業績

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要については次のとおりであります。なお、経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容については、各項目に含めて記載しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴う新規感染者数の減少や各種政策の効果等により、2021年9月末には緊急事態宣言が解除されるなど経済活動の再開に向けた動きがみられたものの、新たな変異株の感染拡大が懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く市場環境においては、リアル店舗(市中にある小売店舗)が依然としてオーバーストア状態にあり、どこの店でも同じような商品が同じような価格で手に入るため、プロモーション力や接客サービスの質の差により、『売れる店舗』と『売れない店舗』が明確に区別できる状況となっています。そのため、消費財メーカーからは販促予算を『売れる店舗』に集中して効率良く使いたいというニーズが高まっております。

また最近、EC(インターネット上の仮想店舗)での購入が、耐久消費財やアパレルを中心に以前より盛んになっていますが、消費者行動としてECは主にリピート購入時に使い、新商品購入時・ブランドスイッチ時は依然としてリアル店舗で購入というような流れが常態化しつつあります。

このような経済環境の中、当社グループは「売場を元気に、日本を元気に、そして世界を元気に!」という事業コンセプトのもと、HR (Human Resources) ソリューション・IoT (Internet of Things)ソリューション・MR(Marketing Research)ソリューションの3セグメント構成で店頭販促支援事業を展開しております。

加えて昨今、国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりから、地球における有限な環境の中で環境負荷を最小限にとどめ、資源の循環を図り、環境と経済、社会の統合的な向上を目指すための取り組みが求められており、当社グループとしては環境保全と経済活動を両立させるため、当社グループが展開する店頭販促支援事業でも販促の効率化、ムダの削減を追求し、企業のESG経営・SDGsに貢献する「SDGs販促」を推進しております。

更に、海外での新規ビジネス創出の一環であるインドでのコンビニエンスストア事業を展開していくことで、更なる企業価値の向上に努めております。

 

以下、具体的にセグメント別経営状況について説明いたします。

 

(HRソリューション事業)

HRソリューション事業では、消費財メーカー向けにラウンダー(店頭へのルート営業代行業務)や、それに伴う販促物・ノベルティ・什器制作をはじめとしたフィールド(店頭)業務を年間100万件超という国内最大級の規模で実施しております。当社グループが創業期よりサービスを提供してきたラウンダー、推奨販売、覆面調査、デジタルサイネージ等、数々のフィールド業務を通じて、独自に蓄積してきたリアル店舗の売場・販促活動に関するデータベース(以下、「店舗DB」といいます。)を活用し、効率的かつ効果的な店頭販促企画提案による新たな付加価値の提供を加速させております。

当連結会計年度においては、引き続き一部小売業で新型コロナウイルス感染拡大を懸念した店頭販売員の配置を自粛する動きあったため、試飲・試食等の推奨販売サービスの売上高は減少しましたが、人員を好調な他事業へ異動し、人件費をはじめとした販管費の削減により、黒字転換を実現しました。ラウンダーサービスは、店舗DBの本格投入により、サービスとしての付加価値が高まったことで案件受注率及び収益率が高まり、コロナ禍でも事業基盤を拡大しております。また、前期より損益計算書への業績取込を開始したコールセンターやBPO、デバッグサービスを展開するジェイエムエス・ユナイテッド株式会社、人材派遣・紹介サービスを展開するについてジェイ・ネクスト株式会社における買収後の当社グループ内への経営統合・業務統合・意識統合の迅速化により、統合に関連するコストの圧縮及びグループ内でのシナジーの創出が実現したことで収益性が高まりました。その結果、セグメント全体としては売上高・営業利益とも増加しました。この結果、売上高は8,795,441千円(前年同期比13.2%増)、セグメント利益は1,033,907千円(同58.0%増)となりました。

 

(IoTソリューション事業)

IoTソリューション事業では、消費財メーカーをはじめ飲食・小売・サービス業向けに小型デジタルサイネージを年間約26万台提供しており、高付加価値商材であるPISTA(フィールド・トラッキング・ソリューション)をローンチしたことで、オンライン化によるコンテンツ自動更新や人感センサー・顔認識エンジンを活用した店頭棚前顧客情報取得の流れを加速させております。これによりデジタルサイネージ本体の販売だけでなく、オンラインASPサービス利用料などのストック収益を見込めるビジネスモデルを推進しております。

当連結会計年度においては、コロナ禍において苦戦している小売店舗での店頭推奨販売サービスの代替商材として、遠隔地から店頭の映像コンテンツを切り替えられるオンラインサイネージやエレベーター内・美容室座席前等を広告媒体とする広告事業者向けにカスタマイズしたオンラインサイネージシステムの需要が更に高まりや飲食チェーン向けDX推進の一環として開始したテーブルトップオーダー(※)端末の受注拡大により、堅調に推移しました。この結果、売上高は3,430,094千円(前年同期比62.3%増)、セグメント利益は909,590千円(同81.9%増)となりました。

