業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、社会経済活動が制限され、厳しい状態で推移いたしました。2022年3月以降、行動制限の緩和により、景気の持ち直しが期待されたものの、直近においては新たな変異株の蔓延により感染者が急増し、また、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制などの要因を背景としたエネルギー価格や物価の上昇に加え、急激な円安の進行もあり、先行きの不透明感は増しております。

介護業界におきましては、今後も高齢者人口は増加していき、これにともない高齢者単独世帯も増加し、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。一方で、異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護職における雇用情勢につきましては、2022年6月の有効求人倍率は3.52倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.09倍を大きく上回り、介護職員の確保が引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。

そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という企業理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスの提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。

また、より良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれがライフスタイルに応じて働けるよう、働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化やIT機器の導入等による業務効率化も進めております。今後とも当社グループは、お客様へより質の高いサービスを提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。

当社は、第2四半期連結会計期間より、2021年11月30日付で子会社化した、介護付有料老人ホームを運営する株式会社ライクを連結対象に含めており、自社ホームの新規開設のみならず、M&Aによる事業の拡大も進めております。

当連結会計年度の業績におきましては、株式会社ライクの子会社化にかかる株式取得費用(41百万円)及びのれんの償却額(136百万円)が発生しております。また、世界的な原油価格高騰の影響により当社グループの運営するホームにおける電気代やガス代など光熱費が前期より20%以上上昇しております。これらの影響により連結業績における営業利益及び経常利益は当初の計画を下回る結果となりましたが、株式会社ライク所有物件の売却による売却益等により、親会社株主に帰属する当期純利益は概ね計画に近い結果となり、前期を大きく上回りました。

当連結会計年度における、ホームの運営状況につきましては、運営ホーム数の合計は76ホーム、居室数は5,203室(連結子会社である株式会社ライクの4ホーム、410室を含む)であります。ホームの入居状況につきましては、開設2期目を経過した当社既存ホームにおける通期平均入居率が94.0%(前期は95.4%。連結子会社である株式会社ライクの4ホームは78.7%(当第3四半期累計期間では76.1%))となっております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス、特にオミクロン株の感染拡大による影響を受けており、オミクロン株は感染力が強い反面、症状が出にくいため、感染者が判明した時点ですでに多くのご入居者様やスタッフに感染が広まっており、クラスターの発生頻度が前期より多くなりました。クラスターが発生したホームでは新規入居の促進を控えざるを得ない状況となり、入居率低下の一因となっております。しかしながら、そのような状況のなかにあっても、既存ホーム全体としては依然として高い入居率を維持しており、開設2期目未経過のホームの入居につきましても着実に進んでおります。

また、当連結会計年度より、その他の事業として、主にヘルスケア物件を対象とした不動産開発に係る新規事業が業績に反映されており、期初の計画以上の売上及び利益を計上することができております。加えて、アセットライト経営を志向し、当社および子会社のホーム土地・建物の売却(売却と同時に賃借し運営は継続)も進めており、特別利益を計上しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は29,071百万円、営業利益は2,309百万円、経常利益は2,501百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,951百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、経営成績の状況について対前期増減率は記載しておりません。「収益認識に関する会計基準」等の適用に関する詳細については、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。

 

 

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.介護事業

介護事業の当連結会計年度の売上高は25,075百万円、セグメント利益は2,502百万円となりました。

第2四半期連結会計期間より、2021年11月30日付で子会社化した株式会社ライクの業績を介護事業に含めており、当連結会計年度につきましては、株式会社ライクの2021年10月から2022年6月までの9ヶ月間の業績を含めております(みなし取得日は2021年10月1日)。株式会社ライクは大阪府において4ホームの介護付有料老人ホームの運営を行っております。

なお、ホームの新規開設の状況につきましては、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏の都市部において、高級住宅地を中心に、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア(グラン)」シリーズを開設するとともに、「チャーム」シリーズ、「チャームスイート」シリーズの開設も行い、バランスの取れた積極的な新規開設を進めております。

 

当連結会計年度における新規開設の状況は以下のとおりです。

案件

所在

居室数

開設年月日

チャームスイート奈良学園前

奈良県奈良市

74室

2021年9月

チャームスイート経堂

東京都世田谷区

65室

2021年9月

チャームプレミア グラン 御殿山

東京都品川区

34室

2021年10月

チャーム石神井台

東京都練馬区

79室

2022年2月

チャーム光が丘

東京都練馬区

66室

2022年2月

チャームスイート京都紫野

京都市北区

57室

2022年3月

チャームスイート代田橋

東京都杉並区

95室

2022年4月

チャームプレミア浜田山

東京都杉並区

34室

2022年6月

合計8ホーム(首都圏6ホーム、近畿圏2ホーム)

 

504室

 

