文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、経営理念として「顧客主義(取引先との共生によるパートナーシップの確保)」、「社員主義(社員の自主自律による価値創造の確保)」、「成果主義(機会平等と評価公平性の確保)」を掲げており、事業目的として「取引先の信頼と安心の確保に基づくサービスの提供」、「社員の生活向上と安定の確保」、「コンプライアンス、CSRの遵守と社会貢献」を定めております。以上の経営理念及び事業目的は、当社設立以来の経営に対する基本的な考え方として、経営者はもとより、社員への浸透も図られております。
(2)目標とする経営指標
① 売上高の伸び率
減収増益或いは微増収増益では、企業価値の拡大に限度があります。一定の率の売上高の拡大は、事業展開上必須の事柄であります。
② 利益率等
売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率においてそれぞれ目標を設定し、収益力の高さを維持する経営を実践してきております。
③ 技術社員数の増減及び稼働率の推移
技術社員数の増減は、当年度或いは次年度の売上規模を確定させる重要指数となります。また、稼働率は、売上高及び売上総利益に大きな影響を与えます。
④ 請負業務比率
付加価値の高い請負業務の拡大により、収益力のアップ、技術力のアップに繋がるものと考えております。
⑤ 当社コア業務領域の比率
当社の得意分野である自動車ランプ・内装・ボデー設計等のコア業務領域を拡大させていくことで、強みの更なる強化に繋げたいと考えております。また、当社のコア業務領域は、今後、HV/EV等の次世代自動車の普及、自動車部品のモジュール化の進展に際しても、設計開発需要減少の影響は受けにくいと考えております。
⑥ 実質無借金の維持
不測の事態に備え、実質無借金経営を維持することにより、収益悪化抵抗力を高めております。
⑦ 配当性向
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としております。配当政策につきましては、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と配当の安定的拡大を念頭におき、財政状態及び利益水準を勘案した上で連結当期純利益の35%以上(配当性向35%以上)を毎期配当していくことを原則としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動の両立が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利引き上げ、中国での経済活動抑制の影響等、先行きに対する不透明感が継続しています。
我が国経済においては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。但し、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
当社グループが主力事業を展開する自動車業界及び自動車部品業界においては、半導体等の部品需給の逼迫による生産調整の動きがみられるものの、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、次世代技術の開発に向けて研究開発の歩みは益々加速していくものとみられます。当社が主力とする設計開発アウトソーシング事業は生産の上流工程であるため、自動車メーカーの工場稼働停止や減産が、契約解除等の直接的な影響は少ないものとみておりますが、金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、新型コロナウイルス感染症の流行がさらに深刻化した際などには業績に影響を及ぼす可能性もあるため、引き続き、業界の動向に注視する必要があります。
以上のような事業環境のもと、中長期的な会社の経営戦略は次のとおりであります。
① 数値目標
② 目指すべき企業像・中長期ビジョン
『デジタルソリューション企業』
a. 長期ビジョン:デジタルでものづくりに貢献する企業
b. 中期ビジョン:設計を基軸にしたデジタルソリューションを提供
※長期を5か年超、中期を5か年以内で想定しております。
③ 新たな戦略的取組み
(1)既存事業の更なる発展や付加価値の創造
a. 軽量化設計技術の発展(EV化により車体軽量化ニーズ など)
b. ソフトウェアや電子部品開発、組込/制御ソフト開発の分野拡大(自動車の電気制御化)
c. 環境配慮設計(リサイクル配慮構造や廃棄物管理しやすい構造)
(2)解析事業の拡大
a. 解析ソリューションの深化(解析ノウハウ蓄積、実機データとの整合性検証)
b. 試作レスに資するソリューションの提供(解析×ARなど)
(3)顧客向けDXソリューションの複数展開
a. 設計に関連する新しいアイテムの継続的な開発
(4)オフショア開発を含めたグローバル展開
④ 戦略的取組みを実現させる施策
a. 経験者採用を含めた即戦力となる技術者の獲得
b. 技術者教育の抜本的見直し
c. 資本提携・事業提携の推進
d. システム入替による業務効率性向上
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループとしては、開かれた、健全で透明な企業活動を展開し、企業価値の増大と収益率の向上により永続的発展を目指していくことが経営上の最も重要な課題であると認識しております。
当社グループの中核事業である設計開発アウトソーシング事業では、「設計技術集団」として事業基盤をより強固なものとし、事業を安定的に拡大発展させていくために、組織的な技術者育成を加速させ、かつ、世情に左右されない強固な受注体制に磨きをかけることが不可欠であります。顧客からの技術的な要求値が高まる傾向において、若手技術者を中心に研修期間が長期化し、リーダー社員における若手技術者への教育工数が増加しております。
その状況下において、即戦力となり早期に売上向上をはかるべく中途採用とパートナー企業の活用を積極的に行ってまいります。加えて、優秀な新卒社員の採用は継続しつつ、①教育管理部門による技術者教育体制の抜本的な改革、②技術と管理能力を持つ中途採用者を活用した若手技術者の教育受け皿の拡大を図ります。並行して、受注拡大と領域拡大を果たすための提案営業の実践、業務及び管理体制の効率化、コンプライアンス体制の強化・確立等を、経済環境を見据えながらバランスよく強化推進してまいります。一方、永続的な発展を目指していくためには、中長期的な観点で、当社グループの将来の中核事業となるべき新規事業を育成していくことも必要不可欠であります。そのような観点から、設計開発アウトソーシング事業とのシナジーを活かしたデジタルソリューション開発並びにAR技術を応用した業務効率化を推進し、収益拡大化に取り組んでまいります。また、長期的な視点で社会の持続可能性に配慮した、サステナビリティ経営を目指してまいります。技術者がいきいきと働ける環境を提供し、サステナブルな社会の実現に貢献することで、企業価値の向上を図ってまいります。
取り組みの具体的な内容は以下のとおりであります。
①「社員の自主自律による価値創造の確保」など、当社経営理念の社員への浸透
②専門性の高い技術者の採用強化(新卒、中途)
③顧客のニーズに対応した社員育成体制の確立と強化
④新規企業・分野の開拓など顧客の状況に影響されない受注体制の確立(提案営業の実践)
⑤技術者料金のアップ
⑥コア業務領域(ランプ・ボデー・内装など)の売上拡大
⑦請負業務の拡大を受けた機密情報へのアクセス権の管理強化及び顧客情報のセキュリティ強化
⑧個人スマートデバイス連携活用による管理体制の効率化・情報の共有化、経営コックピットの導入など、
更なる情報化の推進
⑨顧客に信頼されるコンプライアンス体制の強化・確立
⑩美容・健康商品製造販売事業における商品知名度のアップによる売上拡大
⑪設計DX及びAR技術を応用した業務効率化
⑫3Dプリント事業の新規領域での受注拡大
⑬長く安心して働ける会社づくり
⑭サステナビリティ取り組みの強化
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