(※)テーブルトップオーダーとは、主に飲食店などにおいて利用者自身がタッチパネル端末などを介して注文したい料理をオーダーするシステムのことです。

 

(MRソリューション事業)

MRソリューション事業では、消費財メーカーをはじめ学術機関・飲食・小売・サービス業向けに総合マーケティングリサーチサービスを年間6万件超提供しております。主に、現場スタッフのCS(顧客満足度)・ES(従業員満足度)向上を目的とする覆面調査、店頭オペレーション改善等のための研修プログラムの提供、内部監査代行としてのコンプライアンス調査、低コストかつライトな非接触型サンプリング「買いタメ」やホームユーステストなど、リアル店舗の課題抽出から課題解決までを網羅するリサーチメニューの展開を推進しております。

当連結会計年度においては、コロナ禍による外食産業の停滞や小売業の営業時間短縮等に起因するクライアント側の調査予算縮小の影響はあったものの、リアル店舗を対象とする内部監査代行としてのコンプライアンス調査や非接触型サンプリング調査「買いタメ」の大型スポット調査などの受注の積上げにより、売上高・営業利益とも増加しました。この結果、売上高は1,262,863千円(前年同期比1.1%増)、セグメント利益は295,213千円(同48.5%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は13,333,511千円(前年同期比20.3%増)、営業利益は1,678,455千円(同62.9%増)、経常利益は1,648,512千円(前年同期は28,510千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,208,885千円(前年同期は△187,519千円)となりました。

 

生産、受注及び販売の状況は、次のとおりであります。

① 生産実績

該当事項はありません。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の仕入実績を事業のセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメント別の名称

当連結会計年度(千円)

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

前年同期比(%)

HRソリューション事業

558,624

66.4

IoTソリューション事業

2,093,397

183.1

合       計

2,652,021

133.7

 

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

③ 受注実績

当連結会計年度の受注実績を事業のセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメント別の名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

HRソリューション事業

(千円)

8,738,680

108.5

614,521

107.6

IoTソリューション事業

(千円)

3,394,478

162.7

86,776

115.9

MRソリューション事業

(千円)

1,309,830

107.0

139,626

162.9

合       計

(千円)

13,442,989

118.3

840,923

114.9

 

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業のセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメント別の名称

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

HRソリューション事業

8,695,049

112.1

IoTソリューション事業

3,382,571

162.3

MRソリューション事業

1,255,889

101.3

合       計

13,333,511

120.3

 

(注) 1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.総販売実績に対する割合が10%以上の主要な取引先が無いため、相手先別の記載を省略しております。

 

(2) 財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して307,390千円増加し、8,902,879千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比較して265,075千円増加し、7,531,325千円となりました。これは主に現金及び預金が123,348千円、受取手形及び売掛金が177,725千円減少したこと、商品及び製品が155,878千円、その他流動資産が396,099千円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して42,315千円増加し、1,371,554千円となりました。これは主に有形固定資産73,290千円の減少、ソフトウエアが76,912千円、繰延税金資産が24,821千円増加したことによるものであります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して1,082,015千円減少し、4,831,759千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比較して729,775千円減少し、2,354,506千円となりました。これは主に買掛金が95,595千円、短期借入金が637,001千円減少したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して352,239千円減少し、2,477,253千円となりました。これは主に長期借入金が295,362千円、その他固定負債が54,430千円減少したことによるものであります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して1,389,405千円増加し、4,071,120千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加1,208,885千円によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は4,048,226千円となり、前連結会計年度と比べ113,332千円減少しました。

当連結会計年度末におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は870,278千円であります。これは主に税金等調整前当期純利益1,635,700千円、売上債権の減少額186,556千円、たな卸資産の増加額171,271千円、前渡金の増加額366,382千円、法人税等の支払額379,721千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果減少した資金は221,223千円であります。これは主に有形固定資産の取得による支出50,385千円、無形固定資産の取得による支出150,694千円、保証金の差入による支出50,771千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果減少した資金は761,563千円であります。これは主に短期借入金の純減少額637,001千円、長期借入れによる収入769,000千円、長期借入金の返済による支出1,075,329千円によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの資金需要のうち主なものは、受注案件に係る仕入や人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用およびM&A投資であります。

当社は、運転資金につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、投資その他につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金残高は3,347,648千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,048,226千円となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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