 

b.その他事業

その他の事業として、連結子会社である株式会社グッドパートナーズが行っている人材派遣、人材紹介、訪問看護等の事業に加え、当連結会計年度より、主にヘルスケア物件を対象とした不動産開発事業及びその他の不動産事業を開始しております。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の状況にあっても、介護人材の需要は減少しておらず、人材派遣等の売上高及び利益は着実に推移しており、また不動産事業については、期初の計画を上回る売上・利益を計上することができました。

以上の結果、その他事業の当連結会計年度の売上高は4,233百万円、セグメント利益は652百万円となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は37,355百万円となり、前連結会計年度と比べ8,757百万円増加いたしまし

た。このうち、流動資産合計は17,075百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,282百万円増加いたしまし

た。この主な要因は、現金及び預金が1,000百万円、金銭の信託が4,443百万円増加したことによるものであり

ます。固定資産合計は20,279百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,474百万円増加いたしました。この主

な内訳は、有形固定資産が1,418百万円、のれんが2,560百万円、投資有価証券が300百万円、繰延税金資産が736百万円増加した一方で、金銭の信託が4,097百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は24,896百万円となりました。このうち、流動負債合計は16,277百万円とな

り、前連結会計年度末に比べ8,445百万円増加いたしました。この主な要因は契約負債が8,870百万円増加した

ことによるものであります。固定負債合計は8,619百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,021百万円減少い

たしました。この主な要因は、長期借入金が2,684百万円増加した一方で、長期前受収益が3,922百万円減少し

たことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は12,458百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,332百万円増加いたしま

した。この主な要因は、利益剰余金が1,296百万円増加したことによるものであります。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,000百万円増加し、6,941百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は3,945百万円(前連結会計年度は2,558百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,536百万円、契約負債の増加額7,049百万円及び減価償却費604百万円により資金を得た一方で、法人税等の支払額1,042百万円及び前受収益の減少額5,642百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は2,857百万円(前連結会計年度は3,704百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,597百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,438百万円及び差入保証金の差入による支出538百万円があった一方で、有形固定資産の売却による収入により5,324百万円の資金を得たことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は87百万円(前連結会計年度は1,472百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入4,497百万円により資金を得た一方で、長期借入金の返済による支出3,316百万円、短期借入金の純減額769百万円、配当金の支払額391百万円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

介護事業(千円)

25,075,015

その他事業(千円)

3,996,816

合計(千円)

29,071,832

  (注)なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の

     期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値と

     なっているため、対前年同期比率は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表を作成するにあたって、当連結会計年度における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なもの及び新型コロナウィルス感染症拡大による影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は29,071百万円となりました。これは主に、開設2年目を経過した当社既存ホームにおいて94.0%(前期95.4%)と高い入居率を維持していることによるものであります。開設2年未満のホームの入居につきましても順調に進んでおります。

(売上総利益)

売上原価につきましては、24,422百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に開設した5ホーム及び当連結会計年度に開設した8ホームの運営経費(労務費、地代家賃、給食費等)が増加したほか、水道光熱費の上昇やコロナ対応コストが発生したことによるものであります。

この結果、売上総利益は4,649百万円となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費につきましては、2,340百万円となりました。これは主に、企業規模の拡大に伴う租税公課や支払手数料の増加、のれん償却費が発生したことによるものであります。

この結果、営業利益は2,309百万円となりました。

(経常利益)

営業外収益につきましては、補助金収入233百万円等を、営業外費用につきましては、支払利息67百万円等を計上しております。

この結果、経常利益は2,501百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は4,536百万円となる一方で、法人税等は1,584百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,951百万円となりました。

また、1株当たり当期純利益は90円50銭となりました。

 

3)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの中心事業である介護事業は、介護付有料老人ホームの運営がその大部分を占めております。介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づき各都道府県より指定を受け、介護報酬の給付を受けておりますため、介護報酬の基準単価等の給付水準が変更されるような介護報酬の改正がなされた場合には、当社グループの事業の状況に関わらず、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

また、今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社グループにおきましても重要な経営課題と認識しております。当社グループとしましては、人材の確保・育成に向けて、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいりますが、このような施策の効果が十分に得られず、人員の確保に多額のコストが掛かる場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは運営資金及び設備資金につき、主として自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しており、運転資金については短期借入金で、設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。

なお、当連結会計年度末時点における長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は8,514百万円、短期借入金の残高は2,140百万円、現金及び預金は6,941百万円となっております。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当社グループは「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ②目標とする経営指標」に記載のとおり、有料老人ホームの安定した運営の観点から入居率及び稼働率を、また、安定した経営と堅実な成長の持続という観点から売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでおります。

当連結会計年度における、開設2年目を経過した当社既存ホームにおける入居率は94.0%と前期比1.4ポイント低下し、前期実績は僅かに下回ったものの、引き続き業界トップレベルの高い数字を維持しております。

当社グループは、引き続き当該指標の向上に取り組み、業界No.1を目指してまいります。

 

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