研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、土壌汚染対策事業の競争力の源泉である原位置浄化技術の強化を目的として研究開発を行っております。

 当連結会計年度における研究開発は以下のとおりであります。

①塩素化エチレンの高分解能細菌を用いたバイオオーグメンテーションの開発

 バイオレメディエーションを適用して浄化した塩素化エチレンの汚染現場より採取した高分解能微生物群集から高分解能細菌を分離獲得(デハロコッコイデス属UCH-ATV1株)しました。これまでに本細菌の同定と遺伝子配列の解析を実施した独立行政法人製品評価技術基盤機構並びに東京農工大学より本細菌の商業利用に関する利用許諾を取得し、またこの細菌で構成される微生物群(コンソーシア)を用いた土壌浄化方法に関する特許権の譲渡を東京農工大学より受けました。この細菌を大量に培養して汚染現場に注入することにより短期間に効率よく塩素化エチレンを無害なエチレンにまで分解する技術(バイオオーグメンテーション)の開発を進めております。難分解性のクロロエチレンが特定有害物質に追加された揮発性有機塩素化合物の汚染の浄化に威力を発揮する技術として期待しております。

当連結会計年度は、前年度に取りまとめた経済産業省及び環境省が所管する「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」の適合性確認審査の申請書について、専門家委員会から指摘を受けた事項に対応するための追加データをラボ実験で取得しました。経済産業省及び環境省の担当部署ならびに専門家委員会の委員との協議を重ねた結果、概ね了承が得られたので次年度の専門家委員会を経て利用が認められる見込みです。

 

②コロイド状活性炭を用いた原位置バリア工法の開発

稼働中の工場における土壌・地下水汚染の経済的な汚染拡散防止のニーズに応えるべく、米国リジェネシス社(当社は同社製品の日本国内の独占販売権を保有)が開発したコロイド状活性炭水溶液(商品名プルームストップ)を用いた原位置バリア工法の開発に着手しました。本工法は、有機化学物質による土壌・地下水汚染が地下水の流れに乗って拡散するのを原位置で地中に形成したコロイド状活性炭の浸透壁(原位置バリア)に汚染物質を吸着させることにより、敷地外への汚染拡散をブロックするものです。従来は敷地境界付近に複数の揚水井戸を設置し、汚染地下水を汲み上げる揚水処理工法が採用されておりますが、コスト高が課題となっており、経済性の高い工法が求められております。また本工法は、新たな規制物質としての対応が議論されている有機フッ素化合物の一種であるPFOS、PFOAを含有する汚染地下水の拡散防止対策としても期待しております。

 当連結会計年度は、前年度に実施したカラム試験で得た有効性のデータを基に、具体的な汚染現場に適用するための試験施工及び本施工の設計と提案を行って、顧客との協議を行いました。次年度は、現場での試験施工から本施工までを実施する計画です。

 また、東京農工大学と共同で原位置バリア工法と①で研究しているデハロコッコイデス属UCH-ATV1株を組み合わせて、原位置バリア内に吸着された揮発性有機塩素化合物を高分解能細菌で分解する工法の開発に着手しました。

③携帯型蛍光X線分析機を用いた迅速スクリーニング法の開発

 当社が提供しているプレアセスメント調査(事前に実施することで土壌汚染対策工事の費用総額を保証するサービス)において、分析精度を維持したまま現場で迅速かつ簡易的にスクリーニングデータを取得することを目標に携帯型蛍光X線分析機の適用可能性を評価して迅速スクリーニング法の開発を行っております。

 当連結会計年度は、アスベストの事前調査としてアスベスト含有の有無を一種類のアスベストについて評価いたしました。次年度は対象とするアスベストの種類を増やして評価する計画です。

 当連結会計年度の研究開発費は、6,797千円でした。

 

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