度末は64.4%)となりました。
b. 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ主要取引先の自動車の生産台数は、新型コロナウイルスの影響により増減の大きな変動を受けましたが、前年度を大きく上回る結果となりました。
このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、売上高が前期に比べ74億8千9百万円増収(10.0%増)の821億4千4百万円となりました。売上高のうち約16億円は鋼材高騰の売価反映と為替変動の影響であり、実質的な増収額は約58億円となりました。
損益の状況につきましては、主要なお客様の生産台数の増加による増益要因に対して、想定を大きく上回る鋼材・物流費の高騰、資材費及び動力光熱費の価格上昇などのインフレ圧力がありましたが、全社一丸となった過去最高レベルの合理化改善により、営業利益は前期に比べ5億6千5百万円増益(44.9%増)の18億2千6百万円となりました。
経常利益は前期に比べ11億7千6百万円増益(52.1%増)の34億3千4百万円となり、営業利益増益額を上回る増益となりました。これは当年度末の為替レートが前年度末に比べ、大きく円安方向に振れたことが主要因です。当社はこれまで安定した収益確保、有利子負債の圧縮を基盤とした財務体質強化施策を計画的に推進してきた結果、基本的に自己資金によるグローバル資金体制を構築してまいりました。その結果、今期は、為替が円安方向に振れたこともあり、この自己資金分の評価換算差益が大きく営業外のプラス収益方向に寄与し、今回の経常利益増の結果につながりました。
なお、この経常利益額は当社グループにとって過去最高値を更新いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ5億5千2百万円増益(44.2%増)の18億1百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、売上高はセグメント間の売上高を含んでおります。
〔日本〕
新型コロナウイルス影響からの市場回復、鋼材高騰分の売価反映等に伴い、売上高608億6千1百万円(前年同期比4.7%増)となりましたが、鋼材・物流費の高騰、資材費及び動力光熱費の価格上昇等により営業利益26億8百万円(同8.2%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用は「日本」セグメントのみ影響いたしますが、売上高への影響はありません。
〔北米〕
新型コロナウイルス影響からの市場回復に伴い、売上高65億1千8百万円(前年同期比15.3%増)となりましたが、鋼材・物流費の高騰、資材費及び動力光熱費の価格上昇等により営業損失7億4千5百万円(前年同期は10億2千5百万円の営業損失)となりました。
〔中国〕
為替変動等の影響に伴い、売上高106億7千5百万円(前年同期比11.3%増)となりましたが、鋼材・物流費の高騰、資材費及び動力光熱費の価格上昇等により、営業利益10億9百万円(同21.0%減)となりました。
〔アジア〕
新型コロナウイルス影響からの市場回復に伴い、売上高132億3千8百万円(前年同期比57.0%増)、営業利益4億7百万円(前年同期は4億1千1百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、77億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億8千1百万円減少(33.2%減)となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2億8百万円(前年同期比92.0%減)となりました。これは主に、減価償却費35億1千6百万円、税金等調整前当期純利益34億1千万円などの資金の増加と棚卸資産の増加31億7千万円、退職給付に係る資産の増加14億4千万円、法人税等の支払額の増加7億9千8百万円などの資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は38億2百万円(前年同期比68.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出36億2千万円などの資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6億3千5百万円(前年同期は16億6千7百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増額7億4百万円などの資金の増加と配当金の支払額7億1千万円、長期借入金の返済による支出4億6千2百万円などの資金の減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これはアジア事業におきまして、新型コロナウイルス影響からの市場回復があったことによるものであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、トヨタ自動車株式会社をはじめとして、各納入先より四半期毎及び翌月の生産計画の提示を受け、当社グループの生産能力を勘案して生産計画をたて生産しております。このため受注状況の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これはアジア事業におきまして、新型コロナウイルス影響からの市場回復があったことによるものであります。
4.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討結果
当連結会計年度におきましては、「競争力強化」、「グローバル展開」、「経営基盤強化」の3つを大きな柱として、活動を進めてまいりました。
競争力強化への取組みとして、売上変動に強い体質作りによる体質強化、合理化改善等による生産性向上、商品力の強化による売上拡大への取組み等、全機能が一丸となって拡販活動を行ってきました。また、KPI指標による現場競争力強化や原価低減活動等により、生産現場の強固な足元固め、変化に対応できるモノづくりを目指してまいりました。
また、自動車メーカーによる現地生産化が進展することで、国内生産は減少、海外生産は拡大する状況が続いております。当社グループにおきましても、中国・北米・アジアでのグローバル供給体制を拡充し、海外生産比率を高め、主要取引先以外の拡販にも力を入れてまいります。
経営基盤強化につきましては、変化に即応できる強靭なチームとクリエイティブな人財づくりをテーマに活動しております。
このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高821億4千4百万円、営業利益は18億2千6百万円、経常利益は34億3千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は18億1百万円となりました。
上記の他、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は77億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億8千1百万円減少いたしました。
これは営業活動の結果獲得した資金が2億8百万円と前連結会計年度に比べ24億7百万円減少し、投資活動の結果使用した資金が38億2百万円と前連結会計年度に比べ15億4千5百万円増加し、財務活動の結果使用した資金が6億3千5百万円と前連結会計年度に比べ23億3百万円減少したことによります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入及び新製品の生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備投資資金については、原則内部資金又は借入及びリースにより資金調達することとしております。借入及びリースによる資金調達に関しては、運転資金として短期借入金を各連結子会社が、運転資金又は設備投資資金として当社及び各連結子会社が長期借入金とリースにより調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。
当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、69億7千6百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は77億9千9百万円となっております。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の損益指標、単独及びグローバルベースでの売上高、将来に向けた投資(人、モノ、カネ)、試験研究費等の指標を、目標の達成状況を判断する指標としております。
2021年10月28日に開示しております連結業績予想と実績の比較につきましては、次のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、連結会計年度末における資産・負債の報告数値、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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