課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、最高の製品を提供し、お客様の「ものづくり」をサポートすることによって、社会の発展に貢献することを基本方針としており、社名の由来である「創造(SO)」「実行(DI)」「苦労、克服(C,K)」の理念の下、お客様と共に困難な問題を解決することによって、お客様に信頼して頂くことが企業の継続的発展のために最も重要なことと考えております。

 当社グループは、現在までその中で培った貴重な経験を集約して、新たな技術・製品を開発することにより、多くのビジネスチャンスを見つけてまいりました。

 今後におきましてもこの企業理念を守り、技術的優位性が高く、お客様に資する製品の開発に努め、収益力の強化につながるよう、グループ全社を挙げて取り組んでまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、資本効率を意識した事業運営に取り組むと同時に、持続的な成長に向けた投資を実施していく予定であり、その前提となる経営指標としてROE(自己資本利益率)5年平均 8%以上を目標としております。今後も引き続き、経営数値目標の達成に向けて、資本効率を意識した事業運営、事業成長に取り組むほか、持続的な成長に向けた投資を積極的に実施してまいります。

区 分

数値目標

ROE(5年平均)

8%以上

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの事業領域は、放電加工機、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、射出成形機、食品機械、これら当社製の機械装置を使用して精密な金型や成形品を製造する事業及びセラミックス部材、リニアモータなど当社グループの製品を製造するために開発した技術を使用した応用機器の外部販売など、「ものづくり」に関係する多岐に渡るビジネスを展開しております。

当社グループでは「未来を創る」をコンセプトとして、お客様の「ものづくり」のお手伝いをする中で培ったコア技術を応用することによりお客様が必要とされる生産財を一貫して提供できる体制を整えること、組織の再編を通じて経営資源の最適化を図ることにより、収益力の一層の強化を図っております。また、持続可能な成長を実現するため中長期計画を策定し、経営基盤の強化に努めております。

当社は、2019年2月に公表した設立50周年を迎える2026年をターゲットに策定したソディックグループ長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」の達成に向け取り組んでおります。「創造」「実行」「苦労・克服」の精神を基に、自社技術をさらに向上し、新たな製品群への応用開発を進め、ものづくりを通して持続可能な社会に貢献することを経営方針とし事業の拡大を目指します。現在の収益の大半を占める放電加工機だけでなく、精密マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、軽金属射出成形機、包装米飯製造装置など今後の成長を牽引する製品群の育成により事業ポートフォリオを変革し、安定した収益基盤の構築を目指してまいります。

定量目標としては、2026年12月期までに、売上高1,250億円、営業利益170億円を展望しております。

 

各事業の具体的施策は以下の通りです。

<工作機械事業>

当社のメインの事業である工作機械事業においては、放電加工機に次ぐ製品群、金属3Dプリンタ、精密マシニングセンタを育成し、事業領域の拡大を図っていく方針です。

当社のコア製品である放電加工機は、次世代自動車、5G(第5世代インターネット通信)、自動化対応など技術革新への対応を進め、世界シェア・収益性向上を引き続き推進するほか、成長市場であるインドやメキシコ、また日本、中国に比べてシェアの低い欧米でのシェアアップを図ります。

金属3Dプリンタは、金型及び部品加工におけるアプリケーション、加工ノウハウ、金属粉末の拡充を進めるとともに、レーザーや制御技術などのコア技術の内製化を進め、コスト競争力の向上を進めてまいります。

精密マシニングセンタは、製品ラインナップの強化及び販売体制の強化により、高付加価値加工ニーズを取り込んでまいります。

生産体制においても、2018年に竣工したマルチファクトリー(石川県加賀市)をマザー工場として自動化対応や生産効率向上を進め、セル生産システムを海外工場にも横展開することで市場動向の変化や需要の波に柔軟に対応できる生産体制を構築してまいります。

 

<産業機械事業>

産業機械事業においては、当社独自のV-LINE®の製品競争力を活かし、高精密射出成形機のリーディングカンパニーとしての地位確立を目指します。

まず、海外売上高比率70%以上を目指すべく、欧州市場への参入や今後成長が期待されているインドなど新興国市場での販売を強化致します。市場ニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップ拡充によるボリュームゾーンでの販売強化を目指すほか、中国・アジアを中心とした営業人員の拡充及びスキル向上など営業体制の整備を進めてまいります。

軽金属射出成形機についても、自動車の軽量化などを背景に需要の増加が期待できるため、アルミニウムやマグネシウム射出成形機のラインナップ拡充、安定成形、メンテナンス性の向上を進めております。

また、自動生産システム「ICF-V」やIoT・AIを活用した予防保全・状態管理等のソリューション力を強化致します。

 

