(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大からの回復が一部見られるものの、経済活動が正常化したとは言い難い状況で推移しました。
当社グループ製品の主要市場である自動車産業においては、世界的な半導体不足、東南アジアからの部品供給難に伴う生産停滞に見舞われました。
このような状況の中、当連結会計年度の業績は、売上高は389億57百万円(前年度比12.5%増)となり、営業利益は4億35百万円(前年度比105.8%増)、経常利益は7億24百万円(前年度比451.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億8百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失2憶25百万円)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「粉末冶金製品事業」を「自動車焼結事業」及び「鉄道焼結事業」の2区分へ変更しております。
①自動車焼結事業
当第3四半期以降の国内、米国を中心とした、半導体不足及び東南アジアからの部品供給停滞に伴う得意先での生産調整による売上減、原材料価格の高騰、米国子会社での要員不足による生産ロス等はあったものの、総じて前年度からの新型コロナウィルス感染拡大による売上減少から大幅に回復し、トヨタハイブリッド車用インバーター部品の売上増(既存品の増産及び新型ハイブリッド車用新規品の生産開始)、原価改善及び休業日設定を含む柔軟な稼働対応などの取組みで増収増益となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は352億93百万円と前年度と比べ38億30百万円(12.2%)の増収となり、セグメント利益につきましては、15億39百万円と前年度と比べ29百万円(2.0%)の増益となりました。
②鉄道焼結事業
新幹線用ブレーキライニング及び新幹線用すり板の搭載車両増加が売上に寄与しておりますが、前連結会計年度第2四半期以降の新型コロナウイルス感染拡大に伴う減便の影響により、売上減少となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は15億15百万円と前年度と比べ2億51百万円(14.2%)の減収となり、セグメント利益につきましては、1億28百万円と前年度と比べ13百万円(9.5%)の減益となりました。
③油圧機器製品事業
得意先での資材調達不安を背景とした先行調達や、前年度購入抑制の反動などにより、海外向けのデンタルチェア用製品や手術台用製品を中心に売上が増加し、また、画像診断機器用製品では新型コロナウイルス感染拡大に伴う特需継続による売上増がありました。
これらの結果、当連結会計年度における売上高は21億39百万円と前年度と比べ7億36百万円(52.5%)の増収となり、セグメント利益につきましては、6億8百万円と前年度と比べ2億81百万円(86.2%)の増益となりました。また、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年3月期との比較では、売上高は1億83百万円(9.4%)の増収、セグメント利益は52百万円(9.4%)の増益となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、41億90百万円となり、前連結会計年度に比べ9億40百万円増加(28.9%増)となりました。これは主に、自動車焼結事業及び油圧機器製品事業を中心とした、新型コロナウイルス感染拡大による落ち込みからの収益回復に伴う営業利益の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、33億46百万円となり、前連結会計年度に比べ7億29百万円減少(17.9%減)となりました。これは主に、有形固定資産取得による支出の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、13億63百万円となり、前連結会計年度に比べ36億34百万円減少となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染拡大のリスクへの備えとして資金調達を行った前連結会計年度に対して、当連結会計年度は一部返済を行ったことにより、短期借入金の純増減額が28億23百万円減少したこと、長期借入れによる収入が8億27百万円減少したことによるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(資産)
資産は510億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ、12億99百万円増加いたしました。原料価格の高騰などに伴う原材料及び貯蔵品の増加(前連結会計年度末比6億57百万円増)、売上回復に伴う受取手形及び売掛金の増加(前連結会計年度末比2億95百万円増)、株価回復に伴う評価額の上昇による投資有価証券の増加(前連結会計年度末比2億36百万円増)によるものであります。
(負債)
負債は301億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ、9百万円増加いたしました。これは、新型コロナウイルス感染拡大に起因する生産減からの回復に伴う仕入増加及び原料価格高騰による電子記録債務の増加(前連結会計年度末比6億14百万円増)の一方、新型コロナウイルスのリスクへの備えとして調達した資金の一部返済による短期借入金の減少(前連結会計年度末比2億77百万円減)及び長期借入金の減少(前連結会計年度末比4億46百万円減)によるものであります。
(純資産)
純資産は208億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ、12億90百万円増加いたしました。これは、主に円安進行に伴う為替換算調整勘定の増加による、その他の包括利益累計額の増加(前連結会計年度末比8億36百万円増)によるものであります
当社グループは、「中期経営計画2025」の達成に向け、グループ一丸となり「競争力の強化」「事業構造変革」「ESG経営」に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、電動化対応の開発推進、デジタル技術と匠の技の融合によるモノづくり革新「未来Factory」の実証ライン構築、食糧課題対応としての昆虫食を含めた新規事業開拓、カーボンニュートラルへの取組みを含めたESG経営などに積極的にリソーセスを投入し、将来の収益力確保、企業価値向上への取り組みを推進しました。
このような状況の中、当連結会計年度の目標として掲げておりました、連結での売上高370憶円、営業利益率4.1%、ROE4.0%に対して、実績は売上高389憶円、営業利益率は1.1%、ROEは1.2%でした。自動車焼結事業において、半導体不足等に起因する得意先での生産調整がありましたが、油圧機器製品事業における資材調達不安を背景とした得意先での先行調達や、円安進行による為替換算差額等により、売上高は目標達成となりました。一方、原材料価格の高騰、米国子会社での要員不足に伴う生産上のロス等により、営業利益率及びROEは目標未達となりました。
2022年度以降につきましては、需要変動への柔軟な対応や、生産課題の解消に取り組むとともに、中期経営計画に沿って、「未来Factory」の立上げ準備などの競争力強化、電動化対応及び非自動車事業における新規開発など事業構造の変革に向けて、積極的に研究開発や設備投資を推進してまいります。
重要な経営指標の一つであるCO2排出量削減については、2013年比で2025年までに40%削減、2030年までに50%削減を目標としており、2021年の実績は、生産設備の寄せ止めや生産量の減少などにより、38.8%の削減となりました。
当社グループの資金状況については、新型コロナウイルス感染拡大に伴う落ち込みからの回復による売上増加等で営業キャッシュ・フローは41億90百万円となり、そこから「未来Factory」や新規事業等での設備投資活動で33億46百万円の支出、新型コロナウイルス感染拡大に伴うリスクへの備えで確保した運転資金返済等の財務活動によるキャッシュ・フローで13億63百万円減少したことにより、前連結会計年度より現金及び現金同等物の期末残高は2億70百万円減少し、56億30百万円となりました。
今後の資金需要としましては、国内における「未来Factory」及び新規分野への開発投資、タイ子会社の第2拠点新設に伴う設備投資がありますが、必要資金は自己資金及び借入金でまかなう予定です。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルスが当連結会計年度に与える影響は限定的であったことから、翌連結会計年度以降への影響についても限定的であるという仮定を置いた上で合理的な見積りを実施しております。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 固定資産の減損損失
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。
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