課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「環境保全に役立つサービスや製品の提供を通して、環境問題の解決と健やかな環境づくりを推進し、持続可能な社会の構築に貢献する」ことを経営理念としております。

経営理念に基づき、「地盤環境・エネルギーに関わる問題解決を担う企業集団」として社会的課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するというビジョンを掲げて、以下の3つの事業を展開しております。

①土壌汚染対策事業

②ブラウンフィールド活用事業

③自然エネルギー事業

 当社グループでは、上記事業を通して取り組む重要課題として以下に示す4つを定めております。

①安心・安全な国土利用への貢献(土壌汚染対策事業)

②循環型社会の実現への貢献(ブラウンフィールド活用事業、自然エネルギー事業)

③脱炭素社会の実現への貢献(自然エネルギー事業)

④環境問題解決で国際社会への貢献(土壌汚染対策事業、自然エネルギー事業)

 また、以下に示す6つの経営方針のもとで事業を実施し差別化を図り、企業価値の最大化を目指してまいります。

①顧客満足を第一に考え、成果、品質、価格、アフターサービスにおいて、期待以上に満足してもらえるように継続的な改善に努める。

②競争力のあるサービスと製品を提供し続けるために、バイタリティーとスピードをもって技術革新に挑戦し、新たなイノベーションの創出を目指す。

③展開する事業領域内において№1を目指す。

④国内で事業基盤を固めグローバルに展開することを目指す。

⑤グループの相乗効果と総合力を生かして、継続的で質の高い成長を目指す。

⑥社員が安心して業務を遂行できるように、社内環境・待遇の継続的な改善に努める。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループでは、土壌汚染対策事業を祖業としておりますが、土壌汚染調査や土壌汚染浄化工事といった単品のサービスではなく、それらに付随する顧客の幅広いニーズを掘り起こし、包括的に応える「ワンストップのパッケージ・ソリューション」を提供することを経営戦略の基本としております。

 各事業では、以下に示す経営目標を掲げ、それを達成するための事業戦略を遂行しております。

①土壌汚染対策事業

経営目標:経済性の高い土壌汚染対策を推進し、土壌汚染問題を解消する

     土壌汚染対策事業の現地化により海外の土壌汚染問題解消を支援する

経営戦略:調査・解析・設計・原位置浄化技術を活用した汚染地有効活用措置の提案営業で差別化を徹底する

中国では日系企業に重点的に営業することで差別化を徹底して受注確度を高める

②ブラウンフィールド活用事業

経営目標:土壌汚染地の有効活用を推進し、持続可能な土地利用を実現する

経営戦略:土壌汚染対策事業との連携強化を進め環境対応についての提案部分で差別化を図る

     これまで蓄積したノウハウを生かした大規模化による成長加速を目指す

③自然エネルギー事業

経営目標:太陽光発電やバイオマス発電によるクリーンエネルギーへの転換に貢献する

     太陽光発電と井戸技術を活用した水資源開発事業で途上国の水不足解消に貢献する

経営戦略:固定価格買取制度に依存しない事業モデルを開発し収益構造の多角化・安定化を図る

     海外案件の開拓と投資実行により収益力の向上を図る

 上記経営戦略に沿って、新規事業の開発と投資、新技術の開発・導入、M&Aや資本業務提携を積極的に推し進めてまいりました。引き続き、積極的に展開することにより、より一層の差別化による競争力の強化を図ってまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2025年3月期を最終年度とする中期経営計画では、2025年3月期連結売上高14,145百万円、営業利益1,107百万円、経常利益761百万円を業績目標といたしました。

経営上の目標の達成状況を判断するための指標としては、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の増収を、成長性向上を継続する観点から「営業利益」と「経常利益」の増益を、重要な指標と位置付け、営業基盤の拡大による企業価値の継続的な増大を目指しております。

各事業で業績目標の達成状況を判断するための先行的な指標は、以下のとおりです。

①土壌汚染対策事業

・受注残高及び当期出来高予定額

②ブラウンフィールド活用事業

・販売用不動産の在庫件数及び棚卸資産残高

・収益不動産の在庫件数及び月間賃料

③自然エネルギー事業

・稼働中発電所の総発電出力

・開発中発電所の計画発電出力

 

(4) 経営環境

 当連結会計年度におけるわが国の経済状況は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で一部に弱さがみられます。また、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスク、感染症による影響を十分注意する必要があります。

当社グループの業績に大きな影響を及ぼす不動産業については土地取引件数に持ち直しの傾向がみられ、建設業については住宅建設は弱含んで推移し、設備投資に伴う建築工事は持ち直しの動きが見られます。

 子会社を展開する中国では環境規制の強化が土壌汚染対策の追い風となっていますが、景気の回復テンポが鈍化し、固定資産投資の伸びも低下しており、経営環境は予断を許さない状況が続いております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの属する土壌汚染関連業界の国内市場は、土壌汚染対策法の一部改正により土壌汚染調査の契機が拡大し、年間の調査件数は増加傾向が続いておりますが、浄化工事を伴わない措置の増加や競合企業間の競争激化により工事単価の低価格化が進行し、市場規模は減少傾向にあります。また中国では、土壌浄化を事業機会と捉えた大手企業の新規参入が相次いでおります。

 収益拡大のためには、土壌汚染調査と土壌汚染浄化工事だけでなく、それらと連動する土壌汚染地の買い取りや利活用サービスを包括的に市場に投入して顧客の幅広いニーズに応えることが不可欠だと認識しております。そのために以下のような課題に取り組み、競合他社とのより一層の差別化を図ることにより、業容の拡大に努めてまいります。

 また、自然エネルギー事業については、固定買取制度(FIT制度)の買取価格が年々低下し、新規の太陽光発電所の収益性が低下しているため、FIT制度に依存しない事業スキームの構築が課題となっております。