<食品機械事業>

食品機械事業においては、海外販売・海外生産体制を強化し、グローバルな食品機械メーカーを目指してまいります。

中華圏及びアジア地域では、中間所得層の増加や物流インフラの高度化に伴い、冷凍麺やチルド麺、包装米飯などの高付加価値製品の需要拡大が期待できます。日本での実績を活かし、大手食品メーカーをターゲットに新規及び更新需要の開拓を進めてまいります。

また、製麺機、包装米飯製造装置に次ぐ製品群の育成を進めます。拡大が見込まれる中食市場向けの製品や自動化、省人化ニーズに応える製品群など、今後の市場ニーズに合った製品ラインナップを拡充してまいります。

生産体制についても中国での生産拡大など現地生産・現地販売の体制を早急に整えてまいります。

 

<その他>

精密金型・精密成形事業においては、金属3Dプリンタで造形した金型及びその専用射出成形機を活用したプラスチック部品の自動生産システムのより一層の強化により、収益性を高めます。さらに、これらの活動を金属3プリンタの成功事例として、お客様に周知して頂くことで、金属3Dプリンタの普及にも貢献できると考えています。

セラミックス部品については、有機EL向けの製品開発を進めるなど高付加価値分野への販売拡大を目指します。

 

全社的には、経営基盤の強化として、コーポレートガバナンス体制強化に向けた取締役会の実効性向上、監督機能の強化、多様性の向上を推進するほか、人事面では採用強化、人事制度の見直し、人材育成、働きやすい職場環境作りなど、働き方改革を推進してまいります。また、事業管理体制の見直しにより、需要動向や市場変化に強い生産・販売体制を構築してまいります。

また、資本政策としては、ネットキャッシュプラス及び自己資本比率50%を確保し、安定した財務基盤の構築を目指し、成長投資や株主還元等、バランスのとれた資本配分を行います。

株主還元としては、より業績連動を加味した還元政策を実施するべく、DOE2.0%以上かつ総還元性向30%以上を目指します。

 

当社グループでは、引き続き、製品の設計から金型や部品の加工、成形を含むものづくりの川上から川下まであらゆる工程をトータルでサポートし、お客様の課題解決に最適なソリューションを提供できるよう取り組んでまいります。

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。

 また、当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上高比率は約7割となっています。特に中国市場における売上高は約4割を占めるなど、中国市場への依存度が高まっており、当該地域における予期せぬ法律・規制の変更、政治体制・経済政策の変化、テロ・戦争・自然災害・感染症の発生などにより当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。当社では他社に先駆け中国へ進出し、販売網や生産工場の拡充を行ってまいりましたが、中国国内販売は中国国内生産にて賄うなど地産地消の体制を整備して、中国並びに他国の通商政策等による影響低減を図っております。

 その他の地域につきましては、今後シェア拡大が見込める欧米地域ではテックセンターを活用した販売体制及び顧客サポートの強化を進めます。また、成長が期待できる東南アジア地域、インドなどの新興国でも販売を推進し、地域別売上高比率の最適化による中国市場への依存度の低減を目指してまいります。

 さらに近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象が相次いでおります。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進してまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<事業運営体制の変革>

 当社は各事業部が事業全体の権限・責任をもつことで、事業最適かつ迅速な業務執行を実現するため、2022年1月に機能別組織から事業別組織へ体制を移行し、企業変革に取り組んでおります。

 工作機械事業本部、射出成形機事業部、食品機械事業部において、開発、製造、販売、サービスが一貫してトータルソリューションを提供し、お客様のものづくりの課題解決に向け取り組んでまいります。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)が本格化する中、DXの需要の高まりは事業拡大の好機と捉え、デジタル技術を活用したソリューションの開発・提供に努めてまいります。

 

<人財の確保、育成>

 当社は、人財が会社にとって最も大切な財産であり、未来へ向けた新たな価値創造の源泉であると考えています。

・従業員一人ひとりが心身ともに健康で、更なる成長へのチャレンジが続けられるよう、職場環境の改善と健康づくりを積極的に推進し、従業員の健康と会社の持続的な成長を両立させる健康経営を目指します。

・次世代経営者や優秀な人財の育成、確保に向けて、体系的な人材育成制度の充実や積極的な採用活動に取り組むほか、性別や国籍、新卒・中途等の多様な人財が活躍できる企業文化の醸成を促進します。

・リモートワークの環境整備やRPA、デジタルマーケティング、CRM等を活用した業務効率化による働き方改革を促進し多様な働き方やワーク・ライフ・バランスを推進します。

 

<地球環境問題への取り組み>

 当社は「環境マネジメントへの対応」を重要な経営課題と位置づけ、カーボンニュートラルへの取り組みをはじめとした地球環境問題への対応、TCFDの提言に即した開示について、新たに設置した専門部署を中心に取り組みを強化してまいります。

 製品の温室効果ガス及び消費電力の低減やリサイクルできる廃棄物低減型製品など、環境に配慮した製品開発を進めてきたほか、環境汚染化学物質の削減・全廃に向けた取り組みを行っておりましたが、今後も積極的に推進してまいります。

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