(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の売上高は、15,654,373千円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては対面活動の正常化に伴う諸経費の増加により、4,486,279千円(前連結会計年度比25.4%増)となりました。
売上高の増加及び売上原価の減少により、売上総利益は1,921,784千円増の7,246,090千円(前連結会計年度比36.1%増)、営業利益は1,011,823千円増の2,759,811千円(前連結会計年度比57.9%増)、経常利益は967,294千円増の2,764,993千円(前連結会計年度比53.8%増)となりました。
法人税等合計は、1,089,018千円(前連結会計年度比48.2%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は2,753,408千円(前連結会計年度比41.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、1,664,390千円(前連結会計年度比37.5%増)となりました。
第3四半期連結会計期間より、「投資事業」の重要性が増したことから、「コンサルティング事業」、「投資事業」の2区分に変更いたしました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(コンサルティング事業)
コンサルティング事業の当連結会計年度の業績は、売上高15,470,235千円、営業利益4,380,165千円となりました。デジタル・トランスフォーメーション戦略策定、新規事業やサービス開発、組織と人財の活性化など企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引しました。
人財採用につきましては、当連結会計年度において経験者18名、新卒50名が入社しました。新卒社員の研修はリモートワーク環境と対面を組み合わせたハイブリッド型で順調に完了し、10月から稼働を開始しました。プロジェクト満足度は94ポイントと高い水準を維持しております。
(投資事業)
投資事業の当連結会計年度の業績は、売上高334,378千円、営業利益45,359千円となりました。主に投資先支援と株式の売却収益によるものです。
第2四半期連結会計期間に株式会社JTBベネフィットの株式の持ち分を全て売却しました。また、当連結会計年度に新たに約12億円の投資を行いました。新規投資としては、第2四半期連結会計期間に伊藤忠商事株式会社のネットワークを通じてコーポレートウェルネス領域において健康管理SaaS事業等を展開するウェルネス・コミュニケーションズ株式会社への出資を行いました。さらに第3四半期連結会計期間に、英語学習コーチングサービスを手掛ける株式会社プログリットへの出資を行いました。第4四半期連結会計期間においては、訪問看護ステーション向け業務支援SaaSを提供する株式会社eWeLL、 再生可能エネルギーによる発電所を開発・運用する自然電力株式会社への出資を行いました。
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,373,031千円増加し、14,656,922千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ466,818千円減少し、4,354,368千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,839,849千円増加し、10,302,554千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、7,721,528千円(前連結会計年度比2,445,758千円増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は2,506,041千円(前連結会計年度は1,598,103千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,753,408千円、営業投資有価証券の増減額954,509千円、未払金の増減額549,125千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は546,247千円(前連結会計年度は285,102千円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出509,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により得られた資金は474,165千円(前連結会計年度は783,648千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の増減額1,600,000千円、自己株式の取得による支出699,983千円、株式の発行による収入3,535,601千円によるものであります。
当社グループの資金につきましては原則として自己資本を中心に調達しております。また、営業活動を通じて獲得した資金から将来の収益獲得のための投資を行うとともに、株主還元として配当性向、総還元性向は定めてはおりませんが安定配当及び自己株式取得を行っております。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
サービスの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
コンサルティング事業 |
15,634,658 |
- |
3,296,334 |
- |
投資事業 |
283,768 |
- |
- |
- |
合計 |
15,918,427 |
