当社グループにおいて、研究開発活動は連結財務諸表を作成する当社のみが行っております。当社の研究開発については以下のとおりであります。
当社グループにおける研究開発は、超硬工具の一貫製造メーカーの強みを活かし、超硬合金・切削工具・耐摩耗用工具の研究開発部門が連携をとり、市場変化、顧客ニーズに即応した商品性の高い新製品開発を行っております。基本方針としましては、高能率・高精度化および長加工寿命化によりお客様のリードタイム短縮と加工コスト低減に貢献する。また、製造時の消費エネルギー削減により環境に優しい製品を開発することを掲げております。
・材料およびコーティング被膜の開発
各種工具に対する要求性能を満足させる超硬合金素材、サーメット素材、サーメタル素材およびコーティング被膜の開発、またそれらを効率的に生産する技術開発を行っております。
当連結会計年度の研究開発におきましては、幅広い被削材に対応可能な超硬合金素材およびTi,Al合金切削用インサートにコーティング被膜を適用した工具の市場投入の目途が立ちました。また金型向けに開発した直彫り可能な超硬合金素材および新サーメタルについては、実際にユーザーに使用して頂き、性能評価を開始しております。
今後は、難削化する被削材に対応する切削工具用の被膜開発、高硬度材加工用工具向けの被膜開発および新素材の研究開発に取組み、新商品開発を後押ししてまいります。
・新素材の市場開拓および加工技術の開発
耐摩耗用工具分野では当社独自の開発材料であるサーメタルを中心とした金型を市場に投入し、自動車業界を中心に新規事業分野への展開を目指しております。
サーメタルにつきましては、滑り性・耐酸化性・低熱伝導率・軽量等の特徴を活かし、従来の金型では対応出来ない領域において成果を挙げております。加工技術においては、今後さらに要求される高精度化に対応すべく、切削工具部門との連携により直彫り加工を推進し、金型形状の再現性を高め、寿命の安定化を目指した取組みを進めております。今後も開発材料や加工技術等の独自技術を活かした金型を市場に投入してまいります。
・最新ソリッドドリルの開発
金属の切削加工において、ドリルによる穴あけ加工は大きな役割を占めており、さらなる加工能率の向上や工具寿命延長の要求に応える為に最新ソリッドドリル「ストライクドリルEZN形」を開発いたしました。
「ストライクドリルEZN形」の特長は、
①穴あけ加工深さ L/Dc=2、3、4、5の4種類全376アイテムをラインナップしました(Lは加工深さ、Dcはドリル直径を示し、以下より有効加工深さを示す2D、3D、4D、5Dと表記します)。2D、4Dタイプはクーラント穴なしの外部給油仕様、3D、5Dタイプはクーラント穴ありの内部給油仕様としております。
②ドリルのシンニング形状は、工具先端に向かって凸状の尖りを持った先端形状とし、被削材に食いつく時のスラスト方向(軸方向)の切削抵抗を小さくし、切りくず排出性と刃先強度を向上させております。
③ドリルの外周マージン形状は、従来よりも小さい幅とすることで、加工穴側面との摩擦抵抗を低減させて、表面粗さの良い安定した穴あけ加工を可能としています。
④コーティング被膜は耐高温酸化性、耐衝撃性、被膜靭性および密着性に優れたAlTiベースの硬質皮膜である「DVコート」を採用し、独自の表面処理を行う事で、切りくずの流れをスムーズにし、ステンレス鋼等熱伝導率が小さい被削材に対しても、加工寿命を大幅に向上することを可能にいたしました。
⑤環境に優しい製品として、2021年度日本機械工具工業会の環境調和製品に認定されました。
・5軸加工用工具の開発
省段取り化による工程集約、複雑な形状加工や加工精度の向上ニーズの高まりにより、ワンチャッキングであらゆる方向から加工が行える5軸加工用工具のシリーズ全8種類を「縦横無尽シリーズ」として開発いたしました。
「縦横無尽シリーズ」には、高精度刃先交換式ミラーバレル工具が4種類有り、その特長は、
①「ミラーバレルKRM形」は、外周大R形状の高精度刃先交換式バレル工具であり、高精度な側面加工や底面加工で高能率な加工を可能としております。
②「ミラーバレルTNM形」は、高精度刃先交換式接線バレル工具であり、繋がった三次元曲面の形状加工で高能率な加工を可能としております。
③「ミラーバレルTPM形」は、高精度刃先交換式テーパバレル工具であり、角度変化の少ない側面加工と先端Rでの隅R加工で高能率な加工を可能としております。
④「ミラーバレルLRM形」は、高精度刃先交換式レンズバレル工具であり、緩曲率面で高能率な加工を可能としております。
「縦横無尽シリーズ」は、加工時間や工程の短縮、加工精度の向上、コスト削減を実現出来る5軸加工用工具として展開しております。
なお、当連結会計年度の試作製造・技術改良等を含めた研究開発活動に要した費用は
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