当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
資産は前連結会計年度末に比べ68百万円減少し16,079百万円となりました。このうち流動資産は604百万円の増加、固定資産は672百万円の減少となりました。
流動資産の変動の主な要因は、受取手形及び売掛金が318百万円、棚卸資産が375百万円それぞれ増加したことであります。
固定資産のうち、有形固定資産は488百万円減少しました。変動の主な要因は、減価償却費の計上による減少903百万円、設備投資の実施による増加419百万円であります。投資その他の資産は243百万円減少しました。変動の主な要因は、保険積立金が307百万円減少したことであります。
負債は前連結会計年度末に比べ296百万円減少し8,900百万円となりました。このうち流動負債は105百万円の増加、固定負債は401百万円の減少となりました。
流動負債の変動の主な要因は、電子記録債務が234百万円、その他のうち設備関係支払手形と設備関係電子記録債務が合わせて91百万円増加し、短期借入金が318百万円減少したことであります。
固定負債の変動の主な要因は、退職給付に係る負債が162百万円、その他のうち長期未払金が302百万円それぞれ減少したことであります。
純資産は前連結会計年度末に比べ227百万円増加し7,178百万円となりました。このうち株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益が64百万円であったこと等により57百万円増加し6,504百万円となりました。また、その他の包括利益累計額は為替の影響等により169百万円増加し674百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は、前年同期比17.1%増の8,067百万円となりました。このうち国内販売は前年同期比12.6%増の4,091百万円となり、輸出は同22.1%増の3,976百万円となりました。
輸出の地域別では、北米向けが前年同期比22.9%増の799百万円、欧州向けが同18.2%増の1,106百万円、アジア向けが同24.9%増の2,037百万円、その他地域向けが同14.1%減の31百万円となり、この結果、連結売上高に占める輸出の割合は、前年同期に比べ2.0ポイント増加し49.3%となりました。
製品別では、焼肌チップが前年同期比9.7%増の692百万円、切削工具が同21.8%増の6,457百万円、耐摩耗工具が同4.5%増の902百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当期の売上高は264百万円減少しております。また、前期において当該会計基準を適用したと仮定して算定した売上高に基づいて当説明内における前年同期比較を実施しております。詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載の通りであります。
売上原価率は前年同期に比べ2.9ポイント改善し、71.0%となりました。
販売費及び一般管理費は前年同期比2.7%減の2,331百万円となりました。主な要因としましては、営業活動において新型コロナウイルス感染症の影響が一服したことにより広告宣伝費、旅費交通費が増加に転じた一方で、収益認識に関する会計基準の適用により従来は販売費に計上されていた販売手数料が減少したこと等が挙げられます。
売上高が回復したこと等により、営業利益は10百万円(前年同期は営業損失540百万円)となりました。
為替差益の計上額の減少等により、営業外収益は前年同期比8.9%減の116百万円となりました。営業外費用は前年同期とほぼ同額の106百万円となりました。
為替差益の計上および持分法による投資利益の計上等により経常利益は19百万円(前年同期は経常損失519百万円)となりました。
保険解約返戻金等による保険差益を72百万円計上いたしました。
売上高が増加したことや売上原価率が改善したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は64百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失643百万円)となりました。
営業活動により獲得した資金は104百万円でありました(前年同期は1,165百万円の獲得)。資金流入の主な要因は、減価償却費921百万円、仕入債務の増加246百万円であり、資金流出の主な要因は、長期未払金の減少302百万円、売上債権の増加290百万円、棚卸資産の増加317百万円であります。
投資活動により流出した資金は15百万円でありました(前年同期は1,073百万円の流出)。主な要因は、保険積立金の解約による収入394百万円、有形固定資産の取得による支出331百万円であります。
財務活動により流出した資金は477百万円でありました(前年同期は213百万円の流入)。主な要因は、短期借入の返済による支出200百万円(純額)、長期借入金の返済による支出115百万円(純額)、ファイナンス・リース債務の返済による支出161百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末と比べ、375百万円減少し1,202百万円となりました。
当社グループは事業の種類として、超硬合金・工具の製造及び製品等の販売を営んでいる単一事業であり、当連結会計年度における製品分類ごとの生産、受注及び販売実績は次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格をもって計上しております。
当社グループでは、一部見込による生産もありますので、次表は契約の成立したものを受注高として計上し、契約成立後未出荷のものを受注残高として計上しております。
(注) 1 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、本表における販売高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
また、前連結会計年度においても当該会計基準を適用したと仮定して算定した売上高に基づいて、
前年同期比較を実施しております。
2 主要な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。なお、前連結会計年度においては総販売実績の100分の10を占める販売先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展に伴い活動制限が緩和され、経済活動の正常化の動きが続いたものの、原材料の高騰や供給制限に加え、ウクライナ情勢による地政学的リスクの高まりから、世界経済の減速が懸念されており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
そのような中、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症の活動制限下において、リモートによる商談打合せ、WEBセミナー、メールやSNSによる製品紹介など新たな営業活動にも取組み、販売の拡大につとめました。
特に、切削工具につきましては、顧客ニーズに沿った新製品の開発に注力し、高精度ソリッドドリル「ストライクドリル」、5軸加工用工具の新ブランド「縦横無尽シリーズ」など12アイテムを発売するとともに、2年ぶりの対面での展示会となる「INTERMOLD 東京」、「メカトロテックジャパン 2021」に出展してPR活動を行い、キャンペーンなども実施して新製品の販売拡大につとめました。
また、耐摩耗工具につきましては、省タングステン材料である「サーメタル」製品を新規業界へ営業展開を図り、多様化するニーズに対応できるようにつとめました。
売上高に関しましては、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による生産活動鈍化の影響からの回復がみられ、国内向けは前年比12.6%の増加。海外向けは、北米向けが前年比22.9%の増加、欧州向けが同18.2%の増加、アジア向けでは同24.9%の増加となり、通年で大きく増収となりました。
利益に関しましては、海外向けを中心に需要が回復した事で、生産効率が高まり原価率が改善した事や為替が円安に推移した事により為替差益を計上した事等が要因となり、総じて増益に転じる結果となりました。売上高営業利益率は、前年同期比7.7ポイント改善し0.1%となり、当社が目標としております10%に対しては、未達の状況であります。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」にも記載のとおり、新型コロナウイルス感染症に関しましては、経済活動に及ぼす影響は今後徐々に薄まるものと想定しております。アフターコロナ時代に適応可能な事業環境を構築し、強固な収益体質を確立してまいります。
当連結会計年度は受注・売上が回復基調にあり、売上債権、棚卸資産が増加した事で、営業キャッシュ・フローは大幅に悪化いたしました。しかし、新型コロナウイルスの収束が不透明な事もあり、積極的な設備投資を控えた事で投資活動によるキャッシュ・フローは大幅に改善いたしました。
資金について、当社は、円滑な事業活動に必要十分な流動性の確保と財務の安定性維持を資金調達の基本方針としております。資金調達は主として銀行等からの借入金によりますが、5年の長期資金を中心とし、約定弁済を付することにより借り換えリスクの低減を図っております。その他、中長期的な財務の安定性と資金調達の柔軟性・機動性の向上を図る目的で、2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めておりませんが、単体ベースの売上高の約1.5か月分の1,000百万円を目安に運用しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、当社経営陣は資産、負債及び収入・費用の各報告数値に影響を与える見積りの仮定を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、状況の変化によりこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(b)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、長期期待運用収益率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの算出に際して用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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