115.4 |
3,296,334 |
111.2 |
(注)1.当社グループは、前連結会計年度までコンサルティング事業を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の受注実績を記載しておりませんでした。当連結会計年度よりコンサルティング事業及び投資事業の2区分に変更したため、前年同期比は記載しておりません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
コンサルティング事業 |
15,470,235 |
- |
投資事業 |
334,378 |
- |
合計 |
15,804,613 |
112.7 |
(注)1.当社グループは、前連結会計年度まで「コンサルティング事業」を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の販売実績を記載しておりませんでした。当連結会計年度より「コンサルティング事業」及び「投資事業」の2区分に変更したため、前年同期比は記載しておりません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
3.最近2連結会計年度において、総販売実績の10%を超える相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
ⅰ)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は12,147,433千円(前連結会計年度比4,131,450千円増)となりました。主な内訳は、現金及び預金7,721,528千円、受取手形、売掛金及び契約資産2,017,936千円であります。また、固定資産は2,509,489千円(同241,581千円増)となりました。主な内訳は、投資有価証券851,962千円、ソフトウエア仮勘定254,544千円であります。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は2,764,533千円(同474,823千円減)となりました。主な内訳は、未払金1,176,042千円、未払法人税等944,399千円であります。また、固定負債は1,589,834千円(同8,005千円増)となりました。主な内訳は、役員株式給付引当金1,134,524千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は10,302,554千円(同4,839,849千円増)となりました。主な内訳は、資本金4,626,881千円、利益剰余金5,149,207千円、自己株式2,628,990千円であります。
ⅱ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は15,654,373千円(前連結会計年度比11.6%増)となりました。これは主に、継続的なコンサルティングサービス案件の受注によるものであります。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は8,408,282千円(同3.4%減)となりました。これは主に、コンサルタントの人件費及び外注費によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,486,279千円(同25.4%増)となりました。これは主に、役員報酬及び管理部門の人件費によるものであります。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は33,298千円(同41.4%減)となりました。これは主に、持分法投資利益及び為替差益によるものであります。当連結会計年度の営業外費用は28,116千円(同295.5%増)となりました。これは主に株式交付費によるものであります。
これらの結果を受け、当連結会計年度の営業利益2,759,811千円(前連結会計年度比57.9%増)、経常利益2,764,993千円(同53.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,664,390千円(同37.5%増)となりました。
ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあります。先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり景気が持ち直していくことが期待されますが、地政学リスクや金融資本市場の変動などの下振れリスクにも十分な注意が必要です。
このような環境の中、当社グループは、デジタル経済下で企業が取り組むべき『3つの変革(マネジメント・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーション、サービス・トランスフォーメーション)』の推進が必要と考え、その実現に向けたサービス提供を目指して事業を推進しています。具体的には、事業戦略立案、M&A、業務変革、組織変革、デジタルテクノロジーやクラウドソリューションの活用、プロジェクトマネジメント、新規事業開発、企業間連携の推進、事業投資等による価値創造に取り組んでいます。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、感染症拡大や地政学リスクの高まりに伴う社会・経済への影響、景気変動、新しい技術の活用、投資、情報管理、コンプライアンスと内部管理体制、人財採用及び流出、システム障害等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは、社内管理体制の整備、法令及びコンプライアンス遵守の浸透、優秀な人財の採用と育成、システム基盤の増強等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
