課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、計画、目標等に関してはリスクや不確実性を内包しており、その実現を保証するものではありません。

(1)経営方針

① 経営の基本方針

 当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案します。」を企業理念とし、「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献することを使命として、企業行動基準及び社員行動指針を定めております。

 企業行動基準は、「お客様への約束」、「社会への約束」及び「従業員への約束」からなり、「お客様に魅力的な介護サービスを提供すること」、「積極的に情報開示し、法令を遵守する、社会に信頼される企業であること」、「従業員にチャレンジする機会とやりがいのある職場環境を提供すること」を目指していくことを約束いたします。

 また、社員行動指針は、当社グループの社員が目指すべき姿勢・考え方を示しております。

 上記、企業理念、企業行動基準及び社員行動指針に基づき事業を展開することにより社会に貢献するとともに、事業計画を着実に推進することで経営基盤の強化と財務体質の改善に努めてまいります。

② 目標とする経営指標

 当社グループは介護を必要とするより多くの方々に有料老人ホームをご利用いただくという観点から入居率及び稼働率を重視しております。また、入居者様に安心して生活いただけるように安定した経営と堅実な成長を続けることを重視し、売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでまいります。

③ 中期的な会社の経営戦略

わが国における高齢者人口は今後も増加していくことが考えられ、これにともない、高齢者単独世帯も増加し、介護サービスの提供を考慮した高齢者住宅の需要拡大が見込まれます。このような状況のなか、当社グループは業績拡大にあたり、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏及び近畿圏の都市部において、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア(グラン)」シリーズを開設するとともに、「チャーム」シリーズ、「チャームスイート」シリーズの開設も含めたバランスの取れた積極的な新規開設を行い、規模の拡大を行うことが必要不可欠であると考えております。

当社グループは、今後も引き続き介護付有料老人ホームを中心とした施設介護事業の更なる展開を進めていくとともに、介護事業にとどまらない安定的な収益基盤を確立するうえで、不動産事業の拡大を図ってまいります。

また、中期目標として、連結売上高1,000億円を掲げており、積極的な事業投資と安定した業績成長を両立し、増収増益を継続できる企業を目指してまいります。

 

 (2)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、社会経済活動が制限され、厳しい状態で推移いたしました。2022年3月以降、行動制限の緩和により、景気の持ち直しが期待されたものの、直近においては新たな変異株の蔓延により感染者が急増し、また、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制などの要因を背景としたエネルギー価格や物価の上昇に加え、急激な円安の進行もあり、先行きの不透明感は増しております。

介護業界におきましては、今後も高齢者人口は増加していき、これにともない高齢者単独世帯も増加し、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。一方で、異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護職における雇用情勢につきましては、2022年6月の有効求人倍率は3.52倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.09倍を大きく上回り、介護職員の確保が引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。

そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という企業理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスの提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。

また、より良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれがライフスタイルに応じて働けるよう、働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化やIT機器の導入等による業務効率化も進めております。今後とも当社グループは、お客様へより質の高いサービスを提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。

 

 

 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化等により、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という経営理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスのご提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めております。

なお、当社グループが対処すべき主要な課題は以下の項目であると認識しております。

 

① 住宅型有料老人ホームの事業基盤確立

住宅型有料老人ホームにつきましては、特定施設の総量規制(※)の動向に左右されることなく事業を拡大するための基盤づくりが必要であると考え、計5ホームを運営しております。当社グループではこのビジネスモデルの事業としての基盤確立を図るため、今後も開設するホームの地域特性を考慮したうえで、住宅型有料老人ホームの開設を進めてまいります。

 

※ 特定施設の総量規制とは、自治体(主に都道府県)が民間による居住系サービスの新規開設を拒否できるという規制であります。

 

② 不動産事業の収益化の実現及び新規事業の創設

社会保障財政がひっ迫するなか、介護保険制度の将来を考えると、持続的成長を可能とする、介護事業だけにとどまらない事業基盤の強化が不可欠であります。そのために不動産事業への領域拡大及びさらなる新規事業の創設を通じて、暮らし・住まい・介護に関わる複合的なサービスをご提供していきたいと考えております。

当社グループが行う不動産事業におきましては、ヘルスケア物件を対象とした不動産開発及び売却を拡大するとともに、豊富に入る不動産情報を活かし、ヘルスケア物件に限定しない不動産の事業収益化(取得、開発、賃貸、売却、仲介などによる収益化)も進めてまいります。引き続き、自社グループで保有する物件の売却を進め(ホームの運営は継続)アセットライト経営を志向することにより、親会社株主に帰属する当期純利益の増益も見込んでおります。

さらに、介護事業、不動産事業に続く第3の柱とするべく、当社において2022年7月より新たな部門として「事業構想室」を設置し、新規事業の創設や事業規模・領域の拡大のため、M&Aも積極的に進めてまいります。

 

③ 労働力の確保

今後の介護サービス需要の拡大にともない懸念される労働力不足の問題は、当社グループにおきましても重要な経営課題と認識しており、従業員の定着率の向上のため、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいります。

 

④ コンプライアンス・内部統制の充実

介護保険制度下の事業者として社会的責任を果たすべく、引き続き法令遵守を徹底することに加え、企業経営の透明性と開示情報の正確性を確保させるため、内部統制システムの整備に関する方針を定め、内部統制の構築を推進してまいります。

 

⑤ 財務体質の改善

当社グループは積極的な事業拡大に際して、設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達してまいりましたので、有利子負債比率が高い水準にあります。このため、今後の企業間競争に耐えうるべく財務体質の改善が急務であると認識しており、有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上に努めることで、より健全性の高い経営に努めてまいります。

 

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