課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

①会社の経営の基本方針

 当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスです。グローバル化が進む今日、日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があると考えております。

 新型コロナウイルス感染症の収束後は、お客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増えるとともに、慣れない場所での自然災害や、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まります。また今般の新型コロナウイルス感染症のような新たなパンデミックが起こる可能性も充分に考えられます。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制を構築しつつ、アウトバウンドやインバウンドの医療アシスタンス体制や運用コストの見直しを行い、組織再編を進めるとともに、少数精鋭化の業務運営を目指します。

 また、厚生労働省の受託事業から得た経験やノウハウを生かし、新規事業の立ち上げと拡大に注力してまいります。

 遠隔診療やヘルスケア市場の拡大は続き、多くの企業が新規に参入してくるものと思われる中、当社におきましてもヘルスケア市場への取り組みをより一層強化し、収益の計上を目指します。データやデジタル技術を活用したDX化への取り組みについても、早急に進め、ビジネスモデルの変革を目指します。

 

②中長期的な会社の経営戦略

 成長シナリオを進めていくために、環境の変化に影響を受けることなく安定した利益の確保ができる企業体質の確立が経営の重要課題であると認識しており、以下の施策を実践してまいります。

 

(医療アシスタンス事業)

 新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、当社グループの主力事業である海外旅行保険及びクレジットカードに付帯するアシスタンス事業の一層の拡充を目指します。顧客への世界最高品質のサービス提供を追求することで顧客満足度の一層の向上を図り、高い信頼を得ることが目標です。加えて、国内外の医療機関とのより一層の関係強化を図り、顧客に対して信頼性が高く、よりきめ細かい医療アシスタンスサービスを提供してまいります。

 また、医療アシスタンスサービスだけでなく、昨今のテロやデモ・暴動など、世界各国において多様化、高度化、複雑化するセキュリティ・リスクへの対応が求められております。このニーズに対応し、当社グループは医療アシスタンスとセキュリティアシスタンスをセットとしたサービスによる「トータルリスク管理」を支援していきたいと考えております。

 新型コロナウイルス感染症の収束後は、日本医療の国際展開を支援・促進する事業において、外国人患者の受入支援事業を中心に着実な売上増加を見込んでおります。当社は「ジャパン インターナショナル ホスピタルズ」の中の多くの医療機関が利用する「医療渡航支援企業」にも指定されていることで認知及び信頼を獲得しており、訪日医療患者の数も一層増加していくことが予想されます。

 また、救急救命アシスタンス事業は、民間企業等が海外の僻地で取り組む大規模建設工事現場にサイトクリ二ックを設置し、医師・看護師・救急救命士が常駐して現地医療体制を構築し、病人や怪我人の対応を行うサービス(EAJプロジェクトアシスト)を展開しております。世界的な新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、現場サイトでの新型コロナウイルス感染症への感染予防・感染対策を行う日本人医療者派遣の需要が拡大し、2018年より受注しているバングラデシュ事業の他に、アフリカでの事業も順調に運営してまいりました。これらの事業でのノウハウを蓄積し、今後のプロジェクトアシスト事業の拡大、成長を目指します。

 

(ライフアシスタンス事業)

 ライフアシスタンス事業については、これまでに培ったノウハウや既存顧客から獲得している高い信用を生かし、高品質のサービス提供を武器に事業拡大を進めます。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。経営指標としては利益の確保に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、配当について、将来の事業展開や経営環境の変化などを勘案のうえ、安定配当の継続に努めてまいります。

(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①経営環境

 2022年度の当社グループの事業環境を展望すると、新型コロナウイルス感染症からの影響は引き続き残り、医療アシスタンスを中心とした既存事業の回復は、まだ望めそうにない状況です。また2021年度から取り組んでいる厚生労働省からの受託事業は、入国者の待機期間短縮等の緩和策が進み、事業規模は徐々に縮小していくものと予想されます。

 

②優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 こうした逆境の下においてなお収益を確保し、中長期的な成長を図っていくために2022年度の経営の基本方針として、医療アシスタンス体制や運用コストの見直しを進めると同時に、厚生労働省の受託事業から得た経験やノウハウを生かし、新規事業の立ち上げと拡大に注力してまいります。またヘルスケア市場への取り組みを強化し、収益の計上を目指すとともに、積極的にDX化に取り組み、ビジネスモデルの変革を目指します。

 経営方針・経営戦略の基本方針に基づき、成長シナリオを進めるための経営戦略上の施策に関連して上述の喫緊の課題への対応の具体的な施策として、2022年度は主として以下の重点事業目標を掲げ、優先的な事業推進に取り組んでまいります。

 

(主な重点事業目標)

a.高品質でスリムな医療アシスタンス事業の構築

 ・損保引受を中心とする医療アシスタンスの組織再編、少数精鋭化の業務運営推進

 ・業務品質の高さで会社事業全体への信頼度向上、看板事業としての存在に衣替え

 ・顧客の求めるヘルスケア事業の追加、顧客の一層使いやすいアシスタンス方式導入

b.厚生労働省事業の継続受注

 ・今後の会社収支を支える事業として、確実な受注を目指す

 ・事業展開に機敏に対応可能な推進体制の構築、円滑で効率的な運用を期す

 ・Assitance Cloud Serviceの提供に向けた周到な準備の実施

c.ヘルスケア事業への参入

 ・中国を中心にアジア市場の富裕層を対象とした会員制の健康診断をはじめとする日本の最先端のヘルスケアサ

  ービスの提供プログラムを強化し、顧客拡大に注力

 ・日本の富裕層向けに会員制ヘルスケアサービスプログラムを提供し、クレジットカード発行会社等向けに積極

  的な営業を展開

 ・ヘルスケア分野で先行する企業との積極的な連携を図る

d.コンシェルジュ事業の継続受注

 ・新規顧客の獲得、会社全体の事業基盤の安定を図る

e.国際プロジェクト事業、医療事業の拡大

 ・医療者との強いネットワークを生かした事業の拡大、多角化を図る

 ・医療に関する事業経験、知見を他の事業分野に拡大、医療に強い企業イメージ強化

f.企業・学校法人向け新商品や新たな営業戦略の構築、顧客数と収益の大幅な拡大を目指す

g.従業員の働きや貢献に適切に報いる報酬制度の実践

 ・業績連動型賞与の導入

 ・人事評価の仕組みの見直し

h.安心してビジネスを展開するための個人情報保護対策の実施

 ・世界基準のプライバシー保護対策の構築

i.ビッグデータとデジタル技術の活用、サービスやビジネスモデルの変革

 

 また、外部環境の変化に迅速、柔軟に対応するために健全性を重視した財務基盤の強化を図ってまいります。

 なお、財務基盤の強化に係る基本的な考え方及び施策等の状況につきましては、「3 経営者による財政状態、 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載のとおりであります。

 今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まるとともに、経済活動の制限が徐々に緩和され、世界的な景気悪化からの回復とともに当社グループの業績の回復が期待されますが、新型コロナウイルス感染症による今後の当社グループへの影響をしっかりと見極めつつ、適宜計画の見直しと必要な施策を実施してまいります。

 当社グループは、医療アシスタンスサービス提供事業者として、新型コロナウイルス感染症と最前線の現場で戦う医療従事者の皆様に感謝し、新型コロナウイルス感染症が一刻も早く収束し、株主の皆様、そして世界人類に安息と平和が訪れますことを衷心より祈念いたします。

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