ハ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(コンサルティング事業)
DX戦略策定、新規事業やサービス開発、組織と人財の活性化など、企業のトランスフォーメーションを支援するプロジェクトが事業を牽引し、セグメント売上高は15,470,235千円、セグメント利益率は28.3%となりました。小売、通信、運輸、金融、商社などの業界を中心にコンサルティングサービスに対する需要は非常に強く、目標を超える稼働率となり営業利益が増加しました。
なお、コロナ禍で大きな影響をうけた航空業界向けコンサルティングサービスがコンサルティング事業の売上に占める比率の最適化を進め、製品調達代行サービスの戦略的縮小とあわせて、ビジネスポートフォリオの再構築が過去2年で堅調に進捗しました。
経験者採用が緩やかなペースに留まり、KPI(重要業績指標)であるコンサルタント数は前年と同水準となりました。
(投資事業)
投資領域を「リジェネラティブ&ウェルビーイング(地球資源を賢く活かしながら、人々の暮らしを豊かにする領域)」と位置づけ、同領域にフォーカスした直接投資を行っております。当連結会計年度に新たに4件、約12億円の投資を行いました。セグメント売上は、主に投資先の支援や株式会社JTBベネフィット株式売却益により、334,378千円、セグメント利益率は13.6%となりました。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
客観的な指標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
連結の売上高経常利益率は17.7%(前連結会計年度比4.9ポイント増加)と過去最高水準となりました。これは主に、旺盛な顧客の需要に対応しコンサルティング事業の稼働率が上昇したことが要因です。
コンサルティング事業においては、コンサルタントは478名(前連結会計年度末481名)に減少しました。経験者採用のペースが緩やかであったこと、2021年10月の持株会社体制移行にともない子会社役員や一部の社員の職種を見直したこと等が主な要因です。また、クライアントが評価するプロジェクト満足度も94(同94)と高い水準を維持しており、高い品質のコンサルティングサービスの提供による継続案件の獲得も期待されます。
投資事業の2022年3月末時点の投資残高は約18億円となります。
引き続きこれらの指標について、戦略に基づき適正な水準となるよう取り組んでまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
各キャッシュ・フローの状況とそれらの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、新型コロナウイルス感染症の今後の拡大や収束時期等を正確に予測することは困難な状況にあるものの、当連結会計年度の業績を最低限とするとの仮定に基づいております。
当社グループの財政状態又は経営成績に重大な影響を与え得る会計上の見積りが必要となる項目は以下のとおりです。
イ.有価証券の評価
事業投資又は資金運用を目的として有価証券を保有しており、四半期毎に評価を行っております。これらの有価証券の評価は発行体の経営状況により影響を受けます。新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性が高まっておりますが、保有有価証券の評価に影響を与えるほどの影響はないと判断しております。
ロ.有形固定資産、無形固定資産の評価
有形固定資産、無形固定資産は耐用年数に応じて減価償却を行っております。
また、有形固定資産、無形固定資産は少なくとも1年に1回は減損の判定をおこなっており、減損が生じた場合には減損損失を認識します。当連結会計年度末の計上額には問題はないと判断しておりますが、デジタルテクノロジーの進展が著しい状況において、特にソフトウエアに関して突然の機能的減価が生じるリスクがあります。
オフィスの原状回復費用及び利用期間を見積り、費用計上を行っております。オフィスの原状回復費用は不動産オーナーの見積り額、利用期間については不動産賃貸借契約における残存期間と仮定しております。したがって、工事費用の変動により原状回復費用が変動する可能性や、予定利用期間の変更(オフィス賃貸借契約の延長など)により費用計上額が変動(オフィス賃貸借契約を延長する場合は延長した期間に応じて計上)する可能性があります。新型コロナウイルス感染症の影響によりオフィス用不動産関連にも影響が出て、見積りから乖離する可能性は平時よりも高くなっております。
ハ.繰延税金資産の評価
繰延税金資産は、税務上の一時差異のうち回収可能性が認められるものを計上しております。連結会計年度末においては今後の一定期間の課税所得の発生を前提として回収可能性を判断しております。今後、十分な課税所得の発生が見込めなくなった場合には、繰延税金資産の取り崩しが必要となるおそれがあります。新型コロナウイルス感染症の影響により不確実性が高まる中、十分な課税所得の発生が見込めなくなる可能性は、平時よりも高くなっております。
ニ.株式給付引当金
取締役、執行役員及び従業員に対して当社株式による報酬があり、その給付義務に対して株式給付引当金を計上しております。取締役、従業員に対しては信託を用いた方式での株式給付をおこなっており、追加信託を行うことにより信託内の株式の単価が変動することによって、引当金額が変動します。また、受給対象者が受給条件を満たさない可能性は低いことから受給者が受給条件を満たす前提で引当額を計上しておりますが、受給者が受給条件を満たさない場合は、当該株式給付は発生しない可能性があります。
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