 

① 土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業との相乗効果の最大化

 当社グループは、株式会社エンバイオ・リアルエステートを通してクリーニング工場やガソリンスタンド等の小規模な土壌汚染地の買い取り・浄化・再販事業(ブラウンフィールド活用事業)で数多くの実績を蓄積してまいりました。蓄積したノウハウを中規模から大規模な土壌汚染地の買い取り・浄化・再販事業へ展開するべく、物流不動産事業を本業とする株式会社シーアールイーと合弁で株式会社土地再生投資を設立いたしました。土壌汚染地の出口戦略の多様化と規模の効果を追求することによって土壌汚染対策事業とブラウンフィールド活用事業との相乗効果の最大化を目指します。産業用地の土地取引における潜在的な売手となるメーカー等土地所有者の情報入手とアプローチが課題であると認識しております。グループ横断的なコンサルティング営業展開を徹底し、土壌汚染対策から土壌汚染地活用までのワンストップソリューションによる事業拡大に努めてまいります。

 

② 土壌汚染対策事業における品質管理及びリスク管理の強化

 土壌汚染対策事業においては、顧客開拓が奏功し大型の土壌汚染対策工事が増えてまいりました。大型案件については、品質管理や原価管理の巧拙により利益が上振れたり下振れたりする事業リスクが、大きいと認識しております。営業担当、技術担当、工事担当が複眼的に案件を俯瞰する品質管理体制を徹底して品質の向上と原価の低減を図るとともに、安全品質管理室を中心に安全対策のより一層の徹底を図ることでリスク管理に努めてまいります。

 

③ 土壌汚染対策事業における多様な技術及びノウハウによる競争力の強化

 現在までに多数の企業の参入と様々な土壌浄化技術が実用化された結果、国内では土壌汚染対策の汎用化が進み、競合企業間での競争が激しく、工事単価の低価格化が進んでおります。こうした市場環境においては、コストの高い掘削除去に偏重していた顧客ニーズが変化しているため、多様な技術やノウハウによる高付加価値サービスを提供して他社との差別化を図ることが、競争力強化の鍵と認識しております。様々な工法に迅速に対応できるように技術戦略室を中心に新技術・新工法の開発、導入、提案体制を強化し、大学との共同研究による汚染物質分解微生物の開発、米国から新たな原位置透過壁工法の導入、新規対象物質(PFOA、PFOS)の対策技術の開発等を行なっております。

 施工実績数と事故率の低さで審査を通過し国内企業では初めて付保できた責任施工保証保険とこれまで蓄積してきた土壌浄化工事の設計・責任施工ノウハウを裏付けとして土壌汚染対策工事の費用総額を保証するサービス(プレアセスメント調査)を商品化しました。土壌汚染リスクを早期に確定させたい土地所有者やデベロッパー向けのリスク移転商品として拡販を行ってまいります。

 

④ 中国市場展開の収益化

 土壌汚染対策事業の中長期的な成長エンジンとして、環境規制の強化により土壌汚染対策の需要が本格化する中国市場に当社グループが日本国内市場で培ってきた技術ノウハウを展開することが重要との認識で、2018年3月に100%子会社として恩拜欧(南京)環保科技有限公司を設立いたしました。

 2019年1月に土壌汚染防治法が施行されたことにより、中国の土壌汚染対策市場は黎明期から拡大期を迎えようとしております。同社を通した日系企業向けの土壌汚染対策を柱とする環境保全サービスによる業容の拡大と収益化に努めてまいります。

 

⑤ 自然エネルギー事業の強化

 自然エネルギー事業は、土壌汚染地の有効活用の一方策としてスタートいたしましたが、順調に発電能力を拡大しながら発電事業のノウハウを蓄積した結果、安定した収益基盤として当社の成長を支えるストック型の独立した事業セグメントに成長いたしました。当社が安定的に成長し続けていくためには、フロー型の土壌汚染対策事業やブラウンフィールド活用事業とストック型の自然エネルギー事業とのバランスが重要と考えております。

 自然エネルギー事業の継続的な拡大は今後も戦略的に重要となりますが、国内での新規の太陽光発電事業の採算は低下しているため、FIT制度に依存しない事業スキームの構築や太陽光発電に代わる発電事業及び海外市場への進出等の新たな事業展開を検討しております。検討済みの有望案件から順次事業化するように努めてまいります。

 

⑥ 人材の確保、育成

 事業の継続的な発展を実現するためには、優秀な人材を十分に確保することが不可欠ですが、近年、建設技術者が逼迫しているため、人材の採用が課題であると認識しております。新卒の採用活動に力を注ぐ一方、高い専門性を有する人材、中国で活躍できる人材及び管理職者の獲得に幅広いルートを活用するとともに、教育研修制度の拡充、外部ノウハウの活用などを通して社内人材の育成に注力してまいります。

 

⑦ 新型コロナウイルス後の社会への備え

 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、経済活動を停滞させ生活様式に大きな変容をもたらしました。現行の事業のあり方や働き方に対しては、大きな変革が迫られており、この流れは感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中でも止むことなく進み、それに対する備えが不可欠だと認識しております。在宅勤務の本格的な導入に備えた整備やDXによるビジネスプロセスの見直しを軸に働き方改革の推進に努めてまいります。

 

⑧ サステナビリティ経営の強化

 当社グループでは、経営理念でSDGsへの貢献を掲げており、重要課題と定めたサステナビリティ課題への本業を通した貢献を目指しております。より一層のサステナビリティ経営を目指して、本業の戦略策定へのSDGsの活用に加えて、人的資本を重視し、コンプライアンスを前提として、多様な人材がチャレンジできる組織の創造と積極的な情報開示に努めてまいります